金融抑圧政策の反動
過去20年あまりの「世界的な超低金利状態」については、人類史上、初めての出来事であり、また、未来永劫に語り継がれる異常事態だったものと思われるが、この理由としては、やはり、「1980年代初頭に誕生し、その後、大膨張を記録したデリバティブの存在」が指摘できるものと考えている。つまり、「1971年のニクソンショック」以降、全く新たな「通貨制度」が誕生し、その結果として、「デジタル通貨」という「単なる数字」が、「主要に取引される本位貨幣」に変化した事態のことである。
より詳しく申し上げると、「お金(マネー)の価格」を表す「金利」については、「マネーの残高が増えると低下し、反対に、マネーの残高が縮小すると上昇する」という性質が存在するが、過去40年あまりは、ご存じのとおりに、「金利の低下」のみならず、「マイナス金利の発生」という「前代未聞の出来事」まで発生したのである。つまり、歴史上においても、きわめて異常な状態となっていたわけだが、実際には、「水茹での蛙」の言葉のとおりに、「徐々に変化した事態については、ほとんどの人々が、抵抗なく受け入れた状況」だったことも見て取れるのである。
別の言葉では、「権力を持った金融当局者が、きわめて異常な金融抑圧政策を実施した」という状況のことだが、「ほとんどの国民は、何の疑問も持たず、政府のコメントを信用した」という展開となったことも理解できるのである。つまり、「大きな歪みや矛盾」が積み重なっていながらも、ほとんどの国民にとっては、「怖いものは見たくない」という心理が働いた状況だったものと思われるのである。
より具体的には、「価格操作による表面的なデフレの演出」に加えて、「マスコミの動員などによる国民意識の操作」などが行われていた可能性のことでもあるが、このような結果として発生した変化が、現在の、「海中に押し込められたビーチボールが、急速に浮上を始めたような状態」とも考えられるのである。つまり、最近の「インフレ率や金利の上昇」については、未曽有の規模の圧力がかかっている状況であり、今後は、より一層の劇的な大変化が発生するものと想定されるのである。
別の言葉では、「紙幣の大増刷」が始まった時に、「換物運動」という「世界中の人々が、一斉に、実物資産に殺到する事態」が想定されるわけだが、この時の注意点は、「デジタル通貨が信用されなくなり、食料品などと交換できない事態」であり、実際には、「第二次世界大戦後の混乱状態」が参考になるものと考えている。(2022.2.8)
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インフレを巡る議論と行動
現在は、「インフレ」を巡って、さまざまな議論が噴出している状況とも言えるが、一方で、「どれほどの人が、インフレへの備えを実施しているのか?」という行動面を考えると、実際には、「なぜ、物価上昇が発生するのかが理解できず、希望的観測だけで、インフレ率の低下を望んでいる状況」とも理解できるようである。つまり、「歴史的な推移」を無視した「経済理論の禅問答」とでも呼ぶべき状況となっているために、「時間の経過とともに、混乱状態が加速している展開」とも想定されるのである。
別の言葉では、「なぜ、20年以上も、日本を中心として、超低金利状態が継続したのか?」を考えなかったために、現在の「金利やインフレ率の上昇」により、一種の「思考停止状態、あるいは、混乱状態」に陥っている状況とも思われるのである。しかし、この点については、「DX革命の将来」とも、深く関わっているために、決して、避けては通れない問題とも言えるようである。
具体的には、「デジタル通貨の運命」、すなわち、「今後、世界の通貨は、どのような変化を見せるのか?」が、現在、最も重要視されている問題でありながら、実際には、「金利の上昇後に、どのような世界が待っているのか?」を、誰も考えようともしない状況となっているのである。そして、今までと同様に、「過去の延長線上に未来は存在する」というような、誤った考えに支配されているものと思われるが、このような状態に水を差すのが、現在の「急速な金利上昇」とも考えられるのである。
つまり、今までは、「世界的なマイナス金利の存在」により、「負債の残高」が、ほとんど無視されていた状況だったものの、現在では、「マイナス金利から急速な脱却」が進展することにより、「誰が金利を負担するのか?」に注目が集まり始めたものと考えられるのである。別の言葉では、「金利を払う」という認識そのものが、今までは、無視可能な状況だったようだが、現在では、多くの人々が、急速に、「金利負担を含めた資金繰りの問題」に直面し始めているのである。
そして、実際の行動として、「実物資産の確保」を始めたものの、「オカネはあってもモノがない」という非情な現実に突き当たったものと思われるのである。つまり、「大量に存在したデジタル通貨」については、「仮想現実の世界でしか役に立たない」という事実を理解し始めた人々が、現在、急速に、増えており、今後は、「世界中の人々が、この事実に気付くまで、インフレ率が加速する状況」も想定されるようである。(2022.2.10)
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貫いた挑戦と報われない努力
「オリンピックの熱狂」については、誰も否定できない事実であり、実際のところ、今回も、「羽生結弦選手の言動」については、大きな感動を味わった状況でもあった。そして、特に気になった言葉は、「貫いた挑戦と報われない努力」だったが、実際には、「より深い意味が隠されているのではないか?」と感じたのも、間違いのない事実だった。つまり、「羽生選手には特別の才能があり、また、人一倍の努力も行われた」ということには、誰も否定できない状況とも思われるが、この時に感じたことは、「誰もが同じ状況ではないか?」ということだったのである。
具体的には、「羽生選手のスケート」と同様に、「全ての人々に、それぞれの才能が備わっている可能性」であり、実際のところ、「好きなことを努力することは、楽しく、しかも、 楽なことではないか?」とも思われたのである。つまり、「好きなことに熱中しているときが、人生で、最も充実している時期」であり、また、「春に花が開き、秋に実が結ぶ」という言葉のように、「それぞれの人生には、それぞれの充実期やドラマが存在するのではないか?」とも感じられたのである。
しかも、今回は、「オリンピックの意味」ついても、改めて考えさせられた状況でもあったが、この理由としては、ご存じのとおりに、「ドーピングや失格などの事件が多発した事実」が指摘できるようである。つまり、「1600年ほど前の古代オリンピック」と同様に、「世界中の人々が、オリンピックの存在を見直し始めた可能性」のことでもあるが、実際には、「コロナに感染する危険性」と「オリンピックの熱狂」などに関して、冷静な判断を始めた状況のようにも思われるのである。
そして、この点に関して、より注目すべき事実は、やはり、文明法則史学が教えるとおりに、「財政赤字とインフレで滅んだ西ローマ帝国が、現在の世界情勢に酷似している可能性」である。つまり、当時の「グラディエーター」などと呼ばれた人々は、「その後、あっという間に存在感が失われた」という状況でもあったが、この理由としては、「人々の価値観が激変した事実」が指摘できるものと感じている。
より具体的には、「人間の可能性や才能開発」に関して、「肉体から精神への転換」が発生したものと思われるが、実際には、「東洋の時代」が始まるとともに、「仏教」などの研究が、盛んに行われ始めた状況のことだが、このことは、現在の「量子力学」などの「ミクロの物理学」に当てはまるものと感じている。(2022.2.11)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion11847:220314〕