<講 師>
小田桐誠 氏(フリージャーナリスト 放送評論家)
BPO(放送倫理・番組向上機構)委員 著書に『テレビのからくり』(文春 新書)、『NHKに明日はあるか』(三一書房)など
横田 一 氏(フリージャーナリスト)
大手メディアが書けないルポ「東京電力の正体」や「安倍晋三の正体」など 政治、環境、利権等に係わる問題で多数の執筆。
●と き
11月28日(金)18:30~
●ところ
東京しごとセンター5F(千代田区飯田橋3-10-3)
飯田橋駅・水道橋駅より徒歩各5分
(会場費300円、含資料代)
主催 出版関連労組交流会議
東京都新宿区東五軒町3-28 双葉社労組気付 TEL 03-3268-3656
問い合わせ先 080-3023-2375
巷ではヘイトスピーチが跳梁跋扈し、週刊誌などには嫌韓反中記事が満載で、国政では歌謡ショーツアーと祭りのウチワで小渕経済産業大臣と松島法務大臣の首が飛びましたが、「政治と金」をめぐる低次元の報道の一方で、高市総務相、山谷拉致問題担当相、有村女性活躍相の極右三姉妹ははばかることなく靖国神社に参拝しても、その「政治と見識」に対するメディアの矛先はおそろしく鈍い状態です。
NHK会長 「政府が『右』と言っているものを、われわれが『左』と言うわけにはいかない。」
安倍首相は、第1次政権時代の2005年に従軍慰安婦をめぐる番組でNHKに圧力をかけ騒動となりましたが、肥大化した第2次極右政権の下で、昨秋、国会同意人事のひとつであるNHK経営委員に百田尚樹(「南京虐殺は無かった」等の主張を掲げる歴史修正主義者で「憲法改正に取り組み、軍隊創設への筋道をつくっていかねばなりません」と公言している作家)、長谷川三千子(改憲・右翼団体「日本会議」の代表委員、非嫡出子が相続できる遺産が嫡出子の半分になる民法の規定を違憲だとした最高裁判決を批判、追悼文集で、1993年に抗議先の朝日新聞社で所属する極右団体の名誉を傷つけられたとして拳銃自殺した野村秋介を称賛)、本田勝彦(日本たばこ産業(JT)顧問、安倍の小学生時代の家庭教師)らを指名しました。そして、経営委員会の任命によって執行部トップの座に就任した籾井勝人NHK会長は記者会見で「政府が『右』と言っているものを、われわれが『左』と言うわけにはいかない。」「慰安婦は戦争国のどこにもいた」等の発言を行ないました。視聴料を徴収し、国民の知る権利に奉仕するという建前を掲げている「公共放送」の変質が、その後の「原発」「集団的自衛権」等をめぐる報道の中でも顕在化してきています。
「国益を損ねた」「売国奴」等、誤報を契機とした朝日新聞バッシングに伴うジャーナリズム崩壊
そして、8月初め、朝日新聞が従軍慰安婦をめぐる25年前の報道の一部につき誤りを認めると、読売・サンケイ等の右派メディアや週刊誌は、自らの報道姿勢を省みて検証することもなく朝日新聞たたきを開始、安倍首相も菅官房長官もともに、「日本の国際的名誉を損なった」として朝日新聞を断罪しました。安倍首相は9月の国連総会で行った演説で「日本を女性の輝ける社会に変えると固く誓言し、戦時下の性暴力をなくすために国際社会をリードしていきたい」などと発言しましたが、朝日たたきで慰安婦問題(戦時下の性的隷属)そのものが無かったかのような言説を率先して社会的に蔓延させているのです。そして、追い打ちを狙い、これまで福島第一原発事故をめぐる吉田調書の開示を渋ってきた政府は、これを公開し、吉田調書の一部をスクープした記事の中の誤報を晒して朝日新聞潰しに拍車をかけ、元朝日新聞記者を講師として雇っている日本の大学が、右翼グループからメールや電話を通じた集中砲火を浴びて、その元記者の解雇を要求される等の事件が続出しました。
朝日新聞の動揺と対応における醜態もありますが、現在の状況は、権力の監視を行うべきジャーナリズムが内外から解体され、多少なりともリベラルな言論さえ排除・抹殺されようとしている危機的な事態です。
私たち出版関連労組交流会議は、これまでも、「メディア 翼賛化と可能性」(2007年、講師=森達也さん)、「原発災害とマスコミ報道」(2011年、講師=山岡俊介さん、寺澤有さん)、「出版・報道の現場から撃ち破れ 秘密保護法-言論統制・監視国家化」(2013年、講師=足立昌勝さん、田原牧さん、横田一さん)など、出版・報道に関わるシンポジウムを開催してきました。特定秘密保護法が施行されようとしている中で、日本のメディアの現状が問われています。この状況に対して、どう捉え、どう向き合っていくのか、11・28シンポジウムで課題を共有し討論を深めていきたい、と考えています。皆さんのご参加を訴えます。