8割の議席を得た民主派議員がいかに政情を不安定化させるかが今後の香港を占う上でカギとなるだろう

岡田充共同通信客員論説委員の『海峡両岸論 第108号 2019.11.23発行 - 中国の一党独裁とは何なのか 危機感あらわにした4中総会-』を拝読して,最近の中国の,政治的状況がよく分かった。また文章も素晴らしく大いに参考になった。岡田氏及びちきゅう座編集部に初めにお礼申し上げたい。

思い出すのだが米軍とNATO軍が人権侵害を理由にユ-ゴスラビアを攻撃し解体した。いくつかの宗教,多民族が平和に共存する国で多くの人々が殺され,難民が大量に発生した。リビアやシリアもそうだが最近ではボリビアやベネスエラでも米国の関与が明らかになっている。関与とは政権転覆を指す。中国も政権転覆の対象であり,最終目標はロシアの解体である。政権転覆し解体した後は,多国籍企業や大企業がその利権を奪う図式になっている。例えばウクライナでは革命によって元大統領が追い出された。そしてバイデン副大統領の息子がある企業の重役に着いた。しかしトランプは今それらの関連を問題にして弾劾の憂き目に遭っている(しかしオデッサでネオナチによる大量虐殺があったことを問題にしていない)。弾劾派とトランプの力関係は逆転しそうだが,主権侵害,政情不安定化工作,NGOを送り込むなどその手口は決まっていて,人権侵害が行われていることを理由に政権転覆を図るのである。米国務省の目下の照準は中国に充てられている。

そこで岡田論考をみるに簡にして便。中国の現状を次のようにまとめられている;「米国を中心に世界で巻き起こるさまざまな中国叩きの多くが、

1、中国の主権と内政に関わる問題

2、米中対立の延長としての中国叩き

3、AI監視社会の功罪 の三つが混在して取り上げられ、論じられている点である」と区分けされているのは一つの見識である。

ウクライナ政変ではポ-ランドで訓練を受けたと言われるネオナチの狙撃手が後ろから警官隊を狙撃した。すなわちAI監視がない事を理由に反大統領派は悪さを自国民にも警官隊にも行うことができた。「2」の対中叩きはすでにオバマ大統領時代から始まりインド洋-南沙諸島をとを結んでピボット封じ込め政策をとった。オバマはヌ-ランド国務次官補を更迭しなかったが,トランプは死神ボルトンを解任した。差は明らかである。

「1」の主権と内政について付け加えれば,内政つまり政情を不安定にすることによって主権を奪うという点でまず初めに内政が問題となりしかる後,主権が奪われるのが政権転覆の定石である。したがってイランでもロシアでもNGOが入り込み「政情不安定化工作」を担っている。香港の場合は,モロトフ型火炎瓶を投げつける若い暴徒である。香港議会では民主派が8割の議席をとった。これがいかに香港を不安定化させるかが今後の焦点となろう。

追記:岡田氏は拘束された外国人に関する情報がない事を遺憾に思われているが小生も同感。しかし日中領事協定の中に,両国で秘密にするという合意があるのではないかと疑っている。例えば先月日本政府と公安は中国から持ちだされた国宝級の青銅器を返還した。しかしそれ以上の情報がないからである