3月3日は、みんな知ってる<お雛祭り>。 アメリカの3月3日は、1931年に「星条旗」がアメリカ国歌になり、1969年にはアポロ9号が初の有人月着陸に成功したと言われ、合衆国にとって栄えある日なのです。 しかし、今年のこの日は<大国アメリカ失墜>の記念日になるかも知れません。 イスラエル首相ネタニヤフが、アメリカの心臓・アメリカ議会に突っ込むからです。 土俵際に追い詰められたアメリカ大統領オバマ! うまくウッチャリをかましてください!!
(1)ネタニヤフの<国境なき独断>:
2015年1日20日、突然、アメリカ下院議長ジョン・ベイナー(共和党)が「イスラエル首相ネタニヤフに、アメリカ両院議会で演説することを招待した」と、発表した。 アメリカでは上院も下院もオバマ大統領が率いる民主党を共和党が制していて、ネタニヤフ演説招待は共和党とイスラエル首相府で企んだことだった。 寝耳に水のアメリカ大統領と民主党は、ネタニヤフのアメリカ両院議会での演説に反発した。 3月17日にはイスラエル総選挙、そして3月24日にはイラン核交渉の「政治枠組み」の合意期限を迎える。 最初の招待予定日の2月11日を3月3日に変更したのはネタニヤフ、演説内容をテロ対策からイラン核開発反対に変えたのもネタニヤフ、さらに、同じころ開催されるユダヤロビー AIPACの大会にアメリカの政財界人が参加するよう促したのもネタニヤフだ。 AIPAC (the American Israel Public Affairs Committee)アメリカ・イスラエル公共問題委員会は、アメリカに多数あるユダヤ・アメリカ団体の最大手で、共和党民主党を問わずアメリカ両院議員に多額の資金援助や選挙協力をしている。
2015年2月24日、アメリカにある最大で最強の私設秘密警察機関ADL(The Anti-Defamation League) ユダヤ名誉毀損防止連盟会長のアブラハム・フォックスマンが
「民主党に相談しないでネタニヤフ議会演説を決めたのはまずかったけど、この機に超党派でイラン核開発を阻止するよう努力すべきだ」と、ネタニヤフ演説を鼓舞した。
一方、あくまで強気のネタニヤフは、「私はホワイトハウスも合衆国大統領も尊敬している。が、イラン核開発阻止しという重大な事態に手をこまねいている時ではない。イスラエルに対する最大危機を脱却するため、私はどんなことでもする」と、宣言した。
(2)ネタニヤフ米議会演説無断招待に、怒る民主党と大統領:
ホワイトハウスは選挙直前の首脳と会談しないという慣例に従って、3月17日に総選挙を控えたネタニヤフ首相にオバマ大統領は会わないという方針を出した。 ジョン・ケリー国務長官も会わないそうだ。 ジョー・バイデン副大統領は、外遊でネタニヤフ首相の米議会演説も欠席するとか、、
2015年2月24日のPBSのチャーリー・ローズ・ショウで、スーザン・ライス国家安全大統領顧問は、「イスラエル首相がアメリカ両院議会で演説をするのは、アメリカとイスラエルの関係を破壊する」と、ネタニヤフ演説を牽制した。
2月26日、イラン核問題を巡るジュネーブ会議の直後に、ジョン・ケリー米国務長官は、「<数年中にイランが徐々に多数の核兵器を製造する可能性があることをアメリカや会議参加国が黙認している>というネタニヤフの認識は、正しくないのでは、、」と、発言した。
イスラエル首相ネタニヤフは、他国のアメリカ国会でアメリカ政府国策に反対する演説をする。 ネタニヤフはアメリカ国会議員ではない。 他国の議会に乗り込んで自国の国策を押し付けるネタニヤフの行為は、内政干渉、国家主権侵害、政治的な国家強奪、ではないだろうか? 客観的で冷静な第三者の目には、<国の乗っ取り>、<ステイト・ジャック>、<国家テロ> そのものに映ってしまう。
(3)パレスチナ住民を虐め続けるネタニヤフ
リチャード・ダービンとダイアン・フェインステインの両民主党上院議員はネタニヤフ演説に反対していたが、2015年2月23日になると一転して、ネタニヤフと民主党上院議員との隠密会談を嘆願した。 が、ネタニヤフは断った。 アメリカ政界で主導権を握っているのはアメリカの政治家ではなく、ユダヤロビーなんだ。
その一方で、ネタニヤフはイスラエルで、パレスチナ人の地で、パレスチナ住民をますます厳しく締め付けている。
2015年2月23日のイスラエル紙ハーレツが、「ヨルダン川西岸の北部に住むパレスチナ住民が電気代を滞納しているので、電気の供給を止めた」と報道した。
2月25日、ユダヤ人入植者たちがベツレヘム近郊にあるカフル・ジャブ村のモスクに放火した。(イスラエル紙ハーレツ発)
2月26日、西岸北部のオリフ村の学校に、ユダヤ人入植者たちが「アラブ人は死ね!」と、落書きをした。(ハーレツ発)
2月26日、NGO慈善団体OXFAMオクスファムが、「イスラエルがガザへの資材搬送を妨害している限り、2014年にイスラエルが破壊したガザの復興は、100年以上かかる」と発表した。 日本は32,200,000$をUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)に振り込んだ。 そのうち、14,000,000$が、ガザ戦争でホームレスになったパレスチナ難民や復興に当てられるそうだ??
3月3日のイスラエル首相米議会演説を巡るアメリカとイスラエルの小競り合いは、勝手にやればと高見の見物に決め込んでいた。 が、「日本の首相も米議会演説をやりたい」とのことなので、見過ごすわけにはいかない。 しかも、日本は庶民の税金を使ってUNRWAに大金を振り込んだ。 UNRWAだろうがOXFAMだろうが、パレスチナに関する金の流れを管理しているのは、イスラエルであることを忘れてはいけない。 日本庶民の税金がパレスチナ庶民の手に渡るのはいつのことやら??
仲良しのネタニヤフが<女の子の雛祭り>に米議会演説をするんだったら、日本総理は<男の子の端午の節句>、5月5日に演説するのはいかがでしょうか?
文:平田伊都子 ジャーナリスト、 イラスト:川名生十 カメラマン
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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