2つあります (1)「子ども被災者支援法」基本方針改悪案へのパブリックコメント (2)福島第1原発事故後4年半=甲状腺ガン以外の健康障害や病気の広がりが懸念されます

1.「子ども被災者支援法」基本方針改悪パブリックコメント

皆様既にご承知の通り,福島第1原発事故による放射能汚染は消えてなくなったことにして,被ばく隠しの利権・土建の祭典=2020年東京オリンピックを開催するもくろみが着々と進められています。その目的は,世界に向けてフクシマの復興をPRすることで福島第1原発事故完全収束を印象づけるとともに,国内に対しては,原発事故被害者への損害賠償・補償や様々な行政レベルの支援を打ち切って被害者を切り捨てることにあります。東京電力の賠償・補償の負担や,国の被害者支援のための財政負担を,一気になくしてしまおうというわけです。今般パブリックコメントにかけられた「子ども被災者支援法」基本方針の改悪(案)は,その政府方針の一環として実施されるものです。

 

しかし実際は,福島第1原発事故の収束はできていないばかりか二次災害の危険性が増すばかりであり,しかも福島第1原発からは毎日のように,空へ,あるいは海へ,大量の,さまざまな種類の放射性物質が排出されています(決して放射性セシウムだけではありません)。また,福島県をはじめ東日本一帯には,危険な放射能汚染地帯が広がっています。被ばくを避けるために避難された方々は生活苦にさいなまれ将来への展望も持てず,また,汚染地域に残った方々も,日々,恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)の環境下で健康が蝕まれています。

 

今回のパブリックコメント案は,こうした実態を完璧に無視し,放射線安全神話・放射能安心神話を原発事故被害者の方々に強引に押し付け,放射能で汚染された元の居住地へ戻ることを経済的に強要するために打ち出されてきたものと言えます。それは「子ども被災者支援法」の主旨に明確に違反した法律違反であるとともに,国家が自分に都合の悪い国民を抹殺するにも等しい重大な人権侵害=国家犯罪行為といえるでしょう。日本はもはや無法国家に等しい状態です。

 

みなさま,パブリックコメントに強力な反撃をお願いします(締め切りは2015年8月8日です)。もちろんこうしたパブリックコメントに対応するだけでなく,あらゆる方法を使って,この政府による原発事故被害者の方々に対する二次的な加害行為=国家犯罪行為をやめさせ,本来国がなすべき支援政策を実現すべく,全力を挙げてまいりましょう。

 

●パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=295150710&Mode=0

 

(参考)(FoE Japan)声明:「子ども・被災者支援法」基本方針の見直しについて ~法を無視した「基本方針」は許されない~

http://www.foejapan.org/energy/news/150710.html

 

(参考)▶ 20150717 UPLAN 【激励行動・院内集会・酷い政府交渉】福島原発告訴団7・17検察審査会激励行動と政府交渉 – YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=voo0NN3MlXI

 

2.福島第1原発事故後4年半=甲状腺ガン以外の健康障害や病気の広がりが懸念されます。

放射線被曝がもたらす健康被害は甲状腺ガンだけではありません。それ以外のさまざまな疾患に注意が必要です。さしあたり次の6つを申し上げておきます。決してこれだけではありません。医学関係に強い方には,今後,放射線被曝を原因として発症してくる病気で注意すべきものを丁寧にご説明していただきたいと思います(できれば,その予防策も含めて:もちろん,放射能や被ばくのない場所へ避難・疎開・移住するのがベストですが)。みなし仮設などの住宅支援を打ち切るなどして避難者を放射能汚染地域に強制帰還させるなど,もっての外の人権侵害政策です。

 

(1)甲状腺機能低下症:甲状腺ガン以外の甲状腺疾患=特に,甲状腺機能低下症(橋本病)が懸念されます。「福島県民健康調査」における甲状腺検査や血液検査の内容と結果評価(及び本人への還元)をもっと充実させるとともに,福島県内では18歳以上のすべての県民に対して,また福島県以外の東日本地域では,子どもも含むすべての年齢層に対して,拡充された甲状腺検査や血液検査が実施されるべきです。

 

(2)白血病:放射線被曝の影響としては,白血病は甲状腺ガンの次に早く出てくる病気です。最近は福島県内で白血病患者が増大しているという話を時折耳にします(たとえば上記の「福島原発告訴団」報告集会での発言者の声をお聞きください)。そのため福島県内の白血病に対応できる病院が満杯になっていて,新たな患者さんに対応できなくなっているというのです。真偽のほどはわかりません。早くこうしたことが起きないよう,白血病に対する対応体制を確立すべきです。下記に白血病の基礎知識のサイトをご紹介しておきます。

 

●白血病の症状・初期症状

http://www.sth3.com/hakketu/syojyo/

 

●小児白血病とは?

http://www.sth3.com/hakketu/syouji/

 

それから,白血病はトリチウムの影響が大きいのではないかと言われています。人間の体内に入ったトリチウムは,政府や御用学者が言うように「水:トリチウム水」としてだけ体内に存在するのではなく,有機物や一般化学物質と化学結合して長期間体内にとどまり,それがDNAやヒストンたんぱくに集まってきて濃縮され,さまざまな健康被害をもたらす可能性があることが伝えられています。トリチウムは福島第1原発の汚染水にわんさと含まれていますが,それだけではなく,福島第1原発から水蒸気となって大気中に拡散し,それがかなり広範囲の自然の動植物・農作物に取り込まれてしまうことも考えておかなければなりません(有機結合型トリチウム)。トリチウムに警戒を高めましょう。

 

(参考)その危険が過小評価されてきたトリチウムの影響

http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20150627.pdf

 

(3)セシウム心筋症:プロゴルファー佐々木久行氏が48歳で急死したことが福島第1原発事故に伴う放射性セシウム汚染と結び付けて考えられているように,放射性セシウムは心臓に集積しやすい性格があり,しかも心筋に対して有害です。下手をすると心筋梗塞で急死しかねません。福島県内では,心臓疾患による急死が増えているという話もだいぶ前から時折耳にしますが,きちんとした調査がなされないので真偽のほどはわかりません。しかし,このままではいけないのではないでしょうか。いわゆる不審な原因不明の急死を含めて,死亡原因をはっきりさせた「死亡統計」の充実が必要不可欠です。そうしないと,放射線被曝関連死が闇から闇に葬られてしまいます。(原因不明の急死については,法医学的な対応を行って死体解剖を行い,心臓への放射性セシウムの影響を見定める体制をとるべきです)

(4)白内障:従来は老人の病気,あるいは糖尿病が併発する病気でしたが,放射線被曝によって若い世代にも発症してきます(水晶体細胞をつくる幹細胞が放射線でやられてしまい水晶体が老化したままとなるため?)。要注意です。放射能汚染地域での疾患統計を整備すべきです。

 

●白内障 – Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E5%86%85%E9%9A%9C

 

(5)免疫疾患:血液検査などを充実させ,特に子どもたちの健康影響をしっかりと確認し,異常がみられる場合には,免疫力回復のための各種治療や,今以上の被ばく回避のため,避難・疎開・移住などの措置と,それに対する政府や都県の支援がなされるべきです。

 

(6)遺伝的障害と死産:これは上記(3)で申し上げた「死亡統計」の充実と同時並行して実施されるべきです。また,放射線被曝の遺伝的障害へも万全の注意が必要です。動物実験などでは放射線被曝の遺伝的障害がみられていますから,人間でも当然に起こりうると考えておくべきです。