本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(414)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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世界的なバランスシート不況

今後、最も危惧すべき点は「世界的なバランスシート不況」であり、実際には、「バランスシートの非対称性」、すなわち、「資産価格は上がったり、下がったりの変動を見せるものの、負債の価格は一定である」という性質がもたらす「急激な資金ひっ迫状態」のようにも感じている。具体的には、「1990年代の日本」のように、「土地と株式の合計で約3000兆円」と言われた時価総額の急減により、「約300兆円もの不良債権」や「日本の失われた30年」が発生した状況のことである。

そして、このメカニズムを、現在の世界情勢に当てはめると、実際には、「約30年前の日本と比較して、約40倍程度の資産が存在するとともに、今後、約40倍の規模で不良債権の発生が見込まれる状況」も想定されるのである。つまり、「デリバティブと債券、そして、株式と土地の合計時価総額」が「約12京円」であり、また、「不良債権の総額」が「約1.2京円」という状況が予想されるとともに、「今後、この動きが、一挙に発生する可能性」も想定されるのである。

より詳しく申し上げると、「2021年に発生した、若干の世界的な債券価格の下落」、そして、「2022年に発生した世界的な株価の下落」が、現在の「世界的な金融混乱」の要因とも思われるが、今後は、「デリバティブの完全消滅により、債券価格の急激な価格暴落」も想定されるのである。つまり、「1991年のソ連崩壊」と同様の現象が、世界的に発生する可能性のことであり、この時に、大きな意味を持つのが、「金融界の大量破壊兵器と呼ばれるデリバティブの存在」とも理解できるのである。別の言葉では、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」以降、「BIS(国際決済銀行)を中心にした先進各国の金融当局者」が目論んできたことは、「デリバティブの崩壊と国債価格の暴落を防ぐこと」とも想定されるのである。

このように、今までは、「中央銀行のリフレーション政策」、すなわち、「民間部門から資金を借り入れ、大量の国債を買い付けることにより、超低金利状態を作り出す政策」により、「時間稼ぎ」と問題の先送り」が可能だったものの、現在では、「世界的なバランスシート不況」がもたらす「資金的なひっ迫状態」により、「最後の手段」である「紙幣の増刷」、あるいは、「CBDCの発行」が必要とされる段階に差し掛かってきたものと考えられるのである。そして、このことが、私が想定する「戦後の26年サイクル」、すなわち、「2023年8月15日前後に予想される大事件」であり、また、難しかった「メカニズムの解明」も最終段階に入ったものと感じている次第である。(2023.5.16)
 
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現代人のフロンティアスピリット

現在の「世界的な金融混乱やインフレ」に関しては、根底に存在する「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」が解消された時に終焉するものと考えている。そして、この点における重要なポイントとしては、「大膨張した現代のマネー」に関して、「どのようなメカニズムで膨張したのか?」、あるいは、「現代人のフロンティアスピリットが、どのような役割を果たしたのか?」を理解することだとも感じている。

つまり、「時間の経過とともに、どのような空間や社会が形成されていくのか?」については、基本的に、「人類全体の意識と行動」の分析が必要であり、また、この時に、私自身の「心の座標軸」が有効な状況のようにも思われるのである。具体的には、「村山節の文明法則史学」が指摘する「東西文明の交代」に関して、「目に見えるものと見えないものを交互に求める人々の意識」や「自分と他人との間を交錯する人々の行動」のことである。

より詳しく申し上げると、「西暦1600年から2000年」は、「目に見えるもの」を求める「人々の意識」の後半期に相当するとともに、「人々の行動」に関しては、「自分のことだけ」に専念する状況だったことも理解できるのである。その結果として、シュペングラーが指摘する「大都市の知性と貨幣」、すなわち、「大都市に埋もれた人々が社会の部品となり、疎外感を抱く状況」などが産み出されたものと考えられるのである。

そして、今後の注目点としては。「現代人が、現在、何を求めているのか?」という「人類の開拓者精神」の理解であり、実際には、シュペングラーが指摘する「生命力」などが挙げられるものと感じている。つまり、「知性」の反対の場所に位置する「生命」や「魂」、あるいは、「精神」を求め始めている状況のことであり、このことにより、現在の「マラソンブーム」などが説明可能な状況のようにも思われるのである。

より具体的には、「自分の身体を駆使することにより、本来の生命力を取り戻そうとする努力」のことでもあるが、この点に、すでに始まった「目に見えないものを求める意識」と「他人のために行動し始める人々の存在」を加えると、今後は、「1600年前」と同様に、「既存の常識が通用しない社会」に変化する可能性も想定されるようである。つまり、「神様的な存在だったマネーの消滅」により、「新たな神」や「新たな安全」などを求め始める展開のことでもあるが、実際には、「信用できる人々一緒に、小さな共同体を形成する動き」が世界的に広がる可能性のことであり、この結果として、「西洋における暗黒の中世」と「東洋における黄金の中世」が形作られた状況のようにも感じている。(2023.5.17)
 
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ロシアの軍事敗戦と米中の金融敗戦

現在の世界情勢、すなわち、「ロシアの軍事敗戦」や「米中の金融敗戦」の可能性に関しては、「明治維新以降の日本」が参考になるものと感じているが、実際には、「開国派と攘夷派が争った結果として、徳川幕府が崩壊した状況」であり、また、その後、「77年周期で、軍事敗戦と金融敗戦が発生する可能性」のことである。別の言葉では、「米中の対立」の結果として、間もなく、「西洋の物質文明」が崩壊する可能性のことでもあるが、この点については、「村山節の文明法則史学」が指摘するとおりの展開とも言えるようである。

そして、この時に、大きな役割を果たしたのが、「マネーの大膨張」や「帝国主義的な行動」でもあったが、実際には、「1945年の終戦」により、西洋諸国は、「軍事的な奪い合い」から「資金的な奪い合い」へと変化を遂げた状況とも言えるのである。しかし、一方で、かつての共産諸国は、「マネーの大膨張」や「経済的繁栄」の恩恵を受けた結果として、「軍事的な奪い合い」へと向かった状況のようにも感じている。

より具体的には、「共産主義」という名の「国家資本主義」とでも呼ぶべき状態で、「軍事的な独裁者が、アメリカの地位を奪い取ろうとしている状況」のことでもあるが、この結果として発生している事態は、「信用やマネーの消滅」であり、また、「グローバル共同体の崩壊」とも言えるのである。つまり、「1600年前の西ローマ帝国」と似たような展開が、現在、世界的な規模で発生するとともに、「資本主義国の共産主義化」や、あるいは、反対に、「共産主義国の資本主義化」が発生している状況のようにも感じられるのである。

より詳しく申し上げると、「西洋の先進諸国は、現在、資金のバラマキにより、かつての共産主義や社会主義的な政策を実施している状況」となっており、反対に、「かつての共産諸国は、金(ゴールド)の保有を増やすことにより、根本的な資本の増強を図っている状況」となっているのである。つまり、「どちらの陣営も、相手側の長所や短所を取り入れている状況」とも思われるが、この点については、前述のとおりに、「明治維新の日本」の繰り返しのような状況のようにも感じている。

具体的には、「官軍」と「賊軍」が「錦の御旗」を奪い合っている間に、もともとの基盤だった「徳川幕府」が消滅した展開のことであり、このことを、今回の世界情勢に当てはめると、「領土や資金の奪い合いが加速した結果として、根本の資金が消滅する可能性」が指摘できるとともに、今後は、「人類が、地位や名誉、そして、お金などの人爵ではなく、精神的な成長という天爵を求め始める時代の始まり」を表しているものと感じている。(2023.5.18)
 
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion13081:230616〕