3/16のいろいろ情報:高浜3,4号再稼働停止判決について、週刊プレイボーイ・被ばく報道連載、川内原発 避難線量半数測れず、規制庁「問題ない」、いわき市民測定室「たらちね」他

1.(メール転送です)高浜3,4号再稼働停止判決について

他のMLで送っていただいたものです。

(1)(別添PDFファイル)2016年3月13日3月9日の大津地裁決定についての私の感想(山田耕作さん)

(2)大津地裁判決についての感想:山田耕作さんのメール(上記)を受けて(渡辺悦司さん)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

もしも少し付け加えさせていただけるとしたら、法律的な面では、決定が法律的に見て非常に「手堅い」判断であって、原発の安全性の「立証責任」と、それにともなう「疎明(説明)を尽くす義務」とを電力会社に負わせた点が重要だと思います。このことは、テレビ朝日の「報道ステーション」のなかで、コメンテーターとして出演した憲法学者の木村草太氏も指摘していましたが、的を射ているのではないでしょうか。

つまり、決定は、

(①)伊方原発に関する最高裁判決において確定された判断――原発の安全性について、安全性に関する資料の多くを持っている行政側に、立証責任を負わせた――を電力会社に拡大し、住民側ではなく関電側に、安全性を証明する「立証責任」があると判断したこと。

(②)それに基づいて、当該原発の安全性に関して、裁判所が「十分に」納得できるような(したがって非専門家の住民や一般人が納得のいく)「資料を提出」し「説明を尽くす」義務を、再稼働する電力会社に課したこと。

(③)関電の説明が「尽くされていない」ことをもって「関電の判断に不合理な点がある」と判断したこと。

(④)原子力規制委員会が設置変更許可を与えたというだけでは、安全性に関し十分な「主張や証明があったとは言えない」と判断したこと。

――等の点で、画期的な意義があッたと思います。その結果として、

(⑤)この決定により、今後の裁判の展開がどうなるにせよ、法的に、あわせて政治的・社会的にも、今後の再稼働にとって仮処分裁判が高いハードルとなる状況が生みだされたこと。

(⑥)これらは、この裁判闘争を指導された井戸弁護士をはじめ弁護団の努力の成果であるとともに、全国の再稼働反対の広範な運動や世論のバックアップがあって初めて可能になったものであること。

というような内容を付け加えてもよいかなと感じます。この点は、すでに皆さまにお知らせしましたように、日経社説のトーンの変化によく現れています(3月13日)。財界紙ともいえる日経が、決定について、いろいろ「疑問」を呈しながらも、次のように書いていることに注目すべきです。

●「(大津地裁の決定のように)過去の判例に縛られない司法判断があってもよい」、

●「(決定には)関電や国が重く受け止めるべき点も多い」、

●「高浜4号機は2月末に再稼働したが、直後に緊急停止した。大津地裁が指摘したように関電は安全確保に厳しく向き合っているのか、心配だ」

これらの主張には、技術的なトラブルの深刻性という面からも、法律面からも、十分根拠があると考えるべきです。支配層側の「動揺」と考えてよいのではないでしょうか。

(参考)日経・社説:原発止めた地裁判断への疑問

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO98377090T10C16A3PE8000/

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.『週刊プレイボーイ』が福島第1原発事故に伴う放射能汚染や被ばくの特集記事を連載しています。お見逃しなく。

(1)原発事故から5年たっても、福島の汚染地域は住んでいいレベルではない!!(桐島瞬『週刊プレイボーイ 2016.3.21』)

非常に重要なことが書かれていました。私もこの記事を読むまではだまされていたのだなと思った次第です。川や湖沼や海の底の土・泥には放射性セシウムをはじめ放射能で汚染されてはいるが、水についてはよほどのことがないと検出されることはない、そういう報道をこれまでずっと見てきました。しかし、この川や湖沼や海に、リネン(麻布)を長時間浸けておいて、それからそのリネンの放射能を測ってみたら、かなりの放射能が出たんだそうです。つまり、川や湖沼や海の水も放射能に汚染されていました。水は汚染されていないのではなくて、汚染が分からないような測り方をされて隠されていたということです。だったら、関東や東北の各地で、この「リネン方式」による水の放射能汚染の検査を大規模にしていかなくてはいけませんね。東京の水道水は大丈夫なのかしら。非常に心配です。それに放射性セシウムだけの話ではありません。

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(前略)居住制限区域の飯舘村西部から南相馬市在経由して、太平洋に注ぐ新田川。市民の水源として使われるこの川は、本誌10号で伝えた除染廃棄物を処理する蕨平(わらびだいら)焼却場のすぐ近くを流れている。福島県や国の発表では、新田川の川底にたまる泥からは、1600Bq/kgほどの放射能が計測されているが、水からは1Bq/kgも出ていない。

しかし、昨年9月、市民団体が南相馬市原町区・中川原橋付近でこの川に麻布(リネン)を8日間浸した。回収した布の放射能を測定したところ、3430Bq/kgという高濃度のセシウムが検出された。

(中略)長崎大学大学院工学研究科の小川進教授は、水中のわずかなセシウムをリネンが吸い取ったからだと指摘する。「リネンを長時間浸しておくと、流量X断面積X時間分の放射性物質が吸着します。水中の粘土鉱物、菌類、落ち葉などの浮遊物、プランクトンにセシウムが付着しているのです」(小川氏) つまりそれは、水単体の検査では放射性物質が不検出でも、その水を飲み続ければ、少しずつ体内にセシウムが蓄積することを意味する。

(中略)イチエフから沖合1.5km地点の海水も測定してみた。これまでイチエフ周辺の海水を測定したが、セシウムは検出されなかった。比重が水より重く、海底に沈むからだ。だが今回、新田川で行なったりネン法を用いて放射能測定をすると、海水を含んだ布から37Bq/kgのセシウムが検出された。やはり海水中にセシウムは含まれていたのだ。

前出の小川氏によると、「セシウムを含んだプランクトンを回遊魚が食べると、工ラの部分に吸収されます。こうして魚類の体内には、海水の100倍以上の濃度で蓄積されるのです」

(中略)2月下旬、4月からの避難指示区域解除が予定されていた南相馬市小高区で住民への説明会が関かれた。住民からは「除染が終わっておらず、まだ放射線量が高い所もあるから解除は早い」とする芦が相次いだ。ところが国の担当者は、住民を突き放すようにこんな趣旨で答えた。

「空間線量が年間20mSvを下回り、なおかつ生活環境の整備と自治体の同意が得られれば、避難指示は解除できるのです。除染が終わらないと解除ができないということではありません」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(2)原発事故から5年たっても、首都圏で福島より放射能汚染のひどい場所があった!!(桐島瞬『週刊プレイボーイ 2016.3.28』)

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(中略)身の回りが放射能汚染されていることで心配されるのは健康への影響だ。確かに今の汚染レベルは急性被曝症状を示す値でない。しかし、心配なのは長期的な影響だ。

「低線量被曝の影響はジョン・ゴフマン、ジェイ・クルード、グロイブ・スターングラスといった研究者たちが指摘しています。具体的には、IQの低下や精神障害の増加、流産、奇形児などです。福島や汚染された首都圏でも30年から40年後に被曝影響が出るのではないでしょうか」(小川氏)

さらに小川氏は、被曝量が少ないから健康への危険性はないと話す専門家にも警鐘を鳴らす。「原発から飛散した2000種類以上の核種の中にはガンマ線やベータ線だけではなく、細胞に対する強力な破壊力を持ったアルファ線も含まれています。それを考慮せず、レントゲンで使われる工ックス線被曝と同じレベルで語ることが間違いなのです」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3.川内原発 避難線量半数測れず、規制庁「問題ない」(東京 2016.3.16)

(関連)東京新聞川内原発周辺 装置の半数、即避難線量を測れず 監視不十分で再稼働政治(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016031402000212.html?ref=rank

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-10499.html

4.SPEEDI 自治体の責任で活用 政府が容認、原発再稼働へ地元同意狙う(東京 2016.3.16)

http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/ASJ3C5G7XJ3CULFA01P

(関連)【原発事故】自治体のSPEEDI活用を政府が容認へ!国は使わない方針!安倍政権「活用することを妨げない」|真実を探すブログ

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-10472.html

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

原発事故時、放射性物質の拡散を予測するSPEEDIを住民避難のために自治体が活用することを、政府が十一日に容認した。一昨年十月に決めた「使わない」方針を転換した。だが、政府自身は「予測通りに拡散するとは限らず、無用の被ぱくを招く恐れがある」という姿勢を崩さず、今後も活用しない。活用の判断を自治体にゆだね、責任を押しつけたような形となっている。

(中略)(元民主党衆院議員の)川内(博史)氏は「住民の避難を担当する自治体の切実な要請に対し、『使いたいならどうぞ』という国の姿勢は無責任にすぎる。パニックになるというが、責任を追及されたら因るというのが本音ではないか。パニックになるのは政府や電力会社の方だろう」と話し、政府が積極的に活用しないことの方を問題視する。

(中略)「予測データの活用容認は、再稼働対策という意味もあるんじゃないか」と、反原発・かごしまネットの向原祥隆(むこはらよしたか)代表は話した。東電は経営再建のために柏崎刈羽原発の再稼働が欠かせないというが、立地する新潟県の泉田知事は、再稼働を容易に認めそうにない。「SPEEDIで譲歩し、その腰を折ろうというのではないか」

一方で、予測データの活用は避難の一助にはなるが、「本質的な部分は何も解決しない」と指摘する。鹿児島県では九州電力川内原発が運転中だが、「避難計画は、渋滞予測や複合災害で道路の寸断が起きるといった想定が甘い。計画通り避難できるとは思えない。安全に避難できない以上、原発を動かすべきではない」。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5.その他

(1)【スクープ速報!】「想定外の巨大津波」は実は想定の範囲内だった!震災から5年、東電が「巨大津波」を予測できていた「新証拠」を福島原発告訴団・代理人の海渡雄一弁護士が岩上安身のインタビューで証言!「何度も司法記者クラブで話したが、新聞は記事にしなかった」衝撃の事実をIWJで公開!!

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/291231

(参考書)市民が明らかにした福島原発事故の真実 東電と国は何を隠ぺいしたか-海渡雄一/著 福島原発告訴団/監修 :オンライン書店e-hon

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033394716&Action_id=121&Sza_id=C0

(2)脱原発弁護団全国連絡会  全国脱原発訴訟一覧

http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/list/

(原発運転差し止め裁判の「空白地帯」は、残すところ、青森県の東通原発だけになっているようです:田中一郎)

(3)認定NPO法人 いわき放射能市民測定室 たらちね:最近の測定結果

http://www.iwakisokuteishitu.com/pdf/weekly_data.pdf

(同上:少し前に測った分)

http://www.iwakisokuteishitu.com/result.html

(4)安保法制違憲訴訟の会

https://anpoiken.wordpress.com/

t1t2〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5975:160319〕