(NHKスペシャル:福島第1原発事故)メルトダウン、知られざる大量放出
(2014年12月21日 午後9時15分から1時間放送)
● NHKスペシャル|メルトダウン File.5知られざる大量放出
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/1221/index.html
http://tv.yahoo.co.jp/program/?sid=4427
<この番組のポイント>
1.最初の5日間の放射能環境放出量は全体の25%、残り75%はその後の2週間=つまり、3/15の「2号機問題・放射能大量放出・北西方向=主として放射性セシウム」の後こそが大問題であるという(いわゆる「それからの1,2,3号機」問題)。
(3/15の早朝から数時間、福島第1原発から600名ほど=大半の人員が福島第2原発へ避難したので原子炉パラメータ等の数値が不明、事実上事故原発放棄の状態だった:残り約70名)
2.2号機ではなく3号機の方が大問題だった=消防車注水の29/30は炉心以外の系統に漏れ出して、炉心に向かわなかった。その結果、少量の水蒸気とジルコニウムの熱反応によって核燃料が益々傷ついて表面が壊れ、放射能の放出が更に多くなってしまった(この場合は各種放射性物質の放出)。(消火系配管による炉心冷却注水の漏出ルートは少なくとも18箇所もある)
(疑問:圧力容器は炉心溶融で穴が開いたはず=炉心圧力は急速に低下したのでは? ならば、炉心圧力面からは、消防車注水はうまく行くはずだったということでいいか=つまり炉心メルトダウン後は2号機3.15問題はなくなる、ということでいいか)
3.3号機ウェットベントの地下配管に、何度かウェットベントをするうちに大量の放射性ヨウ素が付着してたまっていて、これが3/15深夜の第5回目のウェットベントの時に大量に排出されてしまった(通常のベント時の10倍以上)(この場合は放射性ヨウ素の放出)
4.原子炉冷却のための電源の確保(電源車と配電盤と配電網設備の外付け工事)か、それとも、使用済み核燃料プールの冷却水の補給か、いずれを優先するかで逡巡。特に4号機プールの冷却停止・温度上昇や、3号機爆発で非常に危険な状態になったこと、かつプールの状況がわからないことが事態を緊迫化させた(原発施設の外観テレビカメラ・モニターがないという安全対策ミス=2号機、4号機の3/15早朝の爆発映像もないことの原因)。
アメリカ(原子力規制委員会(NRC))の日本政府への指示 ⇒ プールへの水補給優先・プール対策優先(近藤駿介元原子力委員会委員長への「最悪シナリオ」策定指示も菅直人(当時首相)の指示と言うよりもアメリカの指示? 放射能・事故状況は国民よりアメリカに逐一報告)
結局、使用済み核燃料プールへの注水がうまく行ったのは「キリン」稼働(3/22)以降、プールの水が十分であるのが確認されたのは4月以降、また、電源確保の遅れから1~3号機の炉心冷却が遅れ、その間、少量の消防車注水による「水蒸気・ジルコニウム反応」によって炉心燃料の破損度合いがひどくなり、大量の放射能環境放出が続いてしまった。
(最大の失敗は、消火系注水が停電時には大量の水漏れを引き起こすことを知らなかったこと ⇒ しかし、消火系注水はそもそも原子炉過酷事故を前提にしたものではない、むしろECCSの機能不全・不十分、SBO時の対応準備不十分と考えるべきでは? 今も解消していない)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5079:141222〕