4/9、衆議院第1議員会館において「(院内集会)圧力容器の老朽化を問う(高浜1・2号機稼働延長問題)」が開催されました。別添PDFファイル、及び下記URLは、その際の資料、及び関連情報です。以下、簡単にご報告申し上げます。(PDF資料は素子が粗くてうまく添付できないため省略しました―編集部)
(1)(案内パンフ)(院内集会)圧力容器の老朽化を問う(高浜1・2号機稼働延長問題)(2015年4月9日 衆議院第1議員会館)
(2)(資料1)原子炉容器の照射脆化とは何か(後藤政志 2015.4.9)
(3)(資料2)問われる研究者の倫理=原子炉圧力容器の脆化予測 JEAC4201-2007をめぐって(小岩昌宏 2015.4.9)
(4)(資料3)老朽化原発は稼働延長に耐えられるか? (井野博満 2015.4.9)
(5)断層の判断示さず、再稼働審査本格化:美浜3号機で規制委(東京 2015.4.9 他)
(当日、私が少しメモ書きを書き入れておりますが、それは気になさらずにご覧ください)
<小岩昌宏先生真筆論文>
(1)原子炉圧力容器の脆化予測は破綻している:でたらめな予測式をごまかす意見聴取会(小岩昌宏 『科学 2012.10』)
(2)続・原子炉圧力容器の脆化予測は破綻している:日本電気協会,電力中央研究所と学者・研究者の姿勢を問う(小岩昌宏 『科学 2014.2』)
(3)原子炉圧力容器の照射脆化:脆化予測法 JEAC4201-2007 は誤っている(小岩昌宏 『金属 2015 No.2 Vol.85』)
<当日の録画>
●▶ 20150409 UPLAN 圧力容器の老朽化を問う [高浜1・2号機稼働延長問題]後藤政志ほか – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=8tfsE3kIzFE
<関連サイト>
(1)院内集会案内:4-9【院内集会】 圧力容器の老朽化を問う [高浜1・2号機稼働延長問題](東京・千代田区) 原子力資料情報室(CNIC)
(2)参考書(既刊):『老朽化する原発 ― 技術を問う― 原子力資料情報室(CNIC)』
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031543947&Action_id=121&Sza_id=GG
(3)「学協会方式批判」:原子力規制委員会は,今,何をしているのか:原発「性能規定」の危険性,産官学癒着なれ合いの「学協会規格」 いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-db4f.html
(4)原発再稼働に反対70.8%、事故の懸念73.8%=学者・民間機関調査 Reuters
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0MY0JX20150407
1.老朽化した圧力容器及び原子炉・原発審査・評価の問題点
(1)長期にわたる中性子照射によって脆くなった金属の圧力容器は、原発大事故時などの緊急事態において急速冷却すると急激に割れる。
(2)高温高圧状態にある圧力容器が急激に割れると、核燃料はバラバラになり、かつ壊れた圧力容器の破片はミサイルのごとく四方八方へ吹き飛んで格納容器も破壊
(3)中性子照射による金属の脆化とはどういうものか:中性子が金属原子を跳ね飛ばし空孔と格子間原子をつくりだす。
(4)鉄鋼に含まれる不純物の銅が中性子脆化を激しくする:銅が不純物として含まれる原因は、一つはスクラップ鉄の利用、もう一つは溶接。
(5)JEAC4201-2007「原子炉構造材の監視試験方法」は玄海原発1号機の脆性遷移温度をきちんと予測できず実際よりも低い温度を予測していた。
(6)JEAC=japan Electric Association Code (日本電気教会 原子力規格委員会)
(7)JEAC4201-2007の脆化予測式については、式に単純かつ根本的な誤りが見つかり、再検討することになっていたが・・・(拡散係数の2乗項は異常)
(8)脆化予測式見直しについては、結局「後出しじゃんけん」方式でパラメータだけを変え、式の根本的な誤りを変えないまま=再び過小評価の恐れ
(9)日本電気教会は公平性、公正性、公開性を標榜しているが空文句にすぎない=今回の脆化予測式問題で資料請求や問題提起などをした結果判明
(10)「原子力ムラ」の「奥の院」としての日本電気教会、あるいは学協会規格などの政官財学の腐敗融合に対しては、厳しい批判が必要
(11)高浜1号機の脆性遷移温度は99度C、廃炉決定の玄海1号機を抜いて日本最高、しかも再稼働がもくろまれている。
(12)そもそも脆性遷移温度は何度まで許されるのか=新設の原子炉の場合には93度Cと決められているが、既存の老朽化原発については規定がない!!
(13)原発の「寿命延長」のための特別点検では、「原子炉格納容器鋼板」について「接近できる全検査可能範囲」で点検すればいい、と規定されている。つまり、点検できないところがあれば、それはほったらかしておいていいという、信じがたい「規制」規定の下で、事実上、手抜きの特別点検がなされることになる。
2.全然ダメな原子力規制委員会・規制庁に対しても、こうした工学的な安全上の諸問題については、今後もどんどんと発言をし、公開していく。今の原子力規制委員会・規制庁が、それをうけてただちに対応や態度を変えるとは思えないが、それでも一定の効果はあるだろう。
3.後藤政志さんのご意見(講演レジメより)
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原子力規制委員会は,『福島事故以前と似たような原子力業界の虜”』になってきている危惧を覚える。福島事故の要因のひとつは、提起されている技術的な問題を逃げずに独立した立場でひとつひとつ正面から向き合うことをしてこなかったからだ! 照射脆化問題は最重要課題のひとつであり、間違いを訂正すらできないのであれば、規制機関失格である。
恣意的なデ一タや論文を基にひたすら“基準にあっているか”だけを“形式的に”審査している今の姿勢では、原子力規制機関としての信頼を得られるとは思えない。技術的な検討・対策をしても、必ずしも安全が確保できるとは限らないが、その努力すらせずに、ただひたすら今のまま審査をすすめることは国民に対する裏切り行為だと考える。再考を願う。
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4-1. 2015年4月9日付毎日新聞・東京新聞記事参照
● 美浜原発:3号機を本格審査へ「直下に活動断層なし」
http://mainichi.jp/shimen/news/20150409ddm001040161000c.html
(一部抜粋)
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原子力規制委員会は8日、再稼働の前提になる安全審査の申請が出ている関西電力美浜原発3号機(福井県)について、規制委の有識者調査団が実施している敷地内断層調査の結論を待たずに本格審査に入ることを決めた。調査団の結論を受けて審査で断層の活動性を判断するとしてきた従来の方針を転換する。
美浜3号機は運転開始から38年が経過し、原子炉等規制法で「原則40年」とされている運転期限が迫った老朽原発。関電は運転延長を目指しているが、来年11月までに安全審査と老朽化対策の審査に合格しなければ廃炉になる。田中俊一規制委員長は8日の定例記者会見で「限られた時間なんです。少しでも早く軌道に乗せた方がいい」と説明し、審査期間の短さに配慮したことを認めた。
田中委員長はこの日の定例会で、調査団の議論について「重要施設の直下に活動する断層はないという一定の方向性がまとまった」と発言し、美浜3号機の本格審査入りを提案。他の委員からも異論はなかった。
しかし、6日に開かれた調査団の会合では、活動性を否定できないと指摘する意見も一部の有識者から出た。座長の石渡明・規制委員も「(活動性を)否定、肯定という証拠がなかなか出せない。歯切れの悪いものにならざるを得ない」と述べている。有識者の一人は毎日新聞10+件の取材に「活動性はないとはっきり言うのは大いに疑問でフライングだ。何をそんなに急ぐのか」と話した。
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4-2. 2015年4月10日付朝日新聞記事参照
●美浜の地震想定 震災前のまま 規制委「大いに疑問」(朝日 2015.4.10)
http://www.asahi.com/articles/ASH494KB4H49ULBJ005.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5289:150411〕