2011年:新年のご挨拶

著者: 合澤清 あいざわきよし : ちきゅう座編集長
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新年明けましておめでとうございます。

今日はあいにくの寒波が全国的に荒れ狂い、あちこちで大雪をもたらしていますが、まさに厳しい世相の年初めに相応しい気象のように思われます。年が改まったからといって、情勢は決して楽観視しうるものではないことは言うまでもありません。多くの困難な問題が解決の糸口すら見いだせないまま放置され、生活者にとってはますます悪い方向へと進んでいるとしか思えません。

大企業への減税と引き換えに、消費税の増税をたくらむ税制改正大綱。自衛隊の海外派兵を意図する新防衛大綱。沖縄基地問題での米軍(米政府)への全面譲歩。国民総背番号制の焼き変えでしかない「共通番号制」導入。また、日本郵便が近く予定している大リストラ計画。JALでの170人以上の首きり。しかも失業、就職難問題は一向に解決の目途が立たないままです。

これらの深刻な現状への対応の遅れ、批判精神のなさで、マスメディアの退廃ぶりは目を覆いたくなるほどです。新聞も、ラジオも、テレビも、年末から正月にかけて、まるで戦争や貧困からくる対立や、深刻な政局や、経済情勢などこの世界には全く「ない」かのように、ニュース報道を「自粛」し、歌や、お笑いや、スポーツなどの番組のみを垂れ流しています。

たしかに交戦国間にも「正月休戦」はあります。しかし、実際にはこの体たらくが日常茶飯に見られるところに今日の言論界の抱える問題の深刻さがあるのではないでしょうか。そういえば、先に検察改ざん問題をスクープした朝日新聞の板橋洋佳記者は、もともと栃木の下野新聞の記者でした。

このような地方新聞やミニコミの中に息づく批判精神を積極的に根付かせ、生かそうとする私たちのちきゅう座は、多くの皆様方、またスタッフの方々の献身的努力のおかげで、この一年間でたしかにヒット数を伸ばすことができましたが、まだこのレベルに満足する訳にはいきません。

記事内容も少しずつではありますが改善され、今までになかった外信記事の紹介や今日の非正規雇用問題、労働者派遣法関連問題の現状などを取り扱うものが掲載され始めています。また、政治論評、経済記事、時事問題の論評などでも、一流のジャーナリスト、学者が健筆をふるっていますことは大いに喜ばしいことに違いありません。

それでもまだ、書き手と読み手の相互交流(公共空間としての役割)が十分でないなどの課題も山積しています。どうか皆さま、今年一年をちきゅう座の更なる発展の年にするため、既成メディア界に切り込めるだけの力をつけるために、物心両面からの更なるご協力をお願いしたいと心から願っております。簡単でございますが新年のご挨拶に代えさせて頂きます。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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