日本列島の何処かで、連日地震情報が伝えられる昨今である。原発再稼動問題も絡んで、不安は募るばかりだ。そんな折、想定を超える「南海トラフ」地震予測が4月1日付各紙朝刊に公表され、衝撃が広がっている。
浜岡原発などへ20㍍を超す津波が…
東海から九州沖に延びる「南海トラフ」で起きる地震について、内閣府の有識者検討会(座長・阿部勝征東大名誉教授)は3月31日、予測規模を発表した。地震の規模を東日本大震災のマグニチュード9・1に設定して、各地の震度モデルを試算。満潮時の津波は高知県黒潮町の34・4㍍を最大に、東京の島しょ部から静岡、愛知、三重、徳島、高知の6都県23市町村で20㍍を超えるとの予測に、大きな衝撃的を受けた。中でも、浜岡原発のある静岡県御前崎市付近では21㍍の津波が予測され、現在補強中の防波壁を3㍍上回るという。浜岡原発は昨年7月以来ストップしたままだが、耐震・津波対策を講じて再稼動させたい中部電力にとり深刻な難題が持ち上がってしまった。伊方原発のある高知県など太平洋沿岸9県の知事らは3月29日、中川正春防災担当相に対し、「南海トラフ巨大地震対策措置法」の制定を求めたが、政府は早急に法改正を急がなければならない。
避難対策を急ぎ策定を
毎日新聞4月3日付朝刊は「想定受け止め対策を」との社説を掲げ、「中央防災会議の専門調査会は昨年、津波が発生した場合、原則として歩いて5分程度で安全な場所に避難できる町づくりを提言した。だが、今回の想定では高さ1㍍の津波が最短2分で到達する。津波避難ビルの新たな指定や津波避難タワー建設、高台への避難路確保など具体的に動き出した地域もあるが、避難時間も含め見直しを迫られよう。最終的には、国の財政面での支援が欠かせない。国は今夏にも当面実施すべき対策をまとめるが、重要なのは国と都道府県、さらに市町村が一体的に対応することだ」と強調していた。有識者検討会は今月以降に津波予測に基づく浸水想定区域を公表するが、中央防災会議も被害想定予測の6月公表を目指している。
これとは別に、文部科学省の研究チームは「M7・3規模の首都圏直下型地震」の震度分布図を、3月30日公表した。東京湾岸で地震が発生した場合、江戸川区・江東区・品川区・大田区・川崎などで震度7、23区の大半が震度6強になると予測、首都圏各自治体に防災対策の見直しを要請している。
原発再稼動を見合わせ、新エネルギー政策へ転換を
「南海トラフ」の危険性は、従来の予測より高まっていることは確かで、いかに天変地異に対処するかは、日本列島の最重要課題である。野田佳彦政権は目下、「大飯原発再稼動」の判断を迫られているが、〝大地震の危険性〟が指摘された深刻な事態を厳粛に受け止めてエネルギー政策を見直し、「脱原発」へ針路を切り替えるべきではないだろうか。
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