新型コロナウィルス感染状況、東チモールは日本とは別世界
日本では新型コロナウィルス感染の第七波が襲った夏が終わり、秋が深まっていくにつれ感染増加の傾向が現れて第八波がじわじわと迫ってくる状況にあります。一方こちら東チモールはまるで日本とは別世界のように低い感染状況を維持しています。ざっと東チモールの感染近況を概観してみましょう。
8月は、0~4人の感染者数が出た日数が14で、5~9人も14、10~14人が3でした。この月の感染者総数は166人です。死者は5日・10日・25日・26日・29日にそれぞれ1人出ました。
9月に入ると、0~4人の感染者数が出た日数は20、5~9人が10、二桁の感染者数を記録した日はありませんでした。9月の感染者総数は前の月の約半分、87人です。死者は出ませんでした。
そして10月はというと、感染者数ゼロの日数がぐっと増えて14、1~4人の感染者数の日数も14、5~9人が2、二桁11人の感染者が出た日が1回だけありましたが、10月の感染者総数は前の月の約半分、43人です。この月も死者は出ませんでした。
感染による死者は8月29日以来でておらず、10月のおよそ半分の日数が感染者が出なかったこと、そして9月・10月と連続して感染者数が前の月の半分になったことから、感染が終息に向かっていると安心したいところですが、「Covid-19はまだ終わっていない」として東チモールは警戒を解きません。11月10日、東チモール国会は、新型コロナウィルス感染にたいする特別対策を120日間延長・更新する議決案を賛成多数で可決しました(『チモールポスト』、2022 11月11日)。
31年目の「サンタクルスの虐殺」の日
今年も「11月12日」がやってきました。31年前のこの日、サンタクルスの墓地で起こった虐殺事件がマックス=スタールのビデオに撮られ、その映像が世界に発信されたことから、いわゆる「東チモール問題」が国際ニュースとして報道される契機になった事件です。この虐殺事件で勇敢な行動をとり犠牲になった若者たちを讃える日として、「11月12日」は「若者たちの日」と定められています。
「サンタクルスの虐殺」についてはこの「東チモールだより」の第403号・第466号などで既述していますので、今年の「若者たちの日」の行事を写真とともに時系列的に素朴にたどっていきたいと思います。
ラモス=オルタ大統領、モタエル教会前。ミサが終わり、これからサンタクルス墓地までの行進が行われる。ラモス=オルタ大統領も愛車のミニカーを運転して参加する。
2022年11月12日、8時51分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
行進隊列の先頭部、遺影を抱いて……。犠牲者にたいする大きな責任を日本は負っていることを日本人は自覚しなければならないし、忘れてはならない。
2022年11月12日、8時53分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
さあ、行進の始まり。後ろに見えるのがモタエル教会。
2022年11月12日、8時54分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
国防軍のファルル=ラテ=ラエク参謀長も制服姿で参加。
2022年11月12日、8時55分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
行進は政府庁舎前を通過中。
中央に大統領の運転するミニカー。
雨季に入った東チモールは湿気が高く陽射しがより強烈に感じる。
2022年11月12日、9時8分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
政府庁舎前でいったん止まり、隊列を整える。
2022年11月12日、9時10分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
行進は淡々と続く。
淡々と歩くので墓地まで1時間かからなかった。
2022年11月12日、9時14分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
墓地が近づいてきた。
道幅が狭くなり、群衆が密集してきた。
若者たちがシュプレヒコールを始めた。
2022年11月12日、9時37分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
行進はサンタクルス墓地前に到着。
2022年11月12日、9時42分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
サンタクルス墓地は満杯状態。
新たな遺体を埋める余地がなくなっている。
2022年11月12日、9時42分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
サンタクルス墓地内に建立されたマックス=スタールの石碑。
石碑にはこう刻まれている。
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マックス=スタール(1954年12月6日~2021年10月28日)ここに眠る。
「尊厳は時として世界を変える」。
1991年11月12日、マックス=スタールはこの場所からインドネシア兵士による名もなき嘆く東チモール人への発砲を撮影した。かれはフィルムをここに埋め、夜が明けてから回収した。このフィルムは独立闘争の転換となった。
* * *
2022年11月12日、9時49分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
追悼式典の舞台前。正装しているのは政府職員であろう。
テントの日陰に座れるのが僅かな人たちだけ。
炎天下の行事の会場設定を改善してほしい。
2022年11月12日、9時56分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
ラモス=オルタ大統領が1分間黙祷を呼びかけ、
黙禱が終わると演説を始めた。
大統領は若者たちや外国人のジャーナリストを称賛した。
2022年11月12日、10時13分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
演説者は大統領のみ。
あとは各団体・個人からの短いアピールがあっただけ。
11時前に追悼式典は終わり、
人びとは三々五々に会場をあとにした。
2022年11月12日、11時4分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
サンタクルス墓地の出入口。
31年前、発砲を逃れようと若者たちが
この狭い出入口に殺到した。
2022年11月12日、11時4分ごろ。
ⒸAoyama Morito.
青山森人の東チモールだより 第474号(2022年11月14日)より
e-mail: aoyamamorito@yahoo.com
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion12547:221115〕