3・20ルネサンス研究所・定例研究会 沈黙と爆発 ―― 水俣病を“かくす”ことと“ひらく”こと

日時 : 2017320日月曜日・祝日

場所 : 文京区民会館 3階 3D会議室―いつもと会場が違います。ご注意を。

   都営地下鉄春日駅 地上に出て至近

開場 : 18:00~  開始 : 18:30

報告者 : 丹波博紀さん(大学非常勤講師 専攻倫理学)

題名 : 沈黙と爆発――水俣病を“かくす”ことと“ひらく”こと

 ■要旨 :
 水俣病は195651日に公式確認された。昨年には公式の確認から60年目を迎えたが、いまだ多くの人の認定申請がつづき、損害賠償や義務づけを求める訴訟も継続中である。当初、水俣病は奇病とされ、伝染病であることが疑われた。そのことが否定されたあとも、水俣病であることを名乗り出ることは、企業城下町・水俣において「補償金ほしさ」として非難の対象とされつづけている。
 こうした水俣病問題において、みずからの水俣病を“かくす”こと(しかしなんらかの行政上の措置により医療費などが支払われること)は、望まれるべき状況だともいえる。だが、にもかかわらず、ある人びとは水俣病であることを表立って“開示し”、その公的な認定を求め、現在まで訴訟や自主交渉によって 国・県・チッソと係争をつづけてきた 。そうした、みずからを公的空間に“開示し”係争する人びとは水俣病の歴史をみても、けっして多いとはいえない。だが、その人たちが状況、いわば“壁”を穿ってきたことはたしかである。本報告では、そうした人びとの“かくす”ことと“ひらく”ことに焦点を当て、その意味を考えてみたい。