いのちを弄ぶ(もてあそぶ)シオニスト/イスラエル(世界を弄ぶアメリカ)それを創り支え護ってきた欧米中心主義に抗い(あらがい)知の楔(くさび)を打とうと歴史の落とし穴を庶民のことばで切々と解き明かす老碩学、列島の被差別者―アイヌ・琉球・在日—5時間超のビデオ録画配信
2025年7月12日(土) 於:札幌市教育文化会館
第5回
反植民地主義フォーラムin北海道「響き合うパレスチナとアイヌ」主催:パレスチナ連帯・札幌
(連絡先:松元保昭 y.matsu0029@gmail.com)
先月12日(土)札幌市教育文化会館研修室にて100名弱の聴衆を迎え、さらに50名のオンライン参加を加えて開催された。集会準備に労された方、ご賛同いただいた方々をはじめ参加者のみなさまには改めて御礼を申し上げます。冒頭、ガザの犠牲者を追悼して全員の黙祷をもって始められました。
緊張感に包まれた会場で、板垣先生は学者の解説などでなく地声で自らの問題意識をレジュメに沿って語り始め、3時間近く終始庶民のことばで所信を語り尽くした。
メディアなどに流布される歴史の落とし穴は、「だまし・スリカエ・おどし・とぼけ・偽善など」に覆われていて気が付くのに時間がかかる。イスラエル諜報機関に支配されていた「イラン・イスラーム革命」を知らない人々の「イランの核問題」、イスラエルの核使用を知らない人々の「イスラエル核武装」、ウクライナ民族主義ネオナチとイスラエル・アメリカも関与した2014年マイダーン・クーデターを知らない人々の「ロシアのウクライナ侵攻」、あるいは、ナチ政権の棄民政策=パレスチナ植民事業とシオニストの共犯関係、さらに「ホロコーストの利用」「反ユダヤ主義の利活用」を知らない人々の「イスラエル」理解など、いたるところに落とし穴が仕掛けられているのが、現実の歴史だ。これに抗い庶民のことばで一枚一枚化けの皮を剥ぐように語るには、膨大な時間が必要となるだろう。
板垣先生の知的誠実は、パワポ印刷用を参加者のために別途準備されたくらい庶民の言葉でこの手間を厭わず地声で語り続けた(「だまし・スリカエ、…ボタンの掛け違い」などは学問用語ではない)。それでも、レジュメの最終章Ⅴの解説は時間が足りなかったし、ましてパワポに準備された「ボタンの掛け違いの起点を考える5枚分」については、解説する時間もなくみなさんと考え合うことが出来なかった。
時間配分に責任ある主催者としては、95歳の老碩学の知的誠実を札幌に遺していだだくことを優先することがぎりぎりの判断だった。時間超過を招いた主催者としては、後続の発言者にも参加者のみなさんにも、お詫びを申し上げなければなりません。
とはいえ、振り返って改めて深刻に考えさせられたことは、われわれ和人の側がアイヌ・琉球・在日の方々と、あるいは「朝まで生テレビ」じゃないけれど、その相互の間でも長時間語り合い聴き合ったことがどれだけあったであろうか、ということだった。本来ならアイヌ・琉球・在日のそれぞれ数人の方々に発言してもらってから考える必要さえあったのではないか?互いに語り合いを深めることなく見過ごし、「—だまし・スリカエ・おどし・とぼけ・偽善ー」を見抜けずにきた、列島の「われわれ」ではなかったのか?
●<レジュメの目次のもくじ>⇒「正義は死んだ」というところで、国家を超える生き方はどうあるべきか?
Ⅰ] 無法と自滅の世界
認識の落とし穴(だまし・スリカエ・おどし・とぼけ・偽善)
① イラン核開発問題 悪者制裁 ⁄ イスラエルの自衛権擁護・核武装は不問
② 冷戦終結の形態 / NATO拡大 / 米国のウクライナ戦争
③ 現代イスラエル国家の人工性 / 反ユダヤ主義とシオニズムの関係 /
ナクバが出発点か? / ホロコーストを繰返さない責任 / IsraeliteとIsraeli
Ⅱ] パレスチナ人という存在
Ⅲ] イスラエル国家体験、その極限状況
Ⅳ] 危機の中東諸国体制
Ⅴ]人類史における国家主権の動揺と解体 世界大変動の中の日本
⇒国家を超える生き方の可能性:変革主体の「場」として5つの例示:さらにn地域アイデンティティ複合
●<パワポのタイトル表示>
2015イラン核最終合意JCPOA
P5+1ウィーン⇒イスラエルの核武装⇒ウクライナ戦争初期段階の異様な現象⇒なぜ/またいかにして/崩壊状況の現在に?その起点は、どこに見定めるべきか?パレスチナ問題という根源⇒2014年のウクライナ⇒二分法と人種主義による社会的差別、キリスト教とユダヤ教⇒シャバタイ・ツヴィのメシア運動とシオニズム⇒UNGA181分割予定図と六日戦争によるイスラエルの占領地域図⇒消えゆくパレスチナ⇒シオニスト列伝⇒読書案内⇒中東地域全図⇒中東諸国体制⇒文明戦略マップ⇒日本の人種主義・植民地主義・軍国主義⇒日猶同祖論の視角をどう見るか⇒ユダヤ人イスラエルの子ら/ヘブライ人…⇒ユダヤ人(続き)⇒シオニズム⇒シオニズム(続き)オポチュニズム、ご都合主義・成り行き主義⇒ホロコースト⇒イスラエル国家⇒イスラエル国家(続き)⇒不条理と不正義が充満する世界⇒世界の壊れ方:現下の危機の様相⇒ボタンの掛け違いの起点を考える(1)_1⇒ボタンの掛け違いの起点を考える(1)_2⇒ボタンの掛け違いの起点を考える(1)_3⇒ボタンの掛け違いの起点を考える(1)_4⇒ボタンの掛け違いの起点を考える(2)
※以上、これは聴衆用に印刷配布するためにわざわざ作られたものです。講師が札幌の聴衆に何を考えて欲しかったか、十分に議論する時間はなかったが考えていただきたい。
とくに日本の場合、「ボタンの掛け違い」をどのように考えたらいいのか、アイヌ民族差別、琉球・沖縄差別、在日コリアン差別が織り込まれたわれわれの足元の課題整理が求められているが、そのヒントが並べられている。敗戦にすべてが始まるわけでもあるまい。他日を期したい。
さて、第三部総合討論の「和人社会と日本国家を問い糺す」で成田さんは、「結論から言うと、謝罪せよ!賠償せよ!ということですが、明治150年だけでなく幕藩制下の場所請負制から考えると天文学的な数字になります。もっとも大事なことは、アイヌ民族自身が自主的に一致団結した政治的な力を持つことです。」と提言した。
これに和人として応答した板垣先生は、父親が植民政策先導の道庁官吏だったことを含め、「日本と世界の人種主義・植民地主義・軍国主義を考えるときに、われわれの足元にあるアイヌ民族・琉球民族・在日コリアンを念頭に語って来たつもりだが、成田さんの言うシサム(和人)との連合・連盟に自分も努力する」と誓って集会を締め括ったのでした。
【動画】第5回
反植民地主義フォーラムin北海道「響き合うパレスチナとアイヌ」約5時間
https://youtu.be/FnItcztknzY
【板垣雄三レジュメ・パワポ一式】
https://drive.google.com/drive/folders/1xI5br4w3D8X8a9y5BNqUkO03TaKDepS6?usp=share_link
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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