(2022年7月10日)
DHCスラップ訴訟・DHCスラップ「反撃」訴訟では、多くの皆様に、お世話になりました。1914年4月に始まったこの訴訟は、まずは私が被告にされた訴訟が、東京地裁から最高裁まで3ラウンドで私が勝訴し、さらに攻守ところを変えた「反撃」訴訟が、これも東京地裁から最高裁まで3ラウンド。合計6ラウンドの闘いで、全て私の完勝となりました。
この訴訟は、昨年1月に終了しましたが、その顛末をようやく一冊の書にまとめて、7月中に発刊の運びとなりました。既に、日本評論社のホームページに、「これから出る本」として紹介されています。「スラップされた弁護士の反撃そして全面勝利」という副題。弁護団長・光前幸一さんの丁寧な解説が付されています。
8年前の5月のある日、突然に理不尽なスラップを仕掛けられた当初に思ったことは、ともかくこの訴訟を勝ちきらねばならない、ということだけ。しかし、多くの人たちからのご支援を得て余裕ができてくると、これは私一人の問題ではないと実感するようになって思いは変わりました。
単に仕掛けられたスラップを斥けて良しとするのでは足りない。スラップ反撃の成功の実例を作らねばならない。そして、スラップを仕掛けた側に、典型的な失敗体験をさせなければならない。DHCと吉田嘉明に、「スラップなんかやってたいへんなことになってしまった。スラップなんかやるんじゃなかった」と反省させなければならない。そしてそのことを世に伝えなければならない。そう思うようになったのです。
この本の中では、DHC・吉田嘉明に「スラップの成功体験をさせてはならない」と書いたのですが、本当のところは「スラップの失敗体験をさせなくてはならない」という決意でした。
まずは、自分の言論を萎縮してはならないという思いから、「澤藤統一郎の憲法日記」に、「DHCスラップ訴訟を許さない」シリーズを猛然と書き始め、これは既に第200彈を超えています。そして、反撃訴訟を提起して、これも勝ちきることができました。DHC製品の不買運動も呼びかけています。私の思いはほぼ達成できたとの満足感があります。
残るのは訴訟の顛末を世に報告するということ。この書の出版によって、ようやく重荷を下ろすことになりそうです。多くの人に支えられ、多くの人を頼っての勝利であって、私はこの間誰よりも幸せな被告であり原告であり続けました。これは私が恵まれた立場にあったからですが、それだけに、スラップへの対抗例を報告しなければならないと思い、読みやすい形でまとめることができたと思います。
この書を、スラップ批判の世論を形成するために広めていただき、さらには実践的なスラップ対応テキストとしてご活用いただけたらありがたいと思っています。
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「DHCスラップ訴訟 ー スラップされた弁護士の反撃そして全面勝利」
著者 澤藤統一郎
予価:税込 1,870円(本体価格 1,700円)
発刊年月 2022.07(中旬)
ISBN 978-4-535-52637-2
判型 四六判 256ページ
内容紹介
批判封じと威圧のためにDHCから名誉毀損で訴えられた弁護士が表現の自由のために闘い、完全勝訴するまでの経緯を克明に語る。
目次
はじめに
第一部 ある日私は被告になった
1 えっ? 私が被告?
2 裁判の準備はひと仕事
3 スラップ批判のブログを開始
4 第一回の法廷で
5 えっ? 六〇〇〇万円を支払えだと?
6 「DHCスラップ訴訟」審理の争点
7 関連スラップでみごとな負けっぷりのDHC
8 DHCスラップ訴訟での勝訴判決
9 消化試合となった控訴審
10 勝算なきDHCの上告受理申立て
【第1部解説】DHCスラップ訴訟の争点と獲得した判決の評価……光前幸一
第二部 そして私は原告になった
1 今度は「反撃」訴訟……なのだが
2 えっ? また私が被告に?
3 「反撃」訴訟が始まった
4 今度も早かった控訴審の審理
5 感動的な控訴審「秋吉判決」のスラップ違法論
【第2部解説】DHCスラップ「反撃」訴訟の争点と獲得判決の意義……光前幸一
第三部 DHCスラップ訴訟から見えてきたもの
1 スラップの害悪
2 スラップと「政治とカネ」
3 スラップと消費者問題
4 DHCスラップ関連訴訟一〇件の顛末
5 積み残した課題
6 スラップをなくすために
【第3部解説】スラップ訴訟の現状と今後……光前幸一
あとがき
資料
DHCスラップ訴訟|日本評論社 (nippyo.co.jp)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2022.7.10より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=19481
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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