【12月28日(土)】第21回 ヘーゲル研究会のお知らせ

著者: 野上俊明 のがみとしあき : ちきゅう座会員

 今日の日本の民主主義の状況は、かつてなく悪化している。ドイツほどではないにせよ、右派ポピュリズムの跳梁や、与野党問わず政党、労働組合などの中間団体の衰退は目を覆うばかりである。ヘーゲルは普通選挙権を社会進歩の表徴とはみなさなかった。共同体の解体の結果、あらたに市民社会を構成することになった諸個人は、もし各種の中間団体に組織されなければ、アトム的存在にすぎず、たんなる烏合の衆となり果て衆愚政治を現出しかねないことを見抜いていた。ある意味、ルソー的な直接民主主義は、アトム的在り方をそのままにすれば、現在のポピュリズムに似たものにしかならないことを洞察していたといえるのではないか。現在の市民社会においては、大衆社会化・情報社会化が高度に進展しているだけに、社会の断片化が進んで諸個人の原子化はますますひどくなり、無力な存在となり果てつつある。SNSは社会的ネットワークづくりには確かに役立つが、それは右でも左でも言えることで、民主主義にプラスの役割を果たすとは限らない。やはり市民社会にしっかりと根を張る中間団体の組織づくりの大切さは変わらないであろう。

                     記

1.  テーマ:ヘーゲルの市民社会論

中央公論社「世界の名著」の「ヘーゲル・法の哲学」から

第三章 国家(§257~§360)を講読会形式で行ないます。今回は§265からです。

★国内では数少ないヘーゲル「法(権利)の哲学」の専門家であり、法政大学などで教鞭をとられた滝口清栄氏がチューターを務めます。

1.  とき:2024年12月28日(土)午後1時半より

1.  ところ:文京区立「本郷会館」Aルーム

――地下鉄丸ノ内線 本郷三丁目駅下車5分 文京区本郷2-21-7 Tel:3817-6618

1.参加費:500円

1.  連絡先:野上俊明 E-mail:12nogami@gmail.com Tel:080-4082-7550

参加ご希望の方は、必ずご連絡ください。

※研究会終了後、近くの中華料理店で懇親会を持ちます