本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(227)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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MMTの意味すること

現在、「MMT(現代貨幣理論)」に関する議論が活発に行われているが、内容としては、「財政赤字」と「インフレ(通貨価値の下落)」の関係性において、「財政赤字を膨らませてもインフレは発生しない」というものであり、「このことは、過去20年余りの期間、日本の金融政策で証明されたことである」とも述べられている。つまり、「日銀」や「日本政府」が主張してきたことが、現在、「アメリカの学者」により理論化され、承認された状況とも言えるようだが、興味深い点は、「日銀」や「日本政府」が、この意見に対して反論をしている事実である。

具体的には、「財政規律が緩めば、必ずインフレが発生する」というものだが、この点に関して、現在、注目すべき点は、「なぜ、今になって、このような議論が出始めたのか?」ということでもあるようだ。つまり、「MMT」が主張することは、「今まで放漫財政が継続されながらも、インフレが起きなかった」、そのために、「今後も、この政策を継続すべきである」というものである。

別の言葉では、「2018年9月」以降、「日銀」を中心にして、「中央銀行のバランスシート残高が、ほぼ横ばいの状態」となっているために、「紙幣の増刷を実施することにより、景気の好転と資産価格の上昇を図るべきである」というような意見とも感じている。つまり、「中央銀行に対して、更なる刺激策を要求する意見」とも言えるようだが、この点に関する「私自身の感想」としては、「いよいよ、本当のインフレが始まるサインではないか?」ということでもあった。

より詳しく申し上げると、「過去20年以上、なぜ、日本において、実質上のゼロ金利政策が可能だったのか?」ということが、私自身の「疑問点の一つ」でもあったが、実際には、「約8京円」という規模にまで膨れ上がった「デリバティブ」の存在が、最も大きな原因だったのである。しかし、現在では、「金融メルトダウン」の進展により、「金利やインフレを低下させる効果」が激減している状況となっており、このことは、間もなく、本格的なインフレが発生する状況を意味しているものと想定されるのである。

そして、このような状況下で、「日本政府」や「日銀」が、「財政規律の緩和によりインフレが発生する」と断言せざるを得ない状況となっていることにも、大きな意味が隠されているようだが、実際には、「日本人」のみならず、「世界中の人々」に対して、「警告」が発せられた可能性である。(2019.5.23)

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50年の回り道

今から50年ほど前、学生だった私は、当時の流行だった「マルクス経済学」と「西洋哲学」に噛り付いたが、結果として得られたものは、「自分の無能さへの自覚」と「茫漠たる思い」でもあった。つまり、「まったく理解できず、頭脳が分解するような思い」を抱いたわけだが、幸いなことに、「マルクス経済学」については、その後、「アメリカへの大学留学」と「43年間の金融界における実践」をへて、半分程度、理解できたものと考えている。

具体的には、「マルクス」が最も知りたかった「貨幣と商品との関係性」については、自分の実践により、ほとんど体得できたものと考えているが、問題は、残り半分の「西洋哲学」でもあった。つまり、「マルクス経済学」の裏側には、「西洋人が、連綿として悩み続けた問題」、すなわち、「人間とは、いったい、どのようなものか?」が存在することに、50年目にして気付かされたのである。

より詳しく申し上げると、私自身は、今まで、「お金の謎」と「時間のサイクル」を考え続けてきたが、現在では、「心の謎」に問題意識が到達し、この時に出会ったのが、「梅原猛氏の著書」だった。そして、彼の著作により気付かされたことは、「我思う、故に我あり」という「デカルトの言葉」について、「50年前の私が理解できなかったのは、当然のことだったのではないか?」ということだった。

別の言葉では、私自身の「心の仮説」を使うことにより、「何故、西洋人が、今まで、人間を理解できなかったのか?」が、ある程度理解できたものと考えているが、この時に役立ったのが、「梅原氏」が教える「日本人の思想」だった。つまり、「生命の思想」と「心の思想」、そして、「地獄の思想」のことだが、この点を、私なりにアレンジすると、「宇宙の仕組み」は、「生命の思想」という「大自然」と「心の思想」である「人類の想い」により説明可能なものと考えている。

しかも、この時に重要なポイントは、「100年ほど前に死んだ」と言われる「神」の復活でもあるようだが、実際には、「ニーチェ」が主張するように、当時の西洋人は、心から「神が死んだ」と理解したのである。そして、結果としては、「心の思想」が「技術科学文明」のみならず、「マネーの大膨張」までをも引き起こしたのだが、これから起こることは、「生命の思想」、すなわち、「神や天に対する理解」が復活するとともに、「金融混乱の激化」により、「心の思想」に対する幻滅感が増幅される状況だと考えている。(2019.5.25)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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