SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】481 停戦

 イエメン戦争の停戦がさらに2ケ月延長されたと報道された時、「やった~!」と心から万歳三唱!  ウクライナ戦争停戦を巡る取引に些かウンザリしていた庶民にとって、爽やかな朗報でした。 やればできる、戦争を始めたのは人間です。 その人間に、その張本人に、戦争を止められないわけがない、、 <停戦>、早くお願いします!!

① イエメン停戦、さらに2か月延長、国連特使の努力:
 約7か月前の2021年9月11日、イエメン国連事務総長特使に就任したスウェーデン人の外交官ハンス・グランドバーグは、「国連の取り組みを支援するイエメンの近隣国関係者や安保理メンバーのイニシアチブは高く評価されており、また継続してゆく必要があります」と、国連安保理で語った。そして特使は、イエメンとその近隣地域、また国際社会の協力者らとの初の会議が開始されると述べ、「イエメン政府のハーディ大統領や他の要人と会うためにまもなくリヤドへ出張することになる」と伝え、「フーシ派の指導部や「サナアを拠点とする他の関係者、そしてイエメン全域の関係者らと会うことを楽しみにしている」と述べた。会うのを楽しみとする特使は、実際に、紛争地でイエメンの人々と付き合い、周辺国の首長らと話し合った。こうして、イエメン紛争の両当事者やイスラム教徒らが納得する停戦理由とタイミングを模索した。
 そして、2022年4月2日のラマダン停戦を成功させた。グランドバーグ特使が偉いのは、ラマダン断食月一か月にもう一か月加え、停戦を2か月と決めたことだった。UAE首長の逝去に合掌しつつ、停戦期限が切れた6月3日には、すかさず、さらに二カ月の停戦を打ち出した。
 イエメン内戦は、サウジアラビアなどのイスラム教スンニ派湾岸首長国がイエメン政府軍を支援し、シーア派のイランが反政府シーア派フーシ軍を後押しし、約7年間続いていた。イランとサウジアラビアの代理戦場と化したイエメンは廃墟になり、世界文化遺産の多くが消滅した。ユニセフ(国連児童基金)2022年3月半ばの発表によると、約1万200人以上の子供が殺され、約220万人の5歳未満児が急性栄養不良に苦しみ、50万人以上が重度の急性栄養不良に陥っているという。1,000万人以上の子どもと約500万人の女性は、適切な保健サービスや医療を利用できていないそうだ。

② 停戦どころか、マリ紛争はますます混戦:
 現地時間6月3日早朝、マリ南部ドウェンツアの町外れで武装したテロリストに国連PKO(平和維持活動)コンボイが銃撃され、エジプト人のPKO(平和維持活動)隊員 2人が殺された。2人が重傷を負った。MINUSMAミヌスマ (国連マリ多次元統合安定化派遣団) の隊長エルガッシム・ワネは、同じ週にカイス地方で起きたマリ赤十字職員2名を殺した襲撃事件も合わせて、武装組織を強く非難した。
 6月6日の国連定例記者会見で報道官が、「事件を受けてマリに入ったマーチン・グリフィス緊急救済担当官が、2012年に始まった武装集団が絡むマリの長期内戦で、750万人のマリ市民(マリ全人口の三分の一)が、人道支援を必要としていて、4人に一人が、食料不足だと、報告してきた」と、発表した。5月22日からのマリ国連PKO(平和維持活動)襲撃事件は、これで6回になる。
 マリにおける最大の国連PKO(平和維持活動)駐屯地襲撃事件は、2019年1月20日未明に起きた。この朝、マリ北部キダル州アゲルホックにあるMINUSMAミヌスマ(国連マリ多次元統合安定化派遣団)の駐屯地が、国際テロ組織アルカイダ系の武装勢力AQIMアキム(イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織)に襲撃された。チャド人の隊員10人が死亡、少なくとも25人が負傷した。2013年1月16日、アルジェリアのイナメナス郊外に位置する天然ガス採掘プラントを襲撃し、日本人11人を殺したムフタ―ル・ベル・ム二フタ―ルが率いる「イスラム聖戦士血盟団」は、AQIMアキムから脱退した組織だ。
 
③ 停戦したくない<ウクライナ戦争仕掛け人>のバイデン米大統領:
 世界を仕切りたいバイデン米大統領は、ウクライナに高額高級武器を小出しに贈って戦闘を煽り、戦争を長引かせている。口からでまかせバイデンだが、「ロシアと戦争をしたくない」とは、本音のようだ。従ってバイデンは、自ら銃を握らない。が、誰が企画するのか、想像を絶するありとあらゆる虐めと差別と排除で、ロシアを締め付け続ける。
 バイデンはクアッド首脳会議(5月24日)に続きアメリカ州首脳会議(6月8,9,10日)を開き、北米と中南米にもアメリカ合衆国の縄張りを広げようと企んた。バイデン定番の身内しか寄せない首脳会議には、ロシア寄りのキューバとヴェネズエラとニカラグアの三国を、排除した。差別に反発した隣国のメキシコ大統領ロペス・オブラドールは、<米国のお友達会議>に不参加を決め、ボリビアやホンジュラス等の首脳も欠席した。誰が<州>と翻訳したのか、<米国州首脳会議>はまさに<アメリカ合衆国の自治州>と化した地域の親分衆が集まる会合だった。その宴会に国連事務総長も出かけて行った。
バイデンが停戦をOKしない限り、戦争を投げ出さない限り、ゼレンスキーは停戦できない。交渉もできない。
 両戦争当事者の交渉の席をイスタンブールに用意したトルコのエルドアン大統領は、5月30日、ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領とに、それぞれ電話協議をした。エルドアン大統領は、これまで通り両国の仲介に意欲を示している。
 6月8日、トルコの首都アンカラで、ロシアのラブロフ外相と会談を行ったチャブシュオール氏は、共同記者会見で、トルコは、ウクライナ戦争について、可能な限り早期に外交プロセスを通じて終結させる必要があると考えていると述べた。
 同日の6月8日、アルジェリア政府は、「スペインと2002年に結んだ友好善隣協力条約の停止と全ての2国間貿易禁輸を決定した。理由は、サンチェス・スペイン首相が西サハラの領有権を主張するモロッコによる自治権付与の計画を支持し、西サハラを巡る国連特使の平和的解決を拒否したからだ」と、公式発表をした。共同通信、BBCニュース、AFPフランス通信、ロイター通信、など、世界のマスコミが<西サハラを巡りアルジェリアとスペインに緊張高まる>と報道した。アルジェリア産天然ガスはスペインを通じてEU諸国に出回っていた。スペイン以上にEU欧州委員会は、アルジェリア産天然ガスのスペイン輸出停止を心配している。6月29日と30日のNATO首脳会議は、スペイン・マドリッドで開かれる予定だ。
 アルジェリアは欧米、アフリカ、中東、ロシア、中国などと、独立独歩の外交を展開させている。5月10日にラブロフ・ロシア外務大臣がアルジェにテブン・アルジェリア大統領を訪ね、プーチン・ロシア大統領からのモスクワ訪問招待状を手渡した。テブン・アルジェリア大統領はトルコの招待を受け、5月16日に首都アンカラでエルドアン・トルコ大統領と会談をした。
 アメリカ州首脳会議から除け者にされたマドゥロ・ベネズエラ大統領をアルジェリアに招待したテブン・アルジェリア大統領は、「国家間の友情は信義と信頼に基づく」と、語った。

左にアメリカから除け者にされているマドゥロ・ベネズエラ大統領、
右に正式招待したテブン・アルジェリア大統領(出典APS)

 2022年6月9日、日本が国連安保理の非常任理事国に選ばれました。 日本の安保理入りは2016~17年以来で、時の外務大臣だった岸田首相は、安保理議長を務めたことがあります。 新非常任理事国の任期は来年1月から2年間です。 
 日本らしい独創的な外交をお願いします!

――――――――――――――――――――

「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

――――――――――――――――――――

Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2022年6月12日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion12115:220612〕