◆歌いおぼえてを心に刻め?
テレビから聞こえるメロディーに、すぐに反応して頭の中に流れるあの歌詞…あわててスイッチ・オフ。こんなことが、よくあります。頭の中から消せない、つまり精神(心)のキズのようなものです。
どこで刷り込まれたのか?1948年に入学の小学校では、たっぷり歌ゎされたような記憶が残る「君が代」です。現在のように「強制」されていたわけではありませんが、当たり前のように歌っていたような気がします。「日の君」への批判が広がる以前のことです。
学校で君が代や日の丸を教えることは、それも特別な存在とつながる特別扱いすべき歌や旗として「教え込む」ことは、まさに精神にキズをつけることで、個人の尊厳、基本的人権への侵害だと実感するのが、テレビから聞こえるあのメロディーなのです。
◆国旗・国歌法、異様な法律と付帯決議
〈キミ〉なる存在と強く結びつく元号や日の丸・君が代への批判や抵抗を封じ込めようと制定されたのが、「元号法」と「国旗・国歌法」だと思います。元号法は本文がわずか2行、国旗・国歌法は、国旗は日章旗とする、国歌は君が代とする、の本文が2条だけの短い法律です。
ただし、国旗・国歌法には、とても長い「附帯決議」がついていました。もちろん、日章旗(日の丸)と君が代が強制されてはならないという、歯止めの付帯決議です。しかし、手近な法令書、例えば有斐閣の『六法全書』や三省堂の『模範六法』は法文のみの掲載、インターネットでも見つけられませんでした。付帯決議など、法の施行には〈カンケーネー!〉ってことでしょう。
実際に、特に学校において、授業でしっかり教えるのは当然、卒業式などの儀式での掲揚と斉唱は、正面に掲げられた日の丸への拝礼、君が代は歌ったかどうかを口の動きまで監視するなど、異様・異常な強制狂騒曲の状態。大阪府吹田市では教育委員会が「君が代暗記状況調査」をしていたと伝えられました。子どもたちの君が代と校歌の暗記状況の回答を求め、今回で2回目の調査でした。(毎日新聞2023・6・14)
同紙は「ある関係者は、『子どもたち の実態を調べることで、担当教員の指導ぶりも確認しようとする意図が見え隠れする。思想・信条の自由も脅かしかねず、事実上の思想調査だ』と非難した」と伝えました。
◆主権在民は「民への大政奉還」なのだ
憲法は主権在民を宣言しています。昭和天皇は日本国憲法公布記念式典の勅語で、「朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至ったことを、深くよろこび、……公布せしめる」と述べました。これは、将軍・徳川慶喜が天皇に政権を返上した「大政奉還」を思い出せば、その「大政」を天皇がピープル(民)に返還した第2の大政奉還の言葉と言ってもいいと思います。つまり「キミ(君)が代」が終わって、「タミ(民)が代」に時代は変わったのです。
だとすれば、国歌に「君が代」は不適で、君が代の代名詞になる元号も不適。二つの法とも違憲じゃないでしょうか。戦前を充分に清算しきれなかった憲法なのです。それで、「大臣」なんていう「過去語」も残りました。
新しい戦前などと言われますが、もう戦前の垢は清算しましょうよ!タミがぁヨぉは~♪に適するように。(読者)
初出:「郷土教育768号」2023年7月号より許可を得て転載
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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