『朝日ジャーナル』の創刊は、調べてみると、1959年3月とある。そうだったんだ、とあらためて思い起す。私の学生生活のスタートと重なる。 時を同じくして『少年マガジン』も創刊されている。
59年3月28日には「安保改定阻止国民会議」が結成され、4月15日から第一次統一行動が始まっている。3月30日には、砂川事件における安保条約による米軍駐留を違憲として基地立ち入りの全員を無罪とする、東京地裁の「伊達判決」が出され、安保反対の集会やデモは勢いづいていた。私自身、大学自治会の呼びかけで集会やデモに参加するようになったのは、いつ頃からだったのだろう。キャンパスでは、『朝日ジャーナル』を小脇に抱えるのが一つのファッションでもあったらしいが、私も、ときどき買っては読んでいた記憶がある。ちなみに、その頃、私の家にはまだテレビはなく、4月10日皇太子明仁・美智子結婚パレードを、母と一緒に近くの知り合いの家へ見せてもらいに出かけている。かなりのノンポリだったんだな、と。
『朝日ジャーナル』は、1992年5月には廃刊になるが、その数年前、1988年12月に、学習院大学の坂本孝治郎さんによる『短歌と天皇制』の書評「<天皇家の私的儀礼>歌会始の政治性」が載った。『朝日新聞』はじめ、多くの新聞や雑誌での書評が歌人や小説家、評論家によるものが多かったことはたしかにありがたかったが、研究書として、批評の対象になったことは、やはりうれしかった。
『週刊朝日』は、2023年5月30日をもって終刊となった。1922年2月に創刊というから、100年も続いていた週刊誌だけに、2023年12月、廃刊の王道には驚いた。その矢先、『週刊朝日』からの取材申し込みがあったのである。記者は、私のブログの図書館関係の記事を読まれていて、シニアとしての図書館の利用について話を聞きたいということだった。
私の場合は、地元の図書館が所蔵していない図書を、県内の他館から取り寄せてもらうことが多い。また、国立国会図書館や現代詩歌文学館などの遠隔複写サービスを利用して資料を入手する場合も多い。雑誌は、地元の図書館で閲覧する場合が多いが、最近は、予算の関係か、購入中止のケースが多く、残念でならない。とくにシニアの多様な関心や趣味に応えるため「紙」媒体の雑誌は、公共図書館において、もっと大切にしてほしい・・・、などと話したのだった。年が明けて、届いた『週刊朝日』1月25日号には「シニアのニーズに応えサービス多様化 いま図書館が面白い!」という3頁ほど記事となっていいて、私の発言の一部も数行ながら収められていた。
私は『週刊朝日』を購読したことはない。ただ、生家の薬局で、週刊誌のスタンドを置くようになって、1960年代から家を出るまで10年間ほど、週刊誌の返品前だったり、あるいは届いた直後だったり、そっと汚さないように、二十種類以上の週刊誌を「通覧」していた時期があった。スキャンダル、芸能人ゴシップ、皇室ネタにはかなり詳しくなってしまった。
上記『週刊朝日』の記事を読んだという、図書館時代の友人から電話があった。彼女は、家で『週刊朝日』を購読していたので、子どものころから読んでいて、現在までずっと購読していたというのだ。そのような愛読者がいたというのに。1958年には153万部、1977年には48万部、2022年には7.4万部になっていたというのだから、驚くとともに、仕方ないのかと。
『週刊朝日』とは最初で最後のかかわりであった。
<過去記事参照>
『週刊朝日』が5月に終刊、なんとこのタイミングで!(2023年1月19日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2023/01/post-86e7d6.html

色づきはじめた柿、例年より早いの、遅いのか。各地の紅葉は例年より遅いとも聞くが。
初出:「内野光子のブログ」2025.10.7より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2025/10/post-8be5e9.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion14462:251008〕