ハンギョレから転載

韓国は何処へ

韓国通信NO767

弾劾裁判所の判決が出ない。「非常事態宣言」をした大統領は何ら反省もなく大統領府に居座っている。大統領失格と反乱罪。これほどわかりやすい裁判はないと思うが何故こうも遅れているのか。

裁判所の意見がまとまらない。8人の裁判官のうち6人が賛成すれば弾劾成立だが、弾劾を躊躇する裁判官がいるらしい。背景に大統領を支持する極右勢力がいる。彼らは裁判所を襲撃するほど暴徒化している。与党「国民の力」は、党内から憲法裁判所不要論が出るなど混乱している。日常生活、経済への影響を懸念する声が広がっている。
済州4.3事件、4.19学生革命、5.18光州事件、民主化宣言、ローソク革命に至る輝かしい民主化闘争の歴史を持つ韓国が岐路に立たされている。

今、韓国のノーベル賞作家韓江(ハン・ガン)の小説『少年が来る』を読んでいる。「君」と呼ばれる中学三年生の主人公がいわゆる光州事件で殺された数多くの遺体を見続ける。描写はこれまで見たニュースフィルムやドラマ、映画とは違う不思議な現実感がある。作者の異常なまでに研ぎ澄まされた死生感と情に流されない冷静な目が光る。

45年前の光州事件は私たちには忘れられない記憶として残る。韓国には光州を忘れた人と忘れない人の二種類の人いると思う。命と民主主義が根源から問われている。この事件を避けては通れない。

<ハン・ガンらの訴え>ハンギョレから転載

大統領の弾劾裁判が行き詰まりを見せるなか、ハン・ガンを含む新進気鋭の作家・詩人・漫画家たち414名が「尹錫悦の即時罷免」を求める声明を発表し、さらに個人として一行声明を発表した(3月25日)。
民主化運動の文化人組織とは別に独自の立場から若手文化人が声明を発表するのは異例なことだそうだ。以下各人の声明文。


〇ハン・ガン「傷つけられてはならない命、自由、平和の価値を信じています。罷免は普遍的価値を守るものです」(写真/聯合ニュース)
〇キム・チョヨブ(作家)「迅速な罷免を求めます。本当にストレスが溜まってこの一行も書けそうにありません」
〇ペク・ヒナ(絵本作家)「憲法裁判所に要求します。『大統領を罷免せよ』」
〇ミカン(漫画家)「憲法裁の言い渡し遅延で日ごと国民の不安は高まり、極右の暴力は深刻化している。今すぐ内乱首謀者尹錫悦を罷免して民主主義を守り抜こう!」
〇オ・ソンウン(詩人)「私たちが越えようとしているのは、つまらない権力などではなく、野蛮という名の色褪せた壁である」
〇キム・ヘスン(詩人)「私たちに全世界の人々にこれ以上恥をかかせないで、お願いだから」


初出:「リベラル21」2025.03.31より許可を得て転載
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座  https://chikyuza.net/
〔opinion14172:250331〕