主催者発表3万人が控えめな数字に思えるほどの、人人人の波。
呼びかけ人代表格の大江健三郎氏は、安倍が「積極的平和主義」と偽って集団的自衛権行使をすすめようとしていることに対して、(安倍が議会演説した)米国でも国内でも有効な反対がなされていないことに危機感を表明した。「このような場で話すのはこれが最後になるだろう」とも。
https://www.youtube.com/watch?v=0PlYT1k7pmk&feature=youtu.be
大江氏は、けっして雄弁ではないが、熱意が伝わる。登壇すること自体が、集会参加者に力を与える。
昨年の改憲反対派集会は別々だったが、今年は、危機感が統一集会を実現した。その統一集会参加者の共通の精神的支柱に、80歳の大江氏の一途な姿がなっている、と私には見えた。
集会に結集した3万人の危機感が安倍の戦争法案阻止の政治力に高まる回路は、さしあたって、国会の反改憲勢力である。
5.3憲法集会には、「政党代表」の発言もあった。民主党(長妻副代表)・共産党(志位委員長)・社民党(吉田党首)・生活の党と山本太郎とそのなかまたち(主浜副代表)の4党である。安倍解釈改憲に反対する4党の「共闘」が集会の場で確認されたことの意義は大きいが、問題は、野党の中心となるべき民主党の姿勢である。
民主党は、集団的自衛権に対して真っ二つに割れている。岡田代表の下でようやく「安倍政権の集団的自衛権法制化には反対」を決めたとされるが、なんともあいまいだ。
長妻氏は、先の民主党代表選で「左派」を代表して立候補した。だから、長妻氏の発言に注目したが、期待は裏切られた。安倍政権の動向に、戦前の暗い時代を思わせる危機感を表明し、立憲主義・護憲の大切さを協調したが、集団的自衛権に対する具体的な反対の表明はなかった。安倍首相が米議会演説で「今国会に安保法制化」を約束したことに対して同じ民主党の枝野幹事長が「国会の無視であり、憤っている」と批判した迫力にも及ばなかった。
安倍の憲法無視の「暴走」は、自民党が衆議院の圧倒的多数派を占めていること、そして民主党が集団的自衛権について分裂していることにもとずく。「最大野党」民主党が集団的自衛権について身動きが取れなくなっていることが、安倍「暴走」をゆるす最大の要因となっている。
各種の調査によれば、改憲賛成派は、国会議員では8割、一般国民では3割――この大きなギャップの根源は、(選挙制度の問題もあるが)民主党の機能停止が大きい。
いま政党に求められているのは、[経済・社会保障政策よりも]集団的自衛権法制化・沖縄新基地建設反対・脱原発[脱核兵器潜在保有力]といった政治外交の理念・政策による結党ではないか。「外交・安保問題は、選挙で票にならない」という旧い政治体質が、国会議員と「世論」とのギャップを作り出している。5.3憲法集会にあつまった3万人の危機感は、安倍政権への危機感であるとともに、こうした旧い政治体質に対する危機感でもあろう。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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