DHC・吉田嘉明のふざけた回答と関連事件 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第122弾

本日(2月16日)午後1時から、DHCスラップ訴訟口頭弁論。DHC・吉田嘉明側は、本日法廷で本訴債務不存在確認請求事件を口頭で取り下げた。これで、本訴がなくなって、私が原告になっている損害賠償請求反訴事件だけが残った。
かくて私は、被告業から念願の原告業に転業したことになる。バンザイ、と言うべきだろうか。
本日の法廷では、まずは反訴原告(澤藤)からの求釈明に対する反訴被告(DHC・吉田嘉明)の不真面目回答。この不誠実でふざけた回答は、DHC・吉田嘉明の非常識な姿勢を露わにしているだけでなく、結局のところDHC・吉田嘉明の回答不能を物語っている。あるいは、回答すれば不利益となることを自認しているもの。ところが、思いがけなくも裁判所からDHC・吉田嘉明側に、「求釈明で提出を求められている関連事件の訴状や判決書を、任意に提出してはどうか」と勧告があり、2月23日(金)までに、訴状・一審判決・二審判決などを提出の約束となった。
任意に提出された関連事件訴状や判決をよく読み込んだ上で、澤藤側から、再反論の準備書面を提出することになり、次回期日は4月26日(木)13時30分、415号法廷となった。
もう一度、澤藤側の求釈明事項とDHC・吉田嘉明の釈明、つまりは「問」と「答」を並べてみよう。そして、若干のコメントを付け加えてみたい。
(1)反訴被告吉田が週刊新潮に告白した事実に関し、反訴被告らを批判(事実無根の誹謗、中傷)する記事やブログは合計何件あったのか。
回答《多数あった。》
「合計何件あったか」という問に対する回答が、《多数あった》である。幼稚園児との会話の如くである。要するに、正確な回答が自分に不利益であることを自認するものにほかならない。
(2)批判する記事やブログはすべて「反日の徒」なる当事者からのものであったのか。「反日の徒」とはいかなる概念か。
回答《回答の必要性なし。》
「回答の必要性なし」の理由は、回答に窮し回答不能だからである。吉田嘉明によれば、私(澤藤)は「反日の徒」とのことである。何ゆえ、私が「反日の徒」であるか、是非とも聞かせていただきたい。
この法廷のあと、国税庁を包囲した納税者一揆でのコールが、「佐川は逃げるな」「佐川は出て来い」「昭恵も出てこい」というものだった。まったく佐川と同様ではないか。旗色悪くなると、「回答の必要性なし」と逃げる姿勢はみっともない。みっともないでは言葉が足りない。卑怯千万というほかはない。自分の言葉に責任を持てないのだ。逃げずに、堂々と、「『反日の徒』とは、かくかくの意味である」「澤藤はこれこれの理由あるから『反日の徒』なのだ」と言ってみたらどうだ。
(3)反訴被告吉田が反日と評する当事者以外の者からも、反訴被告らを批判する記事やブログは存在したか否か、存在した場合はその合計件数。
回答《多数あった。》
件数を聞かれて、「多数あった」は答えになっていない。不誠実きわまるというほかはない。もともと、真っ当な訴訟進行などする気はないのだ。公の場で、真っ当ならざる姿勢をさらけ出して意に介さない、その種の輩なのだ。
(4)提訴基準とした「特に悪辣なもの」とは、具体的にどのようなものか。「悪辣」の要素に、「反日」なるものが含まれているのか。
回答《悪辣とは,反訴原告(澤藤)の記述のようなものである。》
この回答自体を「特に悪辣なもの」と指摘せざるを得ない。DHC・吉田嘉明は、少なくとも10件の同種関連事件の提訴をしたことを認めている。「多数」の批判記事やブログの中から、10件を選定した提訴基準を「特に悪辣なもの」と言っているのだ。「特に悪辣なもの」では分からない。いったい何が、具体的提訴基準だったかを問うているのだ。それに対して、「悪辣とは、反訴原告(澤藤)の記述のようなもの」では、まったく提訴基準を示しえていない。ということは、常識的な判断としては、提訴基準などは存在せず、吉田嘉明にとって耳が痛い順、あるいは吉田嘉明にとって真実を衝かれたことにより恫喝と封殺の必要を感じた順に10件を選んだと推認せざるを得ない。
(5)「確実に勝訴の見込みがある」ことの慎重な判断には、どの程度の時間と労力を費やし、どのような判断基準を採用したのか。その際、相手方との事前交渉を考慮したことはなかったのか。事前交渉をしたものがあるとすれば、その件数と内容。
回答《反訴被告ら代理人が相当の時間をかけて検討の結果,確実に勝訴の見込みがあると判断したものであり,事前交渉したものも複数あった。》
何とも、具体性に欠け自信のない回答だが、決して無意味なものではない。人証の申請に生かすことができる。尋問事項の作成にも役立つ。
(6)必ず勝てるとの判断は、検討に加わった顧問弁護士を含めた全員一致の結論か、それとも、顧問弁護士らの意見を踏まえた上での反訴被告吉田の判断か。
回答《検討に加わった顧問弁護士全員の判断である。》
そんなことはあるまい。これは措信しがたい。私に対する提訴も含んで、関連事件はすべてスラップ訴訟と言わざるを得ない。普通の能力を持った弁護士が「必ず勝てる」などと判断をしたとはとうてい考えられない。吉田嘉明のスラップ提訴の意図を止められなかったか、止める意図がなかったかだ。代理人らの責任も大きい。
(7)提訴件数は、反訴原告が知り得た10件のみか。提訴した事件の内容とその結末(提訴した全事件の訴状と、結末が分かる判決書もしくは和解調書を提出されたい)。
回答《10件のみである。訴状や判決等を開示する必要性はなく,反訴原告らにおいて必要なら記録の閲覧をされたい。》
この10件を末尾に記載しておこう。
(8)提訴事件の各損害賠償額と全事件の請求合計額、金額算定の根拠。
回答《反訴原告らにおいて記録の閲覧をされたい。金額算定の根拠は,反訴被告ら及び代理人が各事件において相当と思料した慰謝料額である。》
いうまでもないが、DHC・吉田嘉明のスラップ提訴は、すべて高額である。高額であることが、恫喝の効果をもち、言論萎縮の効果をもつことになる。そのような高額訴訟には、恫喝の目的ではない何らかの金額算定根拠があるのかを聞いているのだ。これに対する回答が「相当と思料した慰謝料額」である。なるほど、恫喝目的意外に金額算定の根拠はないことを自認しているのだ。
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DHC・吉田嘉明が提訴したスラップ関連事件一覧
(すべて東京地裁、DHC・吉田嘉明が原告の事件)
1 平成26年(ワ)第9172号
被告 ジャーナリスト
提訴年月日 平成26年4月14日
損害賠償請求額 6000万円
2 平成26年(ワ)第9407号
被告 ジャーナリスト
提訴年月日 平成26年4月16日
損害賠償請求額 2000万円
3 平成26年(ワ)第9411号
被 告 業界紙
提訴年月日 平成26年4月16日
損害賠償請求額 2000万円⇒後に1億円に増額
4 平成26年(ワ)第9408号
被 告 弁護士(澤藤)
提訴年月日 平成26年4月16日
損害賠償請求額 2000万円⇒後に6000万円に増額
5 平成26年(ワ)第9412号
被 告 弁護士
提訴年月日 平成26年4月16日
損害賠償請求額 2000万円
6 平成26年(ワ)第10342号
被 告 出版社
提訴年月日 平成26年4月25日
損害賠償請求額  2億円
7 平成26年(ワ)第1 1 3 0 9号
被 告 出版社
提訴年月日 平成26年5月8日
損害賠償請求額 6000万円
8 平成26年(ワ)第1 5 1 9 0号
被 告 出版社
提訴年月日 平成26年6月16日
損害賠償請求額 2億円
9 平成26年(ワ)第1 5 1 9 1号
被 告 ジャーナリスト
提訴年月日 平成26年6月16日
損害賠償請求額 2000万円
10 平成26年(ワ)第1 5 1 9 2号
被 告 ジャーナリスト
提訴年月日 平成26年6月16日
損害賠償請求額 4000万円
(2018年2月16日)

初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2017.2.16より許可を得て転載
〔記事出典コード〕サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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