(報告)南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟を応援しよう! 「避難の権利」を確立しよう! 9.28 第1回口頭弁論(東京地裁)

昨日(9/28:月曜日)、東京地裁において「南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟」の第1回口頭弁論、並びに公判報告集会が開かれました。福島県南相馬市からはバスで原告の方々が大勢おいでになり、また、東京地区を中心に約200名近い支援者の方々も参集し、お昼頃から経済産業省前、及び東京地裁前での抗議行動のあと、法廷での口頭弁論となりました。そのあと参議院議員会館での報告集会があり、TVカメラが入った他、会場に入りきれないくらいの支援者もお集まりになり、盛況な第1回公判でした。

 

当日、原告の代表、並びに報告集会主催者の方からは、この裁判は単に南相馬市の市民に対する政府の不当な行政処分・行政行為を告発し、その撤回を迫るものであるだけでなく、今後の日本の原発・核施設が大事故を起こした際に20ミリシーベルト/年が住民や有権者・国民の被ばくガマン限度の基準になってしまうことを防ぐものであり、その意味で日本の有権者・国民全員に共通に関係する非常に重要な訴訟であると考えている旨のご発言がありました。まったくその通りだと思います。原発の事故が起きる前の一般人の被ばく限度は1ミリシーベルトで、事故が起きたら、それが20ミリシーベルトに変わります、などというのは、人々の「命と健康」を無視したご都合主義の現状追認・加害者免罪の「はかりごと」にすぎません。断固として政府にその撤回を迫っていくべきでしょう。

 

また、今後は有権者・国民の手ですみやかに政権交代を実現させ、かような理不尽で危険な政策・施策をゴリ押ししている霞が関の幹部国家官僚や政治家達にも、しかるべき「処分」というか「処置」というか、こうした政策や行政の歪みを創りださないための対応・対策を「英断」に基づいて着手していくべきでしょう。日本政府とその政治・行政は、もはや完璧に腐っていて、許しがたいものがあります。

以下、簡単にご報告申し上げます。

 

1.口頭弁論のお知らせ

http://minamisouma.blogspot.jp/2015/07/1.html

https://sites.google.com/site/minamiswg/di-yi-hui-kou-tou-bian-lun-qi-ri-jue-ding-9yue28riha-dong-jing-de-caihe-nan-xiang-ma-bi-nan20mirishiberuto-ji-zhun-che-hui-su-song-1

 

2.弁護団より(原告側訴状、原告意見陳述書、及び被告側答弁書他)

http://minamisouma.blogspot.jp/p/blog-page_89.html

 

(特に)Dropbox – 南相馬避難解除訴訟:被告・答弁書.pdf

https://www.dropbox.com/s/j40wg2jdni2fp1c/%E5%8D%97%E7%9B%B8%E9%A6%AC%E9%81%BF%E9%9B%A3%E8%A7%A3%E9%99%A4%E8%A8%B4%E8%A8%9F%EF%BC%9A%E8%A2%AB%E5%91%8A%E3%83%BB%E7%AD%94%E5%BC%81%E6%9B%B8.pdf?dl=0

 

3.関連サイト

(1)南相馬・避難勧奨地域の会

https://sites.google.com/site/minamiswg/

(このサイトの「ダウンロード資料」はなかなかよくできた資料です。ぜひご覧になってみてください:田中一郎)

 

(2)南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会

http://minamisouma.blogspot.jp/

 

(1)南相馬避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟、第一回口頭弁論期日 報告会(次第)(2015年9月28日)

(2)第1回公判 原告 意見陳述要旨(2015年9月28日)

(3)「甲状腺がん悪性または疑い」137人に、2巡目25人、うち前回「問題なし」23人(FoE Japan 2015.9.4)

 

<当日の録画・報告等>

(1)20150928 UPLAN 南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟の第1回口頭弁論 – YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=GeL4LAdG0VY

 

(2)「20ミリは高すぎる」〜南相馬・避難基準裁判始まる  OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

http://www.ourplanet-tv.org/

 

(田中一郎コメント)

当日の様子は上記2つのサイト(<当日の録画・報告等>)をご覧ください。特にご覧いただきたいのは、1つには、南相馬から当日公判に来られた原告の方々のご発言や裁判での原告男女2人の方の陳述です(原告意見陳述書参照)。発言をお聞きになれば、あるいは陳述書をご覧になれば、よくわかりますが、こんな理不尽でひどいことを、こともあろうに被害者や地域住民を何よりも優先して守らなければならない役回りにある国(担当は環境省)が自ら手を下して行っており、かつ、大半の被害者地域住民が一致して猛反発しているのを踏みつけるかのように、その不当な行政行為を屁理屈で合理化して居直っているのです。本当に許せないと思います。

 

そして、もう一つは、驚くべき被告=国側の答弁書の内容です。この裁判で南相馬の原告の方々は、20ミリシーベルト/年の基準で「特定避難勧奨地点」の指定を解除(そののち一定期間後に賠償を打ち切り)することは理不尽で危険であるので撤回せよとの申し立てをしたわけですが、それに対して被告の政府は次のような「答弁書」を出してきました。(上記2.(特に)Dropbox – 南相馬避難解除訴訟:被告・答弁書.pdf を参照)

 

「特定避難勧奨地点の設定・解除は,作用法上の根拠に基づかず,法的効果を持たない行為であること、「特定避難勧奨地点」の設定は,事実の通知又は情報提供という事実上の行為であり,また,避難勧奨等の行政指導的色彩を帯びる行為ではあるが,何ら法的効果を持たないものであること、特定避難勧奨地点の設定・解除は,国民の権利義務ないし法律上の地位に直接具体的な影響を及ぼすものではないこと、原告らに確認の利益がないこと、よって,特定避難勧奨地点の設定・解除は行政処分性を欠くものであり,また,原告らの訴えには確認の利益は認められないから請求はいずれも不適法であり,却下されるべきである。」

 

上記は被告政府側の答弁書の「章」の下の「節」の部分の表題、及び結論部分を抜粋してコピペしたものですが、大体の感じはお分かりいただけると思います。簡単に言えば「特定避難勧奨地点」の指定は政府からの単なる情報提供、ないしはお知らせのような類のものであって、なんら行政法上の処分性を持つものではないから、原告を拘束したり原告の権利を侵害したりするものではないので、そもそもこの裁判には訴えの利益がない。従って、すみやかに却下の上、裁判を終了せよ=つまり門前払いせよ、という主旨です。20ミリシーベルト/年の基準がどうであるとかないとか、そういった裁判の中身にはまったく立ち入らずに、形式要件で原告の被害者らを蹴飛ばしてしまえ、そういう主旨の答弁書です。

 

上記の当日の録画(1)の1時間8分目くらいから始まる福田健治弁護士の説明のうち、特に1時間15分目くらいのところを注意してお聞き下さい。福田弁護士の説明の少しあと、私からは2つばかり質問(下記)をしております(録画に声が出ています)。(以下、質問と回答の要旨)

 

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(質問1)この政府答弁書の主張は「特定避難勧奨地点」についてだけのことか、それとも、計画的避難区域とか警戒区域等々、地域指定全部についてのことなのか?

 

(福田弁護士の答え)全部についてのこと

 

(質問2)福島第1原発事故後の放射能汚染地域の避難関連の地域指定・地点指定は、一方で、住民が帰宅できるとか出来ないとか、宿泊していいとか悪いとか、住民の行動を直接しばる行為規制とリンクしたり、原子力損害賠償紛争審査会が打ち出した損害賠償指針や賠償金額などとも密接に関連している。それを単なる情報提供やお知らせなどというのはおかしくないか?

 

(福田弁護士の答え)確かにチャンチャラおかしいが、微妙なところもあるので、弁護団で今後吟味して対応する。

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私(田中一郎)としては、こんなものを単なる「情報提供」や「お知らせ」の類などと認めてしまったら、およそ日本の政府のすることは、ほとんどすべてが「情報提供」か「お知らせ」になってしまい、国や自治体の行政が、誰も責任を取らない無責任作為の集合体のようになってしまうに違いありません。言い換えれば、国も自治体も、役所は有権者・国民や住民に対して責任を取らず、使命を果たさず、自分たちの都合だけで動いて、有権者・国民や住民を好き勝手に翻弄してしまうことになるでしょう。災害から国民や住民を守ること、これは太古の昔から為政者の最重要施策の一つであったにもかかわらず、今や日本政府はそれを放棄して、原発震災という最もヘビーで危険で国民・住民が苦しむ可能性が高い困難に対しては、単なる「情報提供」か「お知らせ」しかしないで、自分たちの責任や使命は棚上げにしてしまう、というのです。

 

いかに裁判上の争いとはいえ、ものごとには言っていいことと悪いことがあります。この裁判を政府側で指揮するロクでもない極悪人を、政治的に一掃する必要がありますね。これが「有権者・国民に対する奉仕者」としての国家公務員のするべきことでしょうか? 福島第1原発事故後、被害者のためになることはほとんど何もしないで、ロクでもないことばかりを繰り返す原子力ムラ・放射線ムラの代理店とでも言うべき日本政府は、もはや根本のところから腐り果て末期症状を示しています。このまま放置しておくわけにはいかないでしょう。

 

なお、今回の公判では、次回の公判期日を決めるのに、政府側が「関係官庁が多いのでコンセンサスを得るのに時間がかかる、従って、次回公判は来年にしてほしい」などと言いだしました。だったら、20ミリシーベルト/年基準で南相馬市の「特定避難勧奨地点」を解除したことについても、関係省庁のコンセンサスもなしに、どこかが勝手にやっていたということなのでしょうか。政府の出鱈目な対応ぶりというか、被害者住民に対する政策・施策・対応のおかしさが垣間見えた瞬間でした。結局、次回の公判は2016年1月13日(水)の午後2時となりました(裁判長もかような被告側のいい加減な裁判期間引き延ばしは却下すべきではないのでしょうか)。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion57045:151002〕