NHK籾井会長の再任を認めない ー 知識人、ジャーナリストらがNHK経営委員会に申し入れ

著者: 隅井孝雄 すみいたかお : ジャーナリスト
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来年1月、NHK籾井勝人会長の一期目が終わります。11月から12月にかけて、NHK経営委員会による検討が行われ、続投か、新しい会長を選出するかが決まります。籾井会長の再任を認めない私たちは、10月31日、有識者17人の連名で、経営委員会に申し入れを行い、引き続き記者会見を開催しました。衆議院議員会館内で行われた記者会見には代表の田島康彦上智大教授、服部孝章立教大名誉教授、醍醐聰東大名誉教授のほか、知識人、ジャーナリスト7人が出席しました。私もその一人として、次のように発言しました。
 
 ▼「NHK会長選出について 隅井孝雄」
NHKの会長はジャーナリズムと文化の両面に見識を持つ人であってほしいと思います。
これまで歴代の会長を見ますと、過去には学者、知識人、文化人、新聞出身の方、NHK出身の方などいろいろおられましたが2008年以降は財界の出身の方が続いています。
3年前のある大手紙の報道によると、前回は安倍首相を応援する財界人の皆さんの会合で会長候補が検討されたといいます。国民の財産であるNHKが、特定の財界グループに私物化されていないかと思いました。
第一に私は、幅広い分野から真に見識のある方を選んでほしいと切望します。
財界の方が一概に悪いといっているわけではありません、19代の福地茂雄さんのように、番組編成の自主性を尊重し、文化的にも高い見識を持っておられたと思います。また20代の松本さんも良い業績を残されたと思います。
しかし籾井勝人会長下のこの3年は、NHKにとっては最悪だったといわざるを得ません。キャスター国谷裕子さんなどが退任された際には、海外のメディアからも批判されました。とりわけNHKニュース報道は国民の信頼を失っているのではないでしょうか。籾井会長辞任要求署名8万人、再任反対署名2万人以上という数字をみても明らかです。
第二に私は、ぜひとも会長選考の過程を密室ではなくオープンなものにしてほしいと思います。前回は就任の際の籾井会長の発言ではじめて多くの人がびっくりしました。適任と思われる方が数名おられるという場合、どのようなNHKを考えておられるのか、放送であらかじめ見解をうかがう、場合によっては候補の方がテレビ放送やインターネット討論するということがあってもいいかと思います。
第三に私は、市民視聴者が推薦する会長候補を受け入れるなど、視聴者参加の仕組みを作ってほしいと思います。NHKの視聴契約世帯は8月末で4100万世帯、受信料6758億円で支えている放送局です。いわば視聴者が本来の主権者です。ほとんど9割以上の国民に到達するメディアはNHKをおいてほかにはありません。その財政は私たちが支払っていることを考えてみれば、会長選出にあたって市民視聴者が蚊帳の外という状態を改善したいと強く願っています。会長の選出は市民視聴者からの推薦を軸に、幅広く人選すべきではないでしょうか。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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