鉢呂前経産大臣は、「陰謀」の犠牲者?

 私は、所謂「陰謀論者」ではありません。 今回の原発事故に関わっても、原子力村の悪業が続々と判明しつつあり、事例によっては、或いは、刑法上の「共謀共同正犯」とも言うべき犯罪があろうかと思いますが、それでも、日本の国と国民に放射能を降り注ぐ意図を持ち原発を導入した訳ではないのだと思いたいのです。
 それはさておき、先週マスコミが鬼の首でも獲ったように騒いでいましたが、鉢呂前経産大臣の辞任に至る「死の町」発言と事実が確認出来ない「放射能云々」発言は、本当に辞任の事由となるものなのかどうか、未だに私は疑問を持っています。 以前に松本前復興相が辞任された折にも、背後に何かあるのではないかと感じたのですが、今回は、更に疑念が湧くのです。 マスコミ以外では、疑問を持つ人の方が多いのかもしれません。
 例えば、武田邦彦教授は、以下のように厳しく指摘されます。
「鉢呂さんの代わりに経産大臣になった枝野さんは官房長官時代、記者会見などで繰り返し『(被曝しても)直ちに健康に影響はない』と繰り返したし、保安院が『基準値の3355倍でも直ちに健康に影響はない』と繰り返したことにも注意をしなかった。メルトダウンの件でも誠実ではなかった。」
 
「当時の内閣の説明の方は、ずいぶん多くの被害者を出した。政府が安全だというので、そのまま飼料をやって汚染された牛肉ができたり、野菜もそのまま放置して栽培したのでこれもかなり汚染された野菜が発生した。原発に近い地域の人たちに健康被害がでる可能性が高く、少なくとも法律や国際勧告に大きく違反した。」

「鉢呂さんと枝野さんの人事、それに対するマスコミ報道の態度を見ると、鉢呂さんの発言の原因を作った人が新任大臣になるのだから、日本社会が普通にものごとを考えることすらできなくなったように見える。」

http://takedanet.com/2011/09/post_15e3.html
巨悪は問われず??・・・判断力のないのは日本社会かマスコミ報道か? 武田邦彦
 
 マスコミは、「言葉狩り」のように鉢呂前経産相を攻撃し辞任に繋げたのですが、この間の事情について「現代ビジネス」で長谷川幸洋氏が鉢呂前経産相にインタビューした内容を掲載されています(長谷川幸洋「ニュースの深層」)。
 それによれば、私の疑念は益々深まり、何らかの「陰謀」乃至は、「企み」があったのではないかと思わざるを得ないのです。 長谷川幸洋氏の「ニュースの深層」中の核心部分ではこうあります。
(引用始め)
-脱原発依存やエネルギー政策はどう考えていたのか。

「政府はエネルギー政策を大臣レベルの『エネルギー・環境会議』と経産省の『総合資源エネルギー調査会』の二段構えで検討する段取りになっていた。前者は法律に基づかないが、後者は法律(注・経産省設置法)に基づく会議だ。調査会は今年中に中間報告を出して、来年、正式に報告を出す方針だった」

「このうち総合資源エネルギー調査会は私が着任する前の6月段階で、すでに委員の顔ぶれが内定していた。全部で15人のうち3人が原発反対派で残りの12人が賛成派だ。私は事故を受けて、せめて賛成派と批判派が半数ずつでないと、国民の理解は得られないと思った。それであと9人から10人は反対派を加えて、反対派を合計12、3人にするつもりだった。委員に定数はないので、そうすれば賛成と反対が12人くらいずつで半々になる」

 -それには役所が抵抗したでしょう。

「役所は『分かりました』という返事だった。私が出した委員候補リストを基に人選を終えて、後は記者発表するばかりのところだった」

 -もう一度聞くが、それで役所と激論にならなかったのか。官僚は面従腹背が得意だ。

「私は最初から強い意思で臨んでいた。私は報告書の内容が必ずしも一本にならず、賛成と反対の両論が記載されてもいいと思っていた。最終的にはエネルギー・環境会議で決めるのだから、役所の報告が両論併記になってもいいでしょう。私のリストは後任の枝野幸男大臣に引き継いだ。後は枝野大臣がどう選んでくれるかだと思う。」
 
 この話を聞いて、私は「これで鉢呂が虎の尾を踏んだ可能性がある」と思った。
(引用終わり)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/19475
当事者が始めて語った「放射能失言」の裏側!鉢呂経産大臣は原発村を揺るがす「原発エネルギー政策見直し人事」の発表寸前だった
‐長谷川幸洋「ニュースの深層」現代ビジネス

 長谷川氏ならずとも、「これで鉢呂が虎の尾を踏んだ可能性がある」と思うのは無理からぬことでしょう。 後は推測に過ぎませんが、記者クラブ制と原子力村の過去の悪業から推理すれば「極めて合理的な疑い」であるでしょう。