金融戦争下の価格統制
1990年代の半ば、「国家の財政危機」と「メガバンク倒産の危機」に瀕した「米国」は、「デリバティブの大膨張により、問題の先送りを図る」という、歴史に残る「重大な決断」をしたものと考えている。つまり、新たな「金融商品」を創り出すことにより、同時に、新たな「デジタル通貨」までも手に入れる方法のことだが、この点については、ご存じのとおりに、「予想以上の大成功」を収めることが可能だったのである。
しかし、どのような出来事にも、必ず、副作用が存在するわけであり、今回は、特に成功の規模が大きかった分だけ、マイナスの反動が大きくなるものと考えている。つまり、「大膨張したマネー経済を、どのようにして元に戻すのか?」という「本当の出口戦略」のことだが、このためには、「過去20年余りの期間に、どのような現象が発生したのか?」を詳しく分析する必要性が存在するものと感じている。
別の言葉では、「デジタル革命」と言われるものの正体を把握することでもあるが、実際には、「コンピューターネットワーク」と「デジタル通貨」の融合により、「マネー経済」を大膨張させるとともに、「借金漬けの国家運営」を常態化させたものと想定されるのである。つまり、「世界中の多くの人々に、過剰な消費行動を推奨する効果」が存在したものと思われるが、この結果として発生した現象が、ご存じのとおりに、「地球の温暖化」であり、また、「新型コロナウイルスの発生」だったものと思われるのである。
しかも、今回は、世界の金融市場において、「大膨張したデジタル通貨」を使い、「価格統制が実施された可能性」も存在するが、実際には、「金利」を中心にして、「株式」や「為替」、そして、「さまざまな商品」の価格が、「政府とメガバンクのコントロール下にあった可能性」が指摘されているのである。つまり、今回の「マネーの大膨張」が、「お金を奪い合う第三次世界大戦だった可能性」のことでもあるが、現在では、多くの人々が述べているように、「1945年の日本」を想起させるような展開となっているのである。
別の言葉では、「金融敗戦が近づいている段階」のことでもあるが、今回は、「明治維新」と「第二次世界大戦の敗戦」を合わせたほどの衝撃が、世界的に発生するものと感じている。つまり、「1600年前に発生した西ローマ帝国の崩壊」が、今回、世界全体で発生する可能性のことだが、今回の救いとしては、「過去の歴史」を調べることが可能なだけではなく、「発展した自然科学の恩恵により、より高度な社会を築ける可能性」だと考えているが、この時の必要条件としては、やはり、「心の謎」の解明のようにも感じている。(2021.4.28)
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インフレ大津波の第一波
昨年から始まった「木材」や「銅」、あるいは、「穀物」などの価格急騰は、「インフレの大津波が世界を襲い始めた状況」でありながら、現時点では、「第一波」の小さな波動にすぎないために、ほとんどの人が気付かない段階とも言えるようである。つまり、今までは、「デリバティブの大膨張」が産み出した「大量のデジタル通貨」が「国債や株式、あるいは、土地などの、インフレ指数に含まれず、また、デジタル通貨でも容易に投資が可能な商品」に向かっていた状況だったのである。
別の言葉では、「超低金利の蓋に覆われた金融界のブラックホール」とでも呼ぶべき環境下で、いろいろな「フロス(小さな泡)」が、数多く発生した状況でもあったが、現在では、「デジタル通貨の枯渇」と「紙幣増刷の始まり」により、「実物資産への資金移動が始まった段階」とも言えるのである。つまり、「インフレ指数の計算に含まれている商品」へ、世界の資金が向かい始めた状況のことでもあるが、このことは、「金融界のホーキング放射」とも言える「ブラックホールの内部に存在する大量のデジタル通貨が、紙幣に形を変えて表に出始めた状況」とも考えられるのである。
そのために、今後の注意点は、「国債価格の急落」が引き起こす「世界的な資金重要のひっ迫」であり、実際には、「世界各国の中央銀行が、国債の買い付けを放棄せざるを得なくなる状況」のことである。別の言葉では、「1991年のソ連」と同様に、「国債の買い手」が消滅した結果として、大々的な「紙幣の増刷」に訴え始める状況のことだが、この時に発生する現象は、やはり、「金融界の白血病」とも言える「紙幣が、コンピューターネットワークの中を流れることができない状態」とも想定されるのである。
そして、このような動きが「インフレ大津波の第二波」を形成するものと考えているが、この点については、古典的なインフレ理論が示す「ギャロッピング・インフレ」の段階であると考えている。つまり、今回は、「1923年のドイツと同様の展開」が発生するものと考えているが、実際には、「約6か月間の大混乱期」、すなわち、最終段階の「ハイパーインフレ」の前に、誰もが信じられないほどの「景気の高揚期」が到来する可能性のことである。
ただし、このことは、「回光返照(えこうへんしょう)」と呼ばれる「ローソクが燃え尽きる前の一時的な輝き」にすぎず、その後、本格的な大インフレの時期を経たのちに、全く新たな「東洋の時代」が始まる状況を想定しているが、この点については、いまだに、世界的な認識の遅れが存在しているようにも感じている。(2021.4.30)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10971:210604〕