都教委は、国連機関からの複数勧告を真摯に受けとめ、「10・23通達」を撤回するよう求める。

(2022年11月16日)
 一昨日(11月14日)の午後、《「日の丸・君が代」ILO/ユネスコ勧告実施市民会議》と、《アイム’89東京教育労働者組合》は、合同で東京都教育委員会(教育長)に申し入れを行う機会を得、冒頭私が、以下のように申し入れの趣旨を述べた。

 「セアート第14会期最終報告」ならびに「自由権規約委員会第7回対日審査総括所見」に基づく申入を行います。

 まず、「申し入れの趣旨」を申しあげます。
「東京都教育委員会は、国際機関の是正勧告を真摯に受け止め、直ちに10・23通達を廃し、国歌の起立斉唱の強制をやめることを求めます」

 「申し入れの理由」をお聞きいただきたい。
 教員に対する国歌起立斉唱の強制に対し、2つの国際機関が是正を求める勧告を行っています。いずれも、形式上は国に対する勧告ですが、実質は都教委宛のものです。都教委が、国際機関から、叱責を受けているのです。

 セアート(ILO/ュネスコ教職員勧告適用合同専門家委員会)第13会期最終報告は、東京都で教員に対して行われている国旗の起立斉唱の強制が市民的権利を侵害しているとして、是正を求める勧告を行った。これに対し、日本政府及び東京都教育委員会は、是正をしないまま、起立斉唱の強制を続けている。
 アイム’89東京教育労働者組合並びに「日の丸・君が代JILO/ュネスコ勧告実施市民会議は、この政府や東京都教育委員会の対応に関して、セアートに対し複数回、追加申し立てを行い、現状報告をした。
 セアートはこれらの申立を審査し、2021年10月第14回委員会において、再度の勧告を行うことを採択し、2022年6月にはILOがこの勧告を承認・公表した。
 セアートは、第14会期最終報告のパラグラフ171において、「加盟国が全員一致で採択した規範的文書という地位は、1966年勧告に重要な政治的道徳的迫力を与えている。」とし、教員の地位勧告の重要性を示している。そして、加盟国でありながら、国歌起立斉唱の強制を是正しない日本政府に対し、強制の是正に向けた具体的措置をとることを求めた。

 さらに、11月3日には自由権規約委員会第7回対日審査総括所見が出されている。
  「39.締約国は、思想及び良心の自由の効果的な行使を保障し、また、規約第18条により許容される、限定的に解釈される制限事由を超えて当該自由を制限することのあるいかなる行動も控えるべきである。締約国は、自国の法令及び実務を規約第18条に適合させるべきである。」

 2022年10月14日自由権規約第7回審査において、スペインのゴメス委員から要旨以下の質問が出された。
  「2003年以降、東京都教育委員会は毎年都立学校の教員が国旗掲揚の際、起立し国歌を斉唱することを通達している。起立斉唱しなかった484人の教員に対して処罰が科される。規約18条で保障されている思想・良心の自由とどのような整合|生があるのか伺いたい。」
 そして同年11月3日には上記の総括所見が出された。

 以上のとおり、東京都教育委員会が行っている、国歌起立斉唱の強制について2つの国際機関から是正勧告が出されている。東京都教育委員会は、これらの国際勧告を真摯に受け止め、直ちに10・23通達を廃し、国歌の起立斉唱の強制をやめなければならない。

初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2022.11.16より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=20295

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