肉体と精神
西洋の「聖書」や「ギリシャ哲学」、そして、東洋の「仏教」などを研究すると、人類史上、最も古く、かつ、最大の問題は、「人間とは、いったい、何ものなのか?」ということとも言えるようである。そして、その問題を解決するために、さまざまな研究が行われてきたわけだが、実際のところ、「1600年前、アウグスティヌスが著わした神の国」という著書においても、「肉体と精神との関係性」が詳しく説明されているのである。
ただし、この著書では、「心の謎」が理解できていないために、あいまいな分析となっている可能性もあるようだが、実際には、目に見える物質である「肉体」や「頭脳」と、目に見えない存在である「精神」や「魂」とが、「どのように働き合った結果として、思考や記憶力などを生み出すのか?」が理解できなかった状況とも思われるのである。別の言葉では、「心の謎」が解けない限り、「ヨハネの黙示録」が教える「キリスト信者の携挙」や「キリストの再臨」などが理解できない状況のようにも感じられるのである。
より具体的には、「旧約聖書」の「コヘレトの言葉」で述べられている「空の思想」が理解できない限り、「社会科学の進歩」が起こらない可能性のことである。つまり、「自然科学」における「重力のメカニズム」と同様に、「社会科学」における「人々の意識と行動のメカニズム」が理解されない限り、「千年王国」と言われる「新たな時代」が到来しない可能性も想定されるのである。
別の言葉では、現在の「世界的な金融混乱」については、「ヨハネの黙示録」が教える「ハルマゲドンの戦い」のようにも感じているが、現時点で必要なことは、この点に関して、「世界の金融システムが、今まで、どのような過程を経て成長してきたのか?」、あるいは、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊と同様に、大インフレの発生により、世界全体が大きく変化する可能性」などを考慮する必要性が存在するものと想定されるのである。
つまり、「ヤスパース」が主張する「第二の枢軸時代」が、実際には、「黙示録が教える1000年王国」であり、この時代が始まるための必要条件は、「各国が戦費などを使わず、地球環境と共生できる社会の構築を目指すこと」とも思われるのである。そして、このために必要なことは、「肉体」と「精神」をつなぐ「心」に関して、正しいメカニズムを解明することだと考えているが、現在の世界的な流れを見ると、「さまざまな人々が、この点の解明に力を入れ始めている状況」であり、また、「悪魔のひき臼」で壊された「人々の心」を復活させようとする段階のようにも感じている。(2021.3.14)
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不良債権の現状
現在の「世界的な金利上昇」は今後も継続し、間もなく、未曽有の規模の「金融大混乱」に変化するものと思われるが、この理由として挙げられることは、「隠ぺいされた不良債権の表面化」でもあるようだ。つまり、「1990年のバブル崩壊時」に、日本で発生した「約300兆円の不良債権」が、その後、形と所有者を変えながら増え続けてきたわけだが、現在では、「誰も、その存在に気付かないような状況」となっているのである。
より詳しく申し上げると、「民間企業」や「一部の個人」が被った「バブル崩壊の損失」と「その時に発生した不良債権」は、その後、「民間の金融機関」に引き受けられたわけだが、その結果として発生した事件が、「1997年から98年の信用収縮」であり、実際には、「山一証券」や「北拓銀行」などの倒産となって、行き詰まりが表面化したのである。そして、その後に発生した変化は、「不良債権の隠ぺい」であり、実際には、「欧米の民間金融機関」を中心にして、「簿外取引でデリバティブ(金融派生商品)を大膨張させる」という前代未聞の行為につながったのである。
別の言葉では、「1997年の約5000兆円」を「2008年の約8京円」というように、「デリバティブの残高」を急増させ、「大量のデジタル通貨」を生み出すことにより、「超低金利状態」を享受しながら、「国家の財政問題」が発覚する危機を先延ばししてきたのである。つまり、「日本で発生した不良債権」は、その後、「世界的、かつ、より巨額の不良債権」を発生させたものの、今までは、「デリバティブの大膨張」が産み出した「金融界のブラックホール」の内部に温存することが可能な状況だったのである。
より具体的には、「中央銀行と民間金融機関による国債の価格操作」により、「虚構のデフレ状態」が創り出されたわけだが、現在では、「国債を買い続ける資金」に行き詰まりが発生してきたのである。つまり、「デリバティブ」が産み出した「デジタル通貨」が枯渇し始めた結果として、現在では、徐々に、「紙幣の増刷」が始まっているが、このことは、「不良債権が、再度、表面化し始めた状況」、すなわち、「金融界のブラックホールから、一挙に、不良債権が噴出され始めた展開」を意味しているのである。
そして、今後は、この事実に気付いた人が、急速に「換物運動」を始める状況を想定しているが、実際には、「時すでに遅し」の状況、すなわち、「貴金属」などを始めとして、「現在のマネーに見合うだけの実物が存在しない状態」となっているために、これから想定される事態は、「価格の急騰により需給関係を調整する展開」だと考えている。(2021.3.19)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion10734:210415〕