資本主義崩壊後の世界
最近、「新たな資本主義」が、マスコミの話題となっているが、この点については、「本末転倒の状態」であり、実際には、「人類の歴史において、資本主義の時代が、どのような役割を果たしたのか?」を理解することが必要だと感じている。別の言葉では、「西暦1600年前後に誕生した『時は金なり』という思想」により「意識の方向性」が固まり、その後、「西暦1800年頃から始まった産業革命」により「経済成長」が始まった展開を理解することだが、この時の問題点は、いまだに、「お金の謎」が解けていない事実である。
より詳しく申し上げると、「資本(お金)が主義(最も大切である)時代」は、「人類の歴史」から考えると、きわめて短い期間にすぎず、現在は、「1971年のニクソンショック」から始まった「人類史上最大規模のマネー大膨張」により、「資本(お金)よりも大切なものがある」と、多くの人が理解し始めた段階とも言えるのである。具体的には、「地球環境」や「人の心」などのことだが、この点については、「文明法則史学」が教える「800年毎に発生する東西文明の交代」で説明が付くものと感じている。
つまり、「マネーの歴史」を辿ると、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」が、現在の世界情勢と酷似していることが見て取れるが、実際には、「西洋文明に特有の唯物論」、あるいは、「武力や資金力」などを背景にして、「数百年間の期間に形成された大都市文明が、あっという間に、崩壊した展開」のことである。そして、その後は、「唯心論を基本的な価値とする東洋文明の時代」が「約800年間」も継続したわけだが、実際には、「中国やインドなどを中心にして、華やかな仏教文明が花開いた状況」とも言えるのである。
そのために、今回も、高次元における同様の展開を想定しているが、実際には、「11次元にまで発達した自然科学」の利用により、「3次元に留まっている社会科学」が、今後、急速に発展する可能性のことである。より具体的には、「AI(人工知能)」などの高度利用により、「お金の謎」だけではなく、「過去1600年間という時間に、世界という空間で、どのような変化が発生したのか?」を詳しく分析される可能性である。
別の言葉では、「数多くの小さな共同体」に分裂した社会が、その後、「どのようなメカニズムで、統合や融合を繰り返して、西暦2000年前後のグローバル共同体にまで発展したのか?」を徹底分析されるとともに、「心の謎」が解明される状況とも考えているが、この時に、重要な意味を持つのが、やはり、「聖書」の「あなた方は、神と冨とに同時に仕えることができない」という言葉とも言えるようである。(2023.2.2)
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インフレ指数の信憑性
2月3日に発表された「米国の雇用統計」では、「非農業部門の就業者数が、予想を大きく上回る伸びとなった」と報道され、その結果として、「株価」や「金利」、そして、「為替」や「商品価格」などが大荒れの状態となったが、このことは、典型的な「三次元の経済学」の弊害だと感じている。つまり、「現状だけを切り取る方法論により、どのような理屈でも付く状況」のために、「経済指数などの発表に一喜一憂する状態」のことである。
そのために、私自身としては、「時間の経過とともに、商品と通貨の残高が、どのように変化してきたのか?」を具体的な数字で分析する「四次元の経済学」を利用することにより、「世界に関する、時間的、かつ、空間的な全体像」が、より正確に把握できているものと感じている。別の言葉では、「民間企業と個人」や「民間金融機関」、あるいは、「国家」や「中央銀行」など、「それぞれ部門において、どのようなバランスシートが形成されているのか?」などを理解する方法論のことである。
そして、このような観点から理解できることは、現在の「インフレ指数」に「不動産や株式、あるいは、国債やデリバティブなどの金融商品が含まれていない事実」であり、また、「通貨や貨幣の理解において、信用創造(貨幣の創造)の解釈に問題が存在する可能性」とも言えるのである。具体的には、「民間金融機関が簿外(オフバランス)で保有するデリバティブ」に関して、「大量のデジタル通貨が創り出された可能性」が指摘できるとともに、現在の経済学では、この点が無視されていることも見て取れるのである。
そのために、今後の注意点としては、「どのような貨幣が、どのような商品に流れるのか?」が挙げられるが、実際には、「インフレ統計」に含まれている「実物商品」などに対して、「デジタル通貨」が「紙幣」に形を変えて、大量に流れだす展開のことである。つまり、「お金(マネー)の性質」としては、「価格が上昇する商品に、資金が流れる傾向が存在する」という点が指摘できるために、現時点で必要なことは、「今までに、どのようなバブルが発生し、また、弾けてきたのか?」を理解することとも言えるのである。
より具体的には、「金融の逆ピラミッド」の頂点に君臨してきた「デリバティブ」のバブル崩壊後に発生した「金融のメルトダウン」が、今までに、「国債のバブル」や「ハイテク株のバブル」、あるいは、「不動産のバブル」などを発生させてきた状況のことでもあるが、現時点では、「インフレ統計に含まれる商品群に、大量の資金が流れ始めた段階」、そして、今後は、この動きが加速する展開が想定されるものと考えている。(2023.2.4)
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インフレ税の徴収方法
現在の「世界的な金融混乱」を理解するために必要なポイントは、「金融システムの部門ごとに、バランスシートを具体的な数字で把握すること」であり、実際には、「民間企業」や「個人」、あるいは、「民間金融機関」や「中央銀行」、そして、「国家」などのバランスシートが、どのような状態になっているのか、を理解することである。また、この時に必要とされることは、「それぞれの主体が、どのような方法でバランスシートの残高を積み上げてきたのか?」を考えることとも言えるようである。
具体的に申し上げると、「民間企業や個人」の場合においては、当然のことながら、「労働」や「商品」の提供により「代価としての通貨」を受け取る方法、あるいは、「民間銀行からの借り入れ」などにより、「バランスシートの増加」が進展してきたのである。また、「民間金融機関」の場合には「預金の増加」、そして、「中央銀行」の場合には「準備預金などの増加」が指摘できるが、注目すべき点は、「国家の財政」とも言えるのである。
つまり、「国家の財政」を考える場合には、基本的に、「税収」が資金源として挙げられるが、問題は、「税収が不足した時に、将来の税金である国債を発行することにより、借金をする状況」とも言えるのである。しかも、より大きな問題点は、「国債の発行が難しくなったときに、目に見えないインフレ税が徴収される事実」でもあるが、この時の注目点としては、「国民が気付く方法」と「国民が気付かない方法」との「二種類」が存在する事実が指摘できるものと考えている。
より詳しく申し上げると、「量的緩和(QE)」と呼ばれる「中央銀行による国債の大量買い付け」は、「リフレーション政策」、すなわち、「国民が気付かないうちに、インフレ税を徴収する方法」を意味しているのである。つまり、「国民の預金を借りて、中央銀行が国債に投資する方法」のことでもあるが、この時の問題は、「どのようにして、国民の預金を返済するのか?」という点であり、実際には、「国民が気付く方法」、そして、「最後の手段」である「紙幣の増刷」が実施される展開を想定している。
別の言葉では、「ギャロッピング・インフレ」から「ハイパーインフレ」へ移行する状況のことでもあるが、現時点は、「世界的な株式や不動産などのバブル崩壊」により、「金融システムにおけるすべての主体に、資金繰りのひっ迫が発生しかかっている状況」にすぎず、今後は、間もなく、「誰もが、この事実に気付かざるを得ないような大事件の発生」、そして、「世界的な換物運動」が始まる段階に差し掛かってきたものと感じている。(2023.2.5)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion12866:230303〕