2012年7月13日 連帯・共同ニュース第272号
■ 次から次へと首相官邸に向かう人々の群れは途切れることがなかった。子供の手を引いた若い母親、それをサポートする父親、腕を支えられた老人、華やいだ若い女性の一群、紫陽花を片手に持った婦人等多くの人々が静かに、時に談笑しながら首相官邸に向かった。車いすの人もいた。工夫を凝らした旗を掲げての人も。未だ、時刻は17時(5時)を少し過ぎたころだ。官邸前のアクションは18時(6時)からというのにもう官邸前はるか手前まで人々で埋まっていた。毎週金曜日に出現する首相官邸前の脱原発―再稼働反対のアクション《行動》は国会通りを意志表示の空間《場》にした。短い時間であれ、国会通りを人々の群れは占拠し、国会や霞が関に対峙する政治的空間を出現させたのである。国会通りとは首相官邸から経産省や日比谷公園を経て東電前まで続く通りであるが、この通りは政治的な意志表示の場に変わる瞬間に紫陽花通り、あるいは紫陽花広場になったのである。どう名付けてもいいがここに意志表示の空間(政治的空間)が出現したのである。一人ひとりの意志表示が共鳴し合い、反響しあうことで人々の権力や体制に対する異議申し立ての共同の場になったのだ。ここで何が実現しているのか、それを生みだしている人々も明瞭に意識してはいないことかもしれない。まして体制や権力、メディアはいうまでもない。これは自由と民主主義の実現であり、永田町や霞が関という国家的・権力的機関(日本の政治的中枢機関)の政治に対立する端緒が切り開かれていることである。二重権力という言葉がある。永田町や霞が関という日本の権力に変革を要求する権力(国民の意志)が実現しつつあるのだ。かつての2・26事件青年将校や兵士たち、1960年安保闘争で国会を取り巻いた人々、これらを歴史的文脈として受け継ぎながら、現在的な表現となっている。ここには国民的な共同の意志の実現というのが見えない文字で書かれている。意志表示する人々のこころの動きである。この出現した場(意志空間)が何処まで発展して行くのか、どのようになっていくのかは誰も予測はできない。しかし、各地で金曜日の夕方にこうした運動ができつつあるが、各地に広がり持続して行く。これは脱原発運動の原点というべき基盤になって行くものだ。
■ 7月13日(金)には18時から首相官邸前行動がある。これは毎週の行動ではある。7月16日(祝)には代々木公園で12時30分から「さよなら原発10万人集会、さらに7月29日(日)には「7・29脱原発国会大包囲」もある。行動の中で出会おう! (文責 三上治)