1周年を経て、僕らは今・ここからまた始める!

2012年9月11日 連帯・共同ニュース第286号

■  台風をみんなで送るテント哉」これは古い手帳に書き留めてあったものだ。テントを畳んで台風の過ぎるのを待った場面が印象深かったのであろうか。この1年には数しれないドラマがあった。経産省などの嫌がらせもあったけど、多くの人たちとの感動的な出会いや交流をこそあげなければなるまい。「原発いらない福島の女性たち」の登場や第二テント《女性用テント》の出現はその代表的なものだ。こうした中で日常的な寒さや暑さとの季節の対応もあげられる。台風(野分)はその象徴だったのだ。僕らはこの中で自然《季節》に敏感になった。敏感になることで人間にとって自然とは何か、生活の根にあるものや価値観と自然との関係を自問してきた。この問いは大震災や原発震災が僕らに迫ったものを考え抜くことと通底している。

■  テントは脱原発の意志空間(政治的空間あるいは場)をめざし、保持されてきた。僕らはこれを脱原発の広場の出現、あるいはそのきっかけになればと思ってきたのである。今、毎週の金曜日には首相官邸前の行動が展開され、国会や霞が関一帯に意志表示(異議申し立て)の場が出来ている。言うまでもなく閉塞的で視界の閉ざされた社会を開こうとする闘いがその背後にある。これはわが国の政治を根底から変える事態の出現であり、真の民主主義が登場していることにほかならない。政党間抗争や内部抗争で混迷を深める日本の政治を変える基盤がここにある。

■ 政府の原発保持を根幹に置いた再稼働戦略(シナリオ)は生きている。ただ再稼働が予想以上の国民の批判や反発を招いたことで次の突破口に向けての準備《雌伏期間》入っているに過ぎない。原子力ムラと政党《自民・公明・民主の大半》は再稼働による原発保持という当面の戦略を練り直している。再稼働中に原発の保存《延命》の手を準備し、再生エネルギーへの転換やエネルギー地産地費等を遅らせようとしている。彼らはエネルギーや産業経済の構造転換を拒んでいるのである。これは原発の既得権益護持に官僚や産業界、それにつながる政界が暗躍しているためだ。「電気が不足する」、「雇用が減退する」。この繰り返される宣伝はその姿を示している。遅れれば遅れるほど国民の生活にも、産業にもマイナスになることを知りながら、既得権益に固執するために転換に踏み切れないであがいているのだ。僕らは再稼働阻止と原発ゼロとを結びながら既得権益固執派と闘っている。テントはその拠点である。1周年はその意味で経過点であり、今後の持続的展開が期さねばならぬ。昨日のように今日も明日もあり続ける。(文責 三上治)