マレーシアの数字が不思議である。新規コロナ感染者数を列挙してみる;5月26日-187名,27日―15名,以下数字だけを記すと,10,103,30,157,38,20,93(マレ-シアBizナビ)。マレーシアでは政変によって議会は混乱しているが,ヌール医学博士兼事務次官に率いられた保健省は全土を封鎖し小地区に分割して,3つの色を塗った。緑,黄,そして赤。黄色はコロナ患者数が1から40名である。41名以上からRed地区である。その色に応じて行動制限MCOを適用してきた。例えばMCOは夕方6時から朝方6時まで外出禁止。外出は食糧買い出し,通院と薬りの買い出しだけである。それ以外の経済活動は禁止。国境封鎖あり。自動車に乗れる人数は,一人。但し,休業補償は5~6割。水道代はタダ。電気代は3,4割割引・・・。そのためかマレ-シア人の感染者数は激減した。
さて元の数字に戻ろう。一番典型的なのは6月3日昨日の数字93名である。そのうち91名が外国人労働者だというのである。つまり2名だけが国内の感染者であるということだ。外国人や帰国者(マレー人)が新規感染者の9割から9割5分を占める。したがってマレー人の新規感染者は10人前後ということになる。政府の基準では一桁台になったらMCO完全解除である。現在はまだ完全ではないが経済活動は元に戻りつつある。
第2派が心配される。しかし,封鎖か集団免疫かという事であれば,封鎖の効果が大きかったと言えよう。「封鎖」とは初めて見る翻訳でマレ-シアbizナビの用語である。内田弘専修大名誉教授が心配されたカタカナ語の乱用を越えて「封鎖」とやったのは日本をよく研究するマレーシアの聡明さの現れであろう。
さて結論になるが,日本の「自粛警察」とこの「封鎖(ロックダウン)」はそれほど変わらない。接触機会を減らしているからである。日本では緊急事態が出るまでに保養地や別荘のある場所に移動できる人間はすでに移動し,その後発令されているから,マレーシアの国境・州境封鎖と同じである。マスクは十分行き渡り,夜の外出禁止もそれほど差があるわけでは無い。死者数はどうか。マレ-シアは総人口が3200万人で死亡者が157人である。対して日本は総人口が1.2億人。死亡者が900人強。死亡率は明らかにマレーシアが低い。ゆえに基礎疾患(喘息,高血圧,花粉症)だらけの小生はマレーシア保健省を支持する。
追記:ダイアモンド・プリンセス号では721名がコロナ感染し,13名が死亡。重篤者が7名出ている。何の法律のゆえに客は下船を拒まれたのであろう。その責任追及が待たれる。