四種類の税金
「税金」に「四つの種類」が存在することは以前に説明したが、具体的には、「目に見える税金」と「目に見えないインフレ税」であり、また、「目に見える税金」が、「現在の税金」と「将来の税金」に分類され、そして、「目に見えないインフレ税」も、「国民が気付かない段階」と「国民が気付く段階」に分けられる状況のことである。つまり、「所得税」や「消費税」などは、「国民が、現在、払っている税金」であり、また、「国債の発行」は、「将来の国民が払う税金」を意味している状況のことである。
また、「目に見えないインフレ税」に関しては、「民間金融機関のバランスシート膨張」が終了し、その後、「中央銀行のバランスシート膨張」へ移行した段階から始まるものと考えているが、この時の注目点は、「国民が気付かない段階」で「リフレーション政策」と呼ばれ、また、「国民が気付く段階」になると「ハイパーインフレ」と呼ばれ始める状況である。つまり、「国家」や「通貨」への信頼感が存在する間は、「インフレ税」の存在に気付かないものの、いったん、「信頼感」が喪失し、「実物資産への資金移動」が始まると、その後は、急速な「物価」と「貨幣の回転速度」の上昇に見舞われるのである。
そのために、今回は、「戦後の日本で、どのような展開が繰り広げられたのか」を、具体的に検討したみたいと思うが、実際には、「1945年からの約20年間」が、「目に見える税金」が課されていた時期だったことも見て取れるのである。そして、その後に、「国債の発行」が始まり、この時期には、「目に見える将来の税金」が、「現在の税金」と同様に課され始めた状況だったことが理解できるものの、問題は、「1997年前後の世界的な信用収縮」以降に大膨張した「デリバティブの存在」ともいえるのである。
つまり、「デリバティブ」に関しては、「民間金融機関が、オフバランス(簿外)で膨張させた資産と負債」であり、また、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)までは、デリバティブの残高が膨張し続けていた」という状況のために、「どのような税金が、主に課されていたのか?」という観点からは、「目に見える将来の税金が課され続けていた状態」だったことも理解できるのである。
ただし、その後は、「中央銀行のバランスシート大膨張」という「リフレーション政策の時期」に移行し、現在では、「最後の段階」である「国民が気付くインフレ税が課され始める時期」に移行し始めたものと思われために、今後の注目点は、やはり、「貴金属や原油、そして、食料品などの価格変化」ともいえるようである。(2023.9.19)
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デフレとインフレ
「インフレ」が経済用語として使われるようになったのは、「1923年に発生したドイツのハイパーインフレ」からであり、また、「デフレ」は、同様に、「1929年米国の大恐慌」からであると言われている。そして、この時に、どのようなことが起こったのかを理解すると、「デフレ」と「インフレ」との違いが、鮮明に浮かび上がってくるものと思われるが、実際のところ、「1923年のドイツ」では、「第一次世界大戦の賠償金支払いに窮した政府が、大量の紙幣増刷に踏み切った」という状況だったのである。
しかし、一方で、「1929年のアメリカ」では、「第一次世界大戦に勝利した結果として、大量の金(ゴールド)が米国に流れ込んだ」という状況だったものの、「1923年のドイツ」の教訓により、「保有している金(ゴールド)の不胎化」、すなわち、「インフレを恐れて、金融市場における引き締めを実施した」という状況だったのである。別の言葉では、「金(ゴールド)を大量保有している国は、当然のことながら、その金を利用して、金融機関への資金供給を行うべきだった」という状況でありながら、実際には、「設立されてから歴史の浅いFRBは、全く正反対の政策を実施し、歴史上唯一の大恐慌を発生させた」という状況だったのである。
そのために、現時点で必要とされることは、「デフレとインフレに関する曖昧な議論」に終始するのではなく、「お金とは、いったい、どのようなものなのか?」を考えながら、「過去100年間に、どのような過程を経て、現在の世界的な金融混乱が発生しているのか?」を理解することとも言えるのである。つまり、「問題の先送りや隠ぺい」ではなく、「すべての事実が明らかにされる状況」が必要な段階に差し掛かってきたものと考えているが、実際には、以前から指摘している「約600兆ドルのOTCデリバティブ」であり、また、「約330兆ドルの世界債務残高」のことである。
別の言葉では、「デフレだから、金利を下げるべきだ」というような議論ではなく、「大量のマネーが創られたことにより、過去20年あまりの、世界的な超低金利状態が達成可能だった状況」を、深く認識することである。そして、同時に、「現在では、ほとんどすべての条件が反転したことにより、今後、すさまじい規模でのハイパーインフレが世界を襲う可能性」を考慮することでもあるが、実際には、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」までに創られた「大量のデジタル通貨」が、現在、急速に、「規模の小さな実物資産の市場へ向かい始めている状況」、すなわち、「未曽有の規模でのインフレの大津波が、世界を襲い始めている事実」を認識することである。(2023.9.20)
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0と1の間に存在するもの
現在は、「800年に一度の東西文明交代期」に遭遇するとともに、「西洋の物質文明」の象徴である「マネーの大膨張」がピークを付け、すでに、崩壊を始めている段階とも言えるようである。別の言葉では、5000年から6000年の歴史を持つといわれる「世界のマネー」に関して、人類史上、初めて、「デジタル」、すなわち、「単なる数字」が通貨となった時代が終焉の時期を迎えている状況のことである。
より詳しく申し上げると、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」以降、数多くの小さな共同体に分裂した世界は、その後、「宗教」や「マネー」などの力により、より大きな規模の共同体を形成し始めたことも見て取れるのである。つまり、現在のような「グローバル共同体」が形成されるまでには、実に、「800年の東洋文明」と「800年の西洋文明」の両方を経験する必要性が存在したものと想定されるのである。
そして、現在では、シュペングラーが指摘するように、「大都市の知性と貨幣」が生み出した「皇帝主義」が、「暴力政策で貨幣を破壊する時代」へ移行を始めている段階とも考えられるのである。つまり、「東西冷戦の激化」により、「グローバル共同体」が崩壊し、「信用やマネーの消滅」が始まっているわけだが、この点に関して、現在、求められていることは、やはり、「何が、0と1の間に存在するのか?」を考えることとも言えるようである。
具体的には、「デジタル革命」で求められてきたものが、「コンピューターネットワークの中で、速く情報を伝達すること」であり、その結果として、「0と1の間に存在するもの」が省かれてきた状況だったことも理解できるのである。つまり、「デジタル通貨を儲けるためなら、その他のすべてを犠牲にしてもよい」と言わんばかりの行動のことであり、実際には、「自然環境」のみならず、「他国の利益」や「自国民の精神的な安定」などである。
ただし、「歴史」の不思議な点は、「デジタル通貨の残高がピークを付ける100年ほど前から、すでに、0と1の間を探る研究が始まっていた事実」であり、実際のところ、「量子力学」などの「自然科学」では、すでに、「11次元の世界」にまで到達していることも見て取れるのである。そして、「0と1の間に、何が存在し、どのようなメカニズムが働いているのか?」が研究され始めているが、一方の「社会科学」で発生し始めた現象としては、大量に創られた「デジタル通貨」が、「金融界のブラックホール」から出始めたことにより、「貴金属や原油、そして、食料などの実物資産」の価格上昇のみならず、「過去数百年間、どのようなものがデジタル通貨で失われてきたのか?」の探索とも言えるようである。(2023.9.21)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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