バルセロナの童子丸開です。ご無沙汰しております。
新たな翻訳・解説を作りましたので、ご配信いたします。
今回はRT誌から2つの重要記事を和訳(仮訳)しました。現在、トルコがヨーロッパに向かおうとする「難民」を戦乱のシリアに送り戻していると非難されているようですが、真に非難されるべきトルコの凶悪な正体を、事実と証拠に基づいて眺めてみるならば、この「人権団体」からの「非難」がトンデモなくアサッテの方向を向いたものであることが明らかになるでしょう。
ご拡散のほど、よろしくお願いいたします。
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http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction2/ISIS_Antique_Loot_trade_via_Turkey.html
RT記事が確たる証拠を明示する:
ISIS‐トルコ、このおぞましい犯罪者同盟
昨年の9月に私は、ヨーロッパ諸国を深刻な危機に陥れている「難民危機」について、イズラエル・シャミールの論文の翻訳『現在進行中 2005年に予想されていた現在の欧州難民危機』をこのサイトで公表した。その『翻訳後記』の冒頭に私は次の7つの質問を書いた。
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(質問1)これらの人々はどうして難民となったのか?
(質問2)ギリシャ経由でヨーロッパに入ろうとしている人々はほとんどがトルコを通ってきたのだが、なぜ、トルコ政府はEUに対してこの難民の通過に関する公式な発表や声明を出さないのか?
(質問3)シリアとイラクで大量の破壊と殺りくを繰り広げるISIS(イスラム国)は砂漠の真ん中で支配地を広げるのだが、いったい彼らはどこから、どこを経由して、武器と食糧と物資と資金を手に入れているのか? 誰がそれをオーガナイズしているのか?
(質問4)ISISに関して、世界のマスコミや評論家や国際政治と軍事の専門家や左右の政治家の中から、その兵站の補給路を破壊するように主張する声が挙がらないのは、いったいどうしてなのか?
(質問5)アフリカ諸国からイタリアやスペインに押し寄せる人々は、どうして難民になったのか?
(質問6)何が、アフリカ諸国を貧しく荒廃し不安定な状態にしたのか? 安定した強力な国民国家ができない(できても破壊される)のはなぜなのか?
(質問7)「難民支援」を主張する人々や団体、また逆に「移民排斥」を主張する人々や団体が、以上の点について、何の疑問をも表明しないのはどうしてなのか?
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(質問1)の答は明らかだろう。2001年から続く北アフリカ~中東~中央アジア諸国に対する不安定化・政権転覆作戦(俗に言う「対テロ戦争」)とその延長上にある「イスラム国」であり、その責任者はNATO(トルコを含む)、サウド家と湾岸諸国王家、イスラエルである。その深部にはおそらく米欧支配層(貨幣神崇拝者)の世界戦略があるのだろう。また(質問5)と(質問6)は、いまの(質問1)と重なる部分もあるのだが、西側の企業と国家機関による資源略奪とも、また深い関連を持つ(参照:『戦争は嘘をつく:エドゥアルド・ガレアノ著、和訳』)。
(質問2)と(質問3)が今回の私の記事に直接関係するものである。それは下記の和訳をお読みいただくとしても、トルコは「難民」をヨーロッパに投げつけてきただけではなく、当初からイギリス、フランス、スペインなどヨーロッパ諸国出身の「イスラム国」参加志願者たちの通路とされてきたのだ。アメリカやヨーロッパ諸国の当局者たちもマスコミも、その事実を十分に知りながらトルコに対して何一つ厳正な対処を求めなかったのである。この事実から、我々はISISの犯罪の共犯者(あるいは真の首謀者)がどこにいるのかを知ることができよう。
また(質問4)と(質問7)で疑問の対象になっている人々と団体は、北アフリカ~中東~中央アジア諸国、およびヨーロッパ諸国の歴史と社会と人々の生活を破壊する者たちに、直接・間接に手を貸し支えている勢力だろう。多くの場合「民主主義」「人道主義」「民族主義」などの仮面をつけてその言動に励んでいるようだ。ISIS誕生の当初から、西側の支配者たちがトルコ支配者と結託して、その人材補給、つまり《難民追い立て役》の送り込みを行い、メルケル等の似非(エセ)人道主義政治家たちが追い立てられた「難民」を吸引して、中東地域と同時にヨーロッパの社会を破滅に追いやりつつあるのだ。
今回、私が和訳(仮訳)したのは、次の2つのRTの記事である。
(1) https://www.rt.com/news/337829-isis-artifacts-trade-turkey/
ISIS ‘Department of Artifacts’ document exposes antique loot trade via Turkey (RT EXCLUSIVE)
Published time: 31 Mar, 2016 05:03Edited time: 31 Mar, 2016 10:07 RT記事(1)
(2) https://www.rt.com/news/336967-isis-files-oil-turkey-exclusive/
ISIS, oil & Turkey: What RT found in Syrian town liberated from jihadists by Kurds (EXCLUSIVE)
Published time: 24 Mar, 2016 03:00Edited time: 28 Mar, 2016 19:09 RT記事(2)
最初のものは、ISISがトルコと手を組んでパルミラなどの古代遺跡から大量の貴重な歴史遺産を盗み出し、東ヨーロッパを通してアメリカなどに密輸している証拠について述べる。次の記事は、ISISがシリアの国土から盗んだ石油を安価でトルコに売り、それで大儲けするトルコがISISに兵站物資や武器や人材を提供していることの、確たる証拠が描かれている。さらにISISが殺害した捕虜(人質)を使って臓器売買を手掛けている可能性すら触れられている。
私は別にロシア人の肩を持つわけでもなくロシアが好きな国だというわけでもないが、このロシア国営の報道機関だけが、現地を取材して一つ一つの明確な証拠を示しながら事実関係を明らかにして紹介するという、まともなジャーナリズムの仕事をしているように思えるのだ。西側のマスコミはすでにその「報道」の建前すら投げ捨て、プロパガンダ機関の本性をむき出して社会の誤誘導に励んでいる様子である。しかしいずれにせよ、以下の訳文にあるような《ISIS‐トルコの犯罪者同盟》についての事実は、次第に西側社会にも広く知られていくことだろう。
なお、訳文中で「IS」、「ISIS」、「イスラム国(Islamic State)」、「ダエシ(Daesh)」と書いているものは全て同一の集団を表わしているのだが、原文で使われている呼称のままにしている。 “jihadist”は「聖戦主義者(または聖戦主義の)」、“islamist”は「イスラム過激主義(者)」と訳したが、この場合にはアルカイダを含むより幅広い意味で使われているのかもしれない。また、この翻訳では写真やビデオは表示しないので、リンク先または原文で確認すること。必要に応じて訳注を付けておいた。
2016年4月3日 バルセロナにて 童子丸開
RT記事(1)
▼▼▼▼▼▼▼(翻訳開始)▼▼▼▼▼▼▼
ISIS「遺物局」文書がトルコ経由の古代遺物の密売を明らかに(RT独自取材)
2016年3月31日、編集2016年3月31日
【RTビデオ:ISISによるトルコ経由の古代遺物の密売を明らかにするニュースビデオ(原文サイトで見ること)】
最近RTのドキュメンタリー部員がISISによるトルコとの不法な石油取引の詳細を暴露したのだが、新たに入手した重要文書群が、すでに十分に確立されている石油・兵器交換ルートを通して聖戦主義者たちが行う、略奪した古代遺物の大規模な密売に光を当てた。
(訳注:「RT記事(2)」を参照)
かつて文化的な逸品の宝庫だったシリアで行われている盗品密売の真の規模を物語る公式の説明は無い。しかし、内戦の続く地域にイスラム過激主義者たちが足場を固めて以来、世界的に重要な遺産である品々がテロリストたちの手に渡っていることに、疑いの余地はない。
【リンク: もっと読む:「砂漠の真珠」:RTが解放されたパルミラの古代遺跡に訪れる(ドローンによる撮影) 】
石油の密売とともに、古代の遺物の大規模な取引がISISによる破壊作戦を支える収入源となっている。その多くがパルミラのような独特の歴史的遺跡を標的にしたものである。何千何万ドルもの値打ちを持つ品物が、東ヨーロッパからアメリカ合衆国に向かうアンティークの市場に姿を表わしている(訳注:NYタイムズ紙記事にリンク)。
【リンク:もっと読む:ISIS、石油とトルコ:クルド人によって聖戦主義者から解放されたシリアの町でRTが見つけたものは(独占取材):訳文:RT記事(2) 】
ISISの石油ビジネスの詳細暴露に続いて、RTは、聖戦主義者たちによる略奪された宝物の闇市場とそのトルコ経由の輸送ルートに光を当てる更なる証拠を独自に手に入れている。
クルド人民防衛隊(YPG)がRTのドキュメンタリー部員に手渡した文書によると、ISISによって石油密売を手掛けるために設立されたいわゆる国有資産省は、独立した「遺物局」を持っている。
「新たに発見された文書の一つは、石油販売伝票にあるものと同一のISIS国有資産省のレターヘッドを持つ書類である。それは我々が前回に議論したものだ」。このように一人のリポーターが説明したが、その人は安全上の理由で氏名と顔を明らかにしていない。そのレターヘッドは、クルド人兵士がIS戦士の家として使われていた場所から押収した石油の伝票にあるものと同じだが、新たに入手された書類の右上の隅に見ることができる。
その書類は明らかに検問所の警備員に宛てたものだが、トルコ人のアンティークの売人が相互の利益のためにシリアに入ることを許すように、「国境にいる兄弟たち」に頼んでいる。そこには次のように書かれる。
「国境警備に責任を負う兄弟たちへ。どうか、兄弟であるフセイン・ハニア・サリラがトルコから来た男性といっしょにあなた方の検問所を通過する手助けをしてください。そのトルコ人は工芸品の貿易商であり、国有資産省の遺物局にいる我々と共に作業する目的を持っています。アッラーがあなた方を祝福するように。愛する兄弟アブ・ウアファ・アッ‐ツニシ」
RTのリポーターたちは、シリアのハサカー(Hasakah)地方にあるシャッダディ(Shaddadi)の町で撮影する間に、複数の古代の遺物に出くわした。さまざまな陶器の水入れの破片である。それらはISISの戦士たちが通って逃げたトンネルの中に捨てられていたものだが、シャッダディが2016年2月に聖戦主義者たちから解放された後に、クルドのYPGの部隊によって発見されたものである。
【RTツイッター: http://twitter.com/RT_com/status/712841394088321024/photo/1:2016年3月24日付で、シリア北部にある放棄されたISISの建物の写真の下に「ISISは石油ビジネスのプロフェッショナルな記録を保有している」と書かれている。】
それらの品が元々どこから来たのかは誰も知らないが、クルド人兵士たちは同時にフランスで作られた古い地図を発見しており、それは信託統治時代に遡るものである。それは遺跡発掘の場所を示しているのだ。
ISISの資金稼ぎに対する洞察を与える一方で、RTの一員が語るところによれば、その文書は、ISISが古代の遺物の販売に使う取引ルートが、彼らが兵器と物品を運び込むのに使っているのと同じルートだろうという、以前からの推測を裏付けるものだ。それはアンカラのまさに目と鼻の先なのである。
トルコの国境警備のいいかげんさと怠慢ぶりは、RTがやはりYPGからもらった一つのビデオ装置に映される若いIS戦士によって再確認できるものだ。彼は国境の町テル・アブヤド(Tel Abyad)でクルド人部隊によって捕えられた後にビデオ撮りされたわけだが、その町は以前にトルコとISISとの間の貿易路となっていた。
「彼らは私をトルコとの国境にあるテル・アブヤドでの任務に就かせました。ときどき我々はトルコの国境線を渡ってそちらで働くことさえしました。我々はトルコ軍が横切っていくのを見たのですが、我々の間には何らの摩擦もありませんでした。」と、戦士アブ・アユブ・アル‐アンサリは語った。
「クルド人は前進してISISとトルコのセキュリティーサービスとの通信ラインを断ち切る」
その捕えられたテロリストは、テル・アブヤドを失ったことが、トルコのセキュリティーサービス係官たちとの直接の通信ラインと共に、イスラム国の活動や貿易のルートに対して、厳しい打撃を与えたことを認めた。
「クルド人の兵士がテル・アブヤドを奪い取ったときに、その接触が失われて外国人の戦士たちは入ることができなくなりました。」と、このイスラム国戦士は証言した。「トルコのセキュリティーサービスとの通信は断ち切られ、我々は市民つまりスパイを通して連絡できただけでした。」
【facebookを用いてのRTビデオ: https://www.facebook.com/RTvids/videos/1179306565412928/】
(訳注:このビデオの英語字幕の訳は、本文の訳に続けて書かれている。)
テロ・グループは、その重要なビジネスの一つである石油の密輸に対する深刻な攻撃に悩み、財政的にも打撃を受けた。
「クルドYPGの兵士がテル・アブヤドを通る道路をふさいでいるため、トルコから来る物品もまた無くなっています。また、石油輸送車もこの地域を通って行くことができません。そのことが組織を困難な財政状態に追いやっています。」捕えられた戦士はYPG兵士にこのように語った。
「我々ダエシは、財政的には石油に頼っているのです。」
聖戦主義者の文書類は、ISが石油ビジネスの非常にプロフェッショナルな記録をとっていることを示した。それには、値段についての合意や伝票のナンバーと同時に、運転者の氏名、運転される車両のタイプ、そして石油満載のときと空のときのトラックの重量が含まれる。
【twitterを用いてのRTビデオ: https://twitter.com/RT_Doc/status/713122344991064064:2016年1月23日の日付で、「ISISは石油取引で11万ドルを作った。たった1日でである。もっと多くのISISの文書は近いうちにRTドキュメンタリービデオで。」とある】
(訳注:このビデオは先ほどのfacebookを用いたRTビデオの後半の一部)
ISの石油事業で強制労働させられていた地域の住民たちが以前にRTに語ったようにである。「採掘された石油は石油精製工場に運ばれ、そこでガソリン、ガスやその他の石油製品に変えられました。そして精製された製品は売られました。」
「次に、ラッカ(Raqqa)とアレッポ(Allepo)から仲介人たちが石油を引き取りにやって来たのですが、しばしばトルコ人について話していました」と彼らは言った。
クルド人に捕えられたイスラム国戦士のビデオ画像は、より詳しいISIS内部での石油関連の作業を明らかにするが、それにはテロリストたちに支払われる給料が含まれている。
「我々ダエシは、自分たちが財政的に石油に頼っていることを知っています。以前にはそれを一般のバイヤーに売るだけだったと聞いていますが、彼らがそんなに多くを買うはずもありませんでした。我々の賃金は50ドルから100ドルまでですが、結婚しているかどうかによって異なります。私は結婚して赤ん坊がいるので135ドルを支払われていました。テル・アブヤドを通っての石油の輸送が断ち切られたときに、問題が起こり始めたのです。」彼はこう述べた。
【RTツイッター: https://twitter.com/RT_com/status/713085614724222977:石油輸送用のトラックの列が写る写真に、「ISISの石油密輸に関するRTの記事を受けて、トルコは答えなければならない『深刻な疑問』を抱えている―英国上院議員」という文が添えられている。またRT記事“Turkey has ‘serious questions’ to answer: Reactions to RT report on post-ISIS town in Syria ”(2016年3月24日付)にリンクする】
先週のRTによる暴露以来、専門家たちや高い地位の政治家たちによる、テロリストとの疑わしい繋がりを暴露したこの「非常に説得力のある」記事に対するアンカラの説明を求める、疑問の激流がトルコに注がれている。
●ビデオhttps://www.facebook.com/RTvids/videos/1179306565412928/には次の内容の英語の字幕がある。
RTドキュメンタリー部員はシリアの町シャッダディを訪れた。
それはクルド人民防衛隊(YPG)によってISISから解放された。
それでも訪問するには危険な場所である。
ISIS戦士たちは大慌てでシャッダディの町を離れた。
YPGの兵士たちはISISの上官たちの家を捜索した。
彼らは、そこに残されたISISのパスポート全部にトルコのビザが付いているのを発見している。
[YPGの代表者]
「これらのパスポート全部にトルコの印が押してあります。
それは、シリアに入った全ての戦士たちがトルコの国境線から入国したことを示します。
ここにもう一つのトルコの印があります。」
[トルコから来た捕虜のISIS戦士]
「国境線を渡るのは簡単です。
国境に兵士がおらず何の問題もありません。
トルコとISISの間には繋がりがあります。
両者の間には石油と食料とそして武器の貿易があります。
兵站面での援助すらあるのです。」
我々のチームは、ISISの石油取引に関する専用の文書を入手している。
『2016年1月23日に、油井215番から383バーレルが採掘された。』
2016年1月23日にISISは1225.3バーレルの石油を売って、合計で110142.10ドルの利益を得た。
もっと多くの独自入手の文書にご注目を。
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RT記事(2)
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ISIS、石油とトルコ:クルド人によって聖戦主義者から解放されたシリアの町でRTが見つけたものは(独自取材)
2016年3月26日、編集:2016年3月28日
【写真:https://cdn.rt.com/files/2016.03/original/56f341c2c361888c228b45a1.jpg、(キャプション):伝票を含むイスラム国の文書。これは戦士たちが大慌てで逃げる際に棄てられたものである。/RT】
シリア北部で撮影を行っている一人のRTドキュメンタリー部員が、撤退するテロリストたちによって放棄されクルド人たちに発見されたイスラム国(IS、ISIS/ISIL)の文書類を見たが、それは、捕虜にされたIS戦士とともに、ISの石油取引に関する驚くべき洞察を与えるものである。
シリアの戦争が勃発したすぐ後に、ISが、イラクそして特にシリアで、ゲーム・チェインジャーとなった。パリとブリュッセルでの襲撃とのあからさまな関係とともに、カメラの前での首切り、大量の殺害と奴隷化が、このテロ・グループと同義のものとなり、幅広く知られることとなった。
そのような目覚ましい力の保持が可能な軍事組織を運営することは、兵站の面と財政の面で、外部から来る何らかの支援が無ければ不可能だろう。
【ビデオ: https://www.facebook.com/RTvids/videos/1179306565412928/】
(訳注:このビデオは「RT記事(1)」にあるものと同じ。英語字幕の和訳は「RT記事(1)」の後ろに付けられている。)
トルコは、当初からシリアでの戦争に活発に関わり合ってきたのだが、ISを支援しているという主張を繰り返し否定してきた。ところが、自国が聖戦主義者たちの絶対的な敵であるとアンカラが言い張る一方で、現地にある事実は異なったストーリーを物語っている。
RTはイスラム国の交易活動に携わった多くの証言者に話しかけ、またこのテロ・グループの文書類にアクセスしてきたのだが、それらは、外国人の戦士たちがこのテロリスト「国家」に参加するために、どのようにしてどこからシリアに入り込んだのかについての洞察を与えてくれるものである。
【写真: https://cdn.rt.com/files/2016.03/original/56f341fac4618864318b45b5.jpg:(キャプション)シリア北部にあるISIS戦士たちに使用された廃屋/RT】
詳細な石油納品書
RTのドキュメンタリー・チームは、シリアのハサカー(Hasakah)地域に位置するシャッダディ(Shaddadi)の町で、その撮影の大半を行った。その地域の一部はISの聖戦主義者たちによって蹂躙されている。シャッダディは1万人ほどの住民がいるが、RTはその解放の後に、ISの戦士たちが住み家として使っていた場所を探索して、放棄された文書類の山を検分するクルド人の兵士たちを撮影した。
そこで手に入れた文書ファイルの一部は、ISの油田と石油精製施設から得られる日々の収入を記録するために使われた詳しい納品書であることが明らかになった。そこには同時に採掘された石油の量も計算されていた。全ての文書はその上端にイスラム国のシンボルを持っていた。
【写真: https://cdn.rt.com/files/2016.03/original/56f344c3c4618864318b45b8.jpg:(キャプション)石油の販売量を明示するイスラム国の納品書の例/RT】
シリア北部で撮影されたイスラム国に関する新たなRTドキュメンタリーの制作者は、その文書ファイルが「ISがその石油ビジネスの非常に専門的な記録をつけてきた」ことを示すと語ったが、その人は機密上の理由から氏名を伏せている。
すべての納品書には、運転者の氏名、輸送車両の種類、そして空のときと石油満載のときのトラックの重量が、合意された価格と納品書番号と共に記録されていた。
2016年1月11日付の納品書の一つには、ISがカビバー油田から約1925バーレルを採掘しそれを38342ドルで売ったことが書かれている。
ISの石油はトルコに向かう ― ISの戦士はトルコを通ってやってくる
RTは、ISの石油産業で強制労働をさせられていた地元の住民に、テロリストにコントロールされた石油精製施設での作業がどのようなものだったのか、また採り出された石油がどこに売られていたのかについて、問いかけてみた。
地元住民たちは「採り出された石油は精製工場に運ばれて、そこでガソリンやガスやその他の石油製品に変えられました。そして次に、精製された製品は売られたのです。」と証言したと、RTドキュメンタリー制作者は語った。「次に、ラッカ(Raqqa)とアレッポ(Allepo)から仲介人たちが石油を受け取るためにやってきましたが、彼らはしばしばトルコについて語っていました。」
ISとトルコとの間の繋がりを明らかにする重要情報は、先にクルド人に捕えられたトルコ人の戦士によって提供された。このIS補充戦士は、このテロリスト・グループが実際に石油をトルコに売っていると、カメラの前で語った。
「我々がこの戦士に直接に尋ねるまでもなく、彼はトルコ国境を渡ってISに参加することが簡単だった理由の一部を認めました。それは、トルコもまた利益を得ているという事実だったのです。どんなふうに利益を得ているのかと尋ねると、トルコがISから何かを、石油のような何かを、手に入れていると答えました。」
RTは同地域でクルド人兵士とも話しをすることができた。その兵士は、自分がIS戦士の死体から集めたパスポートのコレクションを見せてくれた。ドキュメンタリー部員の独自ビデオは、世界中からやってきた数多くの聖戦主義者たちのパスポートを見せるが、その国々にはバーレーン、リビア、カザフスタン、ロシア、チュニジア、そしてトルコが含まれる。
【写真: https://cdn.rt.com/files/2016.03/original/56f34391c361888c228b45a5.jpg:(キャプション)イスラム国の戦士たちが持っていたパスポートにはトルコのイスタンブールの印が押されている/RT】
これらの外国人戦士たちの大部分はトルコを通ってやってきたように思えた。彼らのパスポートの全てにトルコの国境検問所で押される印が押されていたからである。
YPGメンバーの一人がまた、年若いIS戦士が持っていたと思われるUSBドライブから採り出されたいくつかの写真を見せてくれた。一つの写真には、テオドシウス(Theodosius)のオベリスクの前に立つ3人の男が写っていたが、それは今ではSultanahmet Meydaniというイスタンブールの有名なランドマークとして知られている場所だ。次の写真には、その3人がシリアのどこかで仲間の戦士たちと共に写っていたが、全員が武装し戦闘用具を身につけていた。
RTがインタビューしたIS戦士の一人は、彼らがトルコ国境を渡ってシリアに入るときに待ち構える国境警備兵が一人もいなかったことを明らかにした。
別の文書類の一式が、ISのテル・アブヤド(Tell Abyad)の検問所で発見された。自動車のナンバーと輸送物品の重量といった情報の他に、その文書にはモスル、ラッカ、イスタンブールやアンカラに旅行したと報告される通過者の氏名のリストがあった。
RTはYPGのメンバーであるレドゥル・カーリル(Redur Khalil)と話をしたが、彼はそれらの発見物を詳しく説明をしてくれた。
文書のページをめくり進めてカーリルは次のように語った。「我々はこれらの人々が誰なのか知りません。彼らが戦士なのか一般人なのか分かりません。しかしこれらの人々は、何の妨害も受けずに公式にトルコに移動しているのです。」
彼はある会社の名前を差しながらその本拠地がモスルにあると言い、これらの通過者が移動するのに使ったルートがラッカやテル・アブヤドやアンカラを通っていることを説明した。
「このことは、テル・アブヤドの検問所がISの出発の以前に開かれていたこと、そしてトルコ側からの移動にとって何らの障害も無かったことを示しているのです。」
イスタンブールで印刷されるイスラム原理主義のプロパガンダ
シリア大統領バシャール・アサドの政府の転覆を目論む過激派戦士のためのトルコによる兵站面での支援、あるいは、少なくとも国境線を横切る移動に対する無干渉は、いままでに幅広く報告されているが、トルコの地から来るイデオロギー面での支援についてはほとんど語られてこなかった。
RTの部員は、ISが運営する病院にテロリストが放置した文書類の中に、「いかにして犯罪的なアサド政権に対する完璧な戦いを起こすか」という題名の、アラビア語で印刷されたイスラム原理主義プロパガンダのパンフレットを見つけた。それはシリア政府軍との戦闘の方法を述べるものであった。
奇妙なことに、その小冊子はトルコで印刷されていた。その表紙にはイスタンブールの印刷所の住所と電話番号が、フェイスブック・コンタクトを添えて、あからさまに載せられていたのだ。
【写真: https://cdn.rt.com/files/2016.03/original/56f342ffc4618865318b45b5.jpg(キャプション)トルコのイスタンブールで印刷されたイスラム原理主義の反アサド・プロパガンダ小冊子の表紙】
「多くの人々がトルコとの繋がりについて語ります。トルコはISの直接の隣人です。もしトルコが、自分たちとISとの間の「繋がり」を閉ざすことを望んでいたなら、あのテロ組織は生き延びることができなかったでしょう」と、RTのドキュメンタリー作者は語り、クルド人たちと捕虜のIS補充戦士たちとのインタビューを再度強調した。「もしISが、トルコから武器や新しい補充要員や食べ物やその他の援助を受るのを止めるなら、ISは巨大なスポンサーを失うことになります。」
トルコは、テロリスト・グループが安い石油を提供し、またシリア政府とクルド人の両方と戦っているため、イスラム国から利益を得ている。これはクルド人たちとその不倶戴天の敵である聖戦主義組織の双方が共に持っている見解である。RTによって入手された文書類は、トルコ大統領レセップ・タイップ・エルドガン(Recep Tayyip Erdogan)政府によってシリア内で行われる汚いゲームを暴露する、新たに加えるべき証拠を提供するものかもしれない。
臓器移植と断首刑に関する文書類
断首、殺害、そして外科的処置をすら許可しているさまざまな宗教的文書の纏りも、テル・アブヤドにあるISの拠点で見出された。
「一つの宗教的な判定(fatwa)があるのですが、それは不信の徒(kafirs)を殺すこととその首を切ることを許しています。断首刑を許可している判定もあります。それにはコーラン、預言者モハメドの言葉などからの引用が含まれています。」カーリルはこのように、一つの書類の束を手にして指摘した。
【RTツイッター: https://twitter.com/RT_com/status/680439194888613889:手術中の医師と手術の道具が写る写真に「ISISは生きている『背教者たち』から臓器を収穫することを許可している。たとえそれがその者達を殺すことになっても。」という文が添えられ、RT記事“ISIS sanctions organ harvesting from living ‘apostates’… even if it kills them”にリンクする。】
しかしながらカーリルによると、最も奇妙なのは、背教者に対する外科的な処置を許可している判定の発見であった。
「私はこの判定を変だと思います。イスラムの教えが、人を殺してその臓器を他の者に移植するのを、あるいは、訓練の目的で捕虜に対する手術を行うのを、許しているなどと我々は聞いたことがありません。」彼はRTに語った。
この種の文書類は、ISに対する裁判が開かれるときに刑事法廷に提出されることになるだろう、とカーリルは言った。
カーリルは、捕虜と背教者たちが受け取ったその他の判定について述べ、ISによる回覧文書を見せることさえした。
「彼らが回覧文書すら持っているとはとても滑稽な話です」と彼は言った。
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye3376:160405〕