12月25日 新潟県知事定例記者会見から抜粋"原発関連問題について"

年末(12月25日)の新潟県知事定例記者会見から、
原発問題に関する部分を抜粋します。

12/25記者会見について全文は↓こちらのURLから(新潟県HP)
http://chiji.pref.niigata.jp/2013/12/post-3639.html

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(原発関連問題について)


昨日、東京電力が地下式の第二フィルタベントについて概要を説明し、事前
了解を求められました。この考え方と言いますか、これまでも廣瀬社長が説明
されているとは思いますが、あらためて機能の説明や概要についてどう評価さ
れていますか。
A 知事
まず技術委員会で検討してもらうことになります。評価はその後です。


今後のことなのですが、東京電力が第二フィルタベントも含めて規制基準の
適合審査を受けるということについて、県としては異論はないということでよ
ろしいのでしょうか。地下の第二フィルタベントも審査を受けるという・・・。
A 知事
東電の希望はそういう形で出ているのですか。


元々、ゆくゆくはそうなるということは以前から・・・。
A 知事
少し現場に確認してみたいと思います。


第二フィルタベントについて、東電側は詳細設計がこれからで、完成までに
は3年程度かかるというような見通しも示しています。3年という期間につい
て、どのようにお考えになるのかお聞きします。
A 知事
まず技術委員会で評価していただくということです。それを踏まえてコメン
トさせていただきたいと思います。


原発について、もう1点伺います。東電の総合特別事業計画において、柏崎
刈羽原発の2、3、4号機について今後10年間は再稼働しないという想定も
することがわかったという報道もありました。地元に対して慎重な姿勢を見せ
るためというような言い方もできるかと思うのですが、どう受け止めているの
かお聞きします。
A 知事
東電は事故当事者ですので、一番行わなければならないのはなぜメルトダウ
ンを2ヶ月間隠したのかということで、その説明が先だと思います。


先ほどの重大ニュースでもメルトダウンを隠していたことがありましたが、
面会などでも廣瀬社長からの説明がなかったということを指して言われている
のでしょうか。
A 知事
誰がどういう理由で嘘をつけと指示したのか一度も説明していません。聞いていますか。そこからやらなければいけないと思います。同じことが起きるのはないでしょうか。


先日の技術委員会の全体会合におけるフィルタベントの検証に関して2点お
聞きします。技術委員会の会合に入る前に、県の防災局から東京電力側に詳細
な運用手順を規制委員会に提出する際には前もって県に説明するようにと申し
入れながら、ダイジェスト版という形で提出してしまったという経緯がありま
した。県議会でも答弁されたり、コメントを出されたりしたことがあったと思
いますが、あらためて東電側の今の姿勢についての受け止めをお聞きします。
また、技術委員会の全体会合の場で、県側としても論点をこれから提示してい
きたいということが最初の前段であったと思います。知事として、もしくは県
としてでも構わないのですが、フィルタベントの検証において注視していきた
い事項や議論をお願いしたい事項をお聞かせください。
A 知事
東京電力にはまず真摯に地元に向き合っていただきたいと思います。事故当
事者ですので、説明しようと思えばできること、調べようと思えばできること
をきちんとやらないといけません。それなくして安全だというような第二の神
話を作ろうというのは倫理的にも許されないと思います。
世界には460基以上の原発があるわけです。福島第一原発事故について、
ハードだけではなくて情報の流れ、意志決定の仕方、法規の穴といったものに
ついても検証し、きちんと教訓として残さなければ、同じことが他の原発でも
起こりうるということです。人類に対する責任として、まずやることはやると
いうことが一番重要だと思っています。


(フィルタベントの)検証が技術委員会で行われる際に、県の視点について
もこれから論点として提示することもあり得るいう説明もありましたが、例え
ばこういうことを提示して話し合ってもらいたいとか、こういうポイントを報
告したいということはありますか。
A 知事
行政でないと(わからない)、有識者には見えなかった事故の問題点がある
のです。例えば、物資を届ける、救援に行くというときに実際に事業者にお願
いしても、危険地区に入っていただけるということにはならないわけです。例
えば、バスの運転手さんやトラックの運転手さんの被ばく線量の上限をどうす
るのかと。今のままで変えなければ、救助に行ってくださいと言ってもできな
いわけです。
2時間でメルトダウンということになると、どうやって住民に情報伝達する
のかという課題もあるわけです。例えば地震が起きた際には停電が発生します。
場合によっては通信回線が切断されている中で、どうやって情報をお伝えする
のか(という課題があります)。短時間でメルトダウンするという状況下で、
災害時要援護者からどのように避難していただくのか等、実際に県が直面した
課題について、学問的に研究するということではなく、(災害時に)実質でき
なかったことに対して、どのように対応するのかということを考えてもらう必
要があると思っています。避難指示についても同様です。旧山古志村で全村避
難したときには、約2,000人強の村民をどこに避難させるかということま
で県が調整した上で自衛隊等に救援をお願いしたわけです。今回は、「(原発
から)20kmよりも外へ行ってください」という指示であとは知りませんと。
そのようなおかしな指示はないわけです。一体どうするのでしょうか。避難区
域にいる方々全員を自衛隊から救助してもらうのでしょうか。それとも民間の
人に入ってもらうのでしょうか。さらに、ヨウ素剤はなぜ回収命令がなされた
のでしょうか。福島県立医大の医師は飲んでいたのです。わかっているのは、
数万人が服用すると何人かには副作用があるだろうということです。そのとき
に、賠償のスキームがないので責任を回避(するために回収命令を)したので
はないかという見方もあるのです。そうなると法令を見直す必要があるのでは
ないかという話になりますが、そういった点については有識者に聞いただけで
はわからないと思いますので議論していただく必要があると思います。


元々(東電が設置するとしていた)地上式のベントに対して知事が懸念を示
されて、結果的に2つ目(のフィルタベント)を地下に造るという話が出てき
ました。昨日、東電からは(設置)工事に最低でも3年くらいはかかるという
話が出ましたが、3年間は再稼働について何か判断を示すことはあり得ないと
いう流れになってきましたか。
A 知事
以前から申し上げているとおり、今東電がやるべきことは福島第一原発事故
の検証と総括です。なぜ嘘をついたのか、なぜ情報を隠蔽したのかを自ら説明
せずに技術論をしても仕方がありません。再稼働の議論については、やはり福
島第一原発事故の検証・総括が先になると思います。


それまでの間に、福島第一原発事故の検証について満足のいく内容が出てき
たとしても、設備が整わない限りは、規制基準適合審査で認められたとしても
再稼働には至らないという・・・。
A 知事
答えを想定しながら聞いているのではないですか。まず行うべきことは機械
の議論ではないのです。なぜメルトダウンを2ヶ月も隠したのか、いらない被
ばくを住民に強いたのかです。生命、安全、財産を守ることを後回しにする会
社なのかどうかがまずポイントなので、福島第一原発事故の検証と総括が先で
あり、再稼働の議論はその後になると思います。


昨日、東京電力が事前了解を求めてきましたが、事前了解に対しては第一フ
ィルタベントと第二フィルタベントを同時に考えることになるのでしょうか。
A 知事
昨日大阪にいたため、まだ報告を聞いていません。報告を受けて、技術的な
ところでどのような話が来ているのかをまず確認させていただきたいと思いま
す。


いずれにしても事前了解は求められているので、技術委員会の・・・。
A 知事
まだ聞いていないので、これから話を聞きたいと思います。

—–会見内容ここまで—–

参考資料:

【新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会】
※委員会は公開なので傍聴することができます

・開催案内、議事録・配布資料など(12月19日開催が最新)
http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/gijyututop.html
・運営要綱、委員名簿
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/945/110/gijyutuiinkai_youkou,0.pdf

【技術委員会電子会議室(福島事故検証課題別ディスカッション)】
2013年11月19日更新
http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1356771524701.html