SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】363 ニューヨーク州の牢払い

 時は江戸、所は小伝馬町の大牢。 突然黒い煙が舞い上がり、続いて火花と真っ赤な炎が夜空を焦がしました。 「火事だ~!」と叫ぶ声とけたたましい半鐘と煙と臭いで、囚われ人たちは飛び起きました。 「お前たちを焼き殺すわけにはいかない3日経ったら必ず戻ってくるんだぞ!」と、牢役人は叫んで、閂を開けました。 中には戻ってこない輩もいて、見つかるとその場で打ち首になったそうです。 このような<牢の解放>を、江戸時代には<牢払い>と呼びました。 <牢払い>は牢内や近所の出火の時に加え、将軍家の冠婚葬祭の時、大名の恩赦があった時などにも、行われたようです。

① 新型コロナウィルスで脱獄:
 2020年3月16日、ブラジル・サンパウロの4つの刑務所で暴動が起き、約1,400人の受刑者が脱獄した。17日までに約600人が収監され、残りの脱獄者は逃走中という。一週間の外出許可が取り消されたのが不満で、暴れ出したそうだ。「受刑者が外に出て新型コロナウィルスに感染しないようにと、親心で不許可にしたのに」と、刑務当局側も不満をぶちまけた。
 3月29日、タイ・プリラム県の刑務所で、黒煙が激しく立ち上がった。100人以上の受刑者が食堂や面会室の窓を壊し火を点け、多くが脱走した。再逮捕されたのは9人だった。ソムサック・タイ法務大臣は、「終身刑で服役中の受刑者数人が、<新型コロナウィルス感染者が出たぞ~!>という噂を流して、暴動を扇動した」と、語った。この刑務所には約2,200人の男女が収容されている。この日、3月29日までにタイで感染した人は1,388人で、死者は7人を数えている。
 法務省は11日、東京拘置所に収容されている60代の被告の男が新型コロナウイルスに感染したと発表した。今月上旬に東京拘置所に入った男は9日に発熱したためPCR検査を受け、11日に陽性が確認された。接触した収容者や職員を調べているが、現時点で他の収容者や職員に感染症状は出ていないという。また、大阪拘置所に勤務する30代の男性刑務官も同日、新型コロナウイルスの感染が判明した。同所ではこれまでに別の刑務官3人の感染が確認されており、感染者は合わせて4人となった。
 
② ニューヨーク州知事の牢払い: 
 4月7日、アンドリユー・クオモ・ニューヨーク州知事が、州内でこの日だけで731の
新型コロナウィルス死亡者を数えたと発表した。ニューヨーク治安当局は、リカー刑務所で感染者が死亡したことを受けて、新型コロナウィルスの危険に曝されている受刑者達の緊急対応に迫られた。BBC英国TVによると、ニューヨーク最大のリカー島刑務所で初めて新型コロナウィルスの犠牲になったマイケル・タイソン(53)はニューヨーク生まれで、2月28日から収監され事情聴取を受けていたという。タイソンは他の容疑者100人と共に、近々、放免される予定だった。4月6日までにニューヨーク市刑務所で、286人の収容者と331人の職員に陽性反応が出ている。ニューヨーク市刑務所の収容状況は超過密で、設備や扱いは全米でも最悪とされている。その密閉された刑務所に、新型コロナウィルスが侵入したのだ。これまでにクオモ知事は、1,100人以上の受刑者を開放するように命じていた。知事の側近の一人は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、新たな受刑者解放と刑務所衛生改善を進めていくと、決意を語った。数か所の裁判所でも、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、容疑者を開放した。ウィリアム・バー司法長官は、合衆国が収監している者で条件を満たせば解放するようにと、指示を出した。
 新型コロナウィルス犠牲者マイケル(マイク)・タイソン(53)がニューヨーク生まれと聞いて、あの元プロボクサーか?と、大いに色めき立ちましたが、こちらは、まだご存命のようです、、

③ 西サハラ政治囚を牢払いしろ!:
 2020年3月末、ブラヒム・ガリ西サハラ大統領が、アントニオ・グテーレス国連事務総長に、モロッコ刑務所に収監されている西サハラ政治囚の釈放を要請した。要請書の要約は、「モロッコ当局は、約百人の西サハラ政治囚を狭い獄に詰め込んでいる。彼らはモロッコ占領地・西サハラの平和デモに参加しただけで正式な裁判もなく、終身刑などの重い禁固刑を宣告され、長期にわたって収監されている。これまでも度々、西サハラ政治囚の釈放を、モロッコ占領当局やモロッコ占領地の西サハラ市民を守る義務がある国連に申し出てきた。それは、全世界の誰もが享受できる、基本的人権に関わることだ。そして、今回、新型コロナウィルスの脅威が、世界の隅々まで襲ってきた。密閉され密集している刑務所も、例外ではない。EUはモロッコに新型コロナウィルス対策の支援金として、530憶円を約束した。が、支援金は監獄改善には使われない。ましてや、モロッコには西サハラ政治囚の環境や医療や食事に回す気など、毛頭ない。劣悪な密集した獄中で、西サハラ政治囚の体は蝕まれていて、新型コロナウィルスに憑りつかれようものなら、あっというまに集団感染し犠牲者が出てしまう。大惨事が起こる前に、国連人権委員会とWHO世界保健機関はモロッコ刑務所に収監されている西サハラ政治囚の実態を検証して欲しい。そして、一日も早く、西サハラ政治囚をモロッコ刑務所から解放するよう、モロッコ政府に強く働きかけて欲しい」と、ある。
 4月9日、声明文はブルッセルにある国際アムネステイーに送られた。
4月11日、オーストラリア・西サハラ協会も、西サハラ政治囚の釈放を国連に訴えた。
同協会によると、モロッコは約5,000の囚人を新型コロナウィルス感染拡大防止を理由に釈放すると発表した。が、その中に、西サハラ政治囚は含まれていないという。

モロッコ刑務所に不法収監されている数百人西サハラ政治囚
のうち、終身刑など重刑の平和活動家たち

 江戸時代の流行り疫病は、天然痘、麻疹、ハシカ、風邪、梅毒、肺結核、ハンセン氏病
、、などなど、数々あります。 中でもコレラはインドのガンジス河畔で生まれ、長崎から侵入して海港を経て江戸まで渡り、安政5年(1858年)には江戸人口100万のうち28万人以上を殺したと言われています。 翌年には仙台藩の石巻まで北上し、多くの善男善女をなぎ倒しました。 
「安政六己未天下秋晦日 当寺十世存長敬白 南無阿弥陀仏 数百万遍」
(石巻の東雲寺にある供養碑)


*「アリ 西サハラの難民と被占領民」の只今発売中です。
著者:平田伊都子、写真:川名生十、画像提供:李憲彦、川上リュウ、SPS、
造本:A5判横組みソフトカバー、4頁のカラー口絵、本文144頁
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、TEL:03-3814-3861
2020年2月3日 初版第一刷発行  定価 税抜き2,000円

*1月22日、「ニューズ・オプエド」で#1323<アフリカ最後の植民地>を放映しました。
YouTube オプエド平田伊都子 URL https://www.youtube.com/watch?v=citQy4EpU-I

Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)をご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2020年4月13日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9641:200413〕