21世紀版「女の平和」への期待 ―橋下倒すにゃ刃物は要らぬ―

著者: 半澤健市 はんざわけんいち : 元金融機関勤務
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 橋下徹(大阪市長・「日本維新の会」共同代表)の暴言は日本の政治を一変させるかも知れない。否、一変させて欲しいので私はこの一文を書くのである。

《維新とみんな》
 橋下徹・石原慎太郎の二人は、揃って戦時下の女性の性的苦役を正当化する発言をした。そういう党首を戴く党員は「あれは個人の発言だ」などと言っている。発言の含意は女性蔑視だけではない。男性をも貶めている。橋下は発言の取消も謝罪も辞任もしないと言っている。当否は選挙で決めてくれといっている。決めてやろうじゃないか。
全ての女性有権者が維新の会をボイコット(投票には必ず行くが本稿で述べる三党には一票も投じない)すれば6月の都議選、7月の参院選で維新は壊滅するであろう。
相手は維新の会だけではない。選挙協力を強調していた「みんなの党」も同じである。
渡辺喜美はその提携取消に懸命である。お前は人を見る目がないのか。こんなポピュリストを許してはならない。

《安倍自民党が本丸である》
 なによりも真の敵は自民党である。この政権は2012年12月に全国民の3割ほどの支持で天下を取った。国会中継での安倍晋三首相の表情を見るがよい。薄笑いを浮かべて質問を聞いている。答弁の語尾が終わる前にフッと横を向いて答弁席を離れる。傲慢だ。
安倍は本音では「大日本帝国」の「侵略」を否定したいのである。河野・村山談話の継承を認めたくない。しかし韓・中だけでなく米国も反発したので渋々認めた。また出してくるに違いない。橋下が、女性の性奴隷化の実在と必要性を認めてしまったので、安倍は「私は立場がちがう」などと言っている。しかし右翼揃い踏みの「慰安婦の強制連行はなかった」論にしっかりと与している。問題を矮小化しつつ論点を外している。
安倍自民党は、極右イデオロギーを「維新」に代行させ、新自由主義を「みんな」に代行させて憲法改悪と民主主義の破壊に突進する政党である。

《日本版「女の平和」の武器は投票用紙》
 新自由主義と対米従属による「政・官・財・学・メディア」複合体の利益擁護。これが彼らの役割である。その途上で「極右」と「対米従属」のイデオロギーの矛盾・齟齬の調整をしているのが今日の状況だ。
アリストパネス作の喜劇『女の平和』は、紀元前のギリシャで女性の性ボイコットが平和をもたらすという反戦劇であった。21世紀の日本における「女の平和」は、彼女らの一枚の投票用紙によるボイコットで実現可能である。安倍政権を倒すのに刃物は要らないのである。私は今風のジェンダー論についていけない高齢者であるが、女性反乱の後衛についていきたい。拙文が、心ある人々によって日本中に拡散されることを願っている(2013年5月17日)。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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