「アメリカが私たちを世界的な核の大惨事にますます近づけていると確信している」と、コロンビア大学のジェフリー・サックス経済学教授が、2025年1月14日に放映されたアルジャジーラTVで話しました。 サックス教授はアメリカ合衆国歴代政権のみならず、国連事務総長や世界中の政府首脳の顧問も務めています。
そのサックス教授が、「ロシアが戦争を始めた最終的な責任は、ウラジーミル・プーチンではなく、米国バイデン政権にある」と、断言しました。
① 「ウクライナ戦争の責任はバイデン米政権にある」サックス教授:
アメリカ政権の顧問として米国外交に参加してきたジェフリー・サックス教授の26分41秒の話は、分かりやすく、的確で、しかも芝居っけたっぷりで、、ショウマンシップに溢れている。
「ウクライナ戦争の始まりは、2014年2月22日に当時のヤヌコビッチ・ウクライナ大統領をロシアに追放したウクライナ人民の<マイダン革命>ではない。バイデン米副大統領(当時)が仕掛けたもう一つのウクライナ政府転覆クーデターだ。2014年2月4日、ヴィクトリア・ヌーランド米国務省特使とジェフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使の間で2014年1月28日に交わされた米傀儡政権メンバーリストの電話録音がYouTubeに流れた。アメリカがウクライナ政府転覆をやったのは間違いなかった。しかし、バイデン副大統領が操る米国務省は、事件をウヤムヤにしてしまった。私は、バイデン米外交を信用していない。私は、1990年代に、ウクライナの顧問をやっていた」と、サックス教授は語った。
2024年3月5日、ブリンケン米国務長官は、ヴィクトリア・ヌーランド米国務省次官(政治担当)の退任を発表した。CNNもロイターも、ヌーランドが牽引したウクライナ戦争とガザ戦争の失敗を認めざるをえなくなってきたようだ。
ヴィクトリア・ヌーランド(63)の父は東欧系ユダヤ移民で、夫のロバート・ケーガンはブルッキングス研究所の外交政策評論家で、1998 年にPNAC (新アメリカ世紀のためのネオコンプロジェクト) を共同創設した。ヌーランドの義妹キンバリー・ケーガンは、米軍需産業大手と共同出資して、2007年シンクタンク「戦争研究所(ISW)」を設立し、所長を務めている。ISWは、国際紛争への米軍の関与を増やすことを提唱している。
「ヌーランドは、ブッシュ、オバマ、バイデンと、ネオコンや軍産共同体デイープ・ステイトの使用人だ。現在、コロンビア大学で私の同僚になっている、、私は、バイデン外交を信頼していない。」と、サックス教授はネオコン奴隷・ヌーランドを皮肉った。
しかし、サックス教授は、2014年から2022年にかけての、バイデン父子によるウクライナ・エネルギー会社との汚職事件には触れなかった。、ウクライナ民間ガス会社ブリスマの取締役だった息子ハンター・バイデンは、2014年から2019年まで、月5万$(536万円)の不法高収入を得ていた。バイデン副大統領(当時)は、ウクライナ当局による事件捜査をやめさせようとした。結局、息子ハンター・バイデンが絡む諸々の嫌疑は、バイデン大統領退陣寸前の恩赦で、チャラにしてしまった、、
② Great Job BIBI!(グレイト・ジョッブ・ビビ、よくやった!)ビビとはネタニヤフのあだ名:
「1990年代、アメリカ外交の目標は、核敵国ロシアに隣接する米軍基地をウクライナに作る事だった。」と、サックス教授はアメリカがイスラエルに出現した破天荒なネタニヤフを、アメリカのチェアーリーダーとして利用しようとしたことを明らかにした。「1996年、イスラエル首相になったネタニヤフは<テロとの戦い>という本を出した。<わが闘争>という本を著したヒットラーに似て、この好戦的人種は、己を隠さない。本の中でネタニヤフは、テロリスト個人と戦わない。テロリストを支援する国と戦い、これを潰す」と、豪語した。
「ネタニヤフはパレスチナ国家を認めない。<二か国共存>も頭にない。1967年に手に入れたヨルダン川西岸は、絶対に手放さない。ネタニヤフは2000年9月11日からスーダン、リビアのカダフィ、イラクのフセイン、シリアのアサド、ソマリア、レバノン、イエメンの7か国に敵を絞った。そして、この7か国を5年でやっつけた。ウォルフォウィッツやネオコンがネタニヤフの手先になって働いた。米国がネタニヤフを利用したのではない。ネタニヤフが米国の金と兵力を利用したのだ。」と、サックス教授はアメリカを手玉に取るネタニヤフの手客転倒ぶりを強調した。
サックス教授は、犯罪人ネタニヤフをズルズルと泳がせて、ますますジェノサイドを続行させているICC国際刑事裁判所所も批判した。「ネタニヤフは中東におけるイスラエル帝国樹立が目標だ。」教授は断言する。そのためには、ジェノサイドも核の脅しも厭わない。
「Great Job BIBI!(ビビ、よくやった!)」とは、誉め言葉ではなく「よう、やるは!」というサックス教授の揶揄だ。
③ トランプは平和をもたらすことができるのか?:
退陣前のバイデン米政権は、欧州と口裏を合わせてロシアに厳しい経済制裁を科した。
一方のロシア国防省は、バイデン大本営発表にぶつけて、2025年1月1日のウクライナ特別軍事作戦の進捗状況に関する日報を公表した。日報には、「ウクライナ軍は過去24時間でクルスク方面で兵士480死亡、装甲車9両を損失。<セーベル>(北方面)部隊は、ハリコフ方面でウクライナ軍の自動車1台や152mm榴弾砲<D-20>1門を破壊しウクライナ軍兵士45人が死亡。<ザーパド>(西方面)部隊は、ウクライナ戦車1両、ピックアップトラック3台、仏製155mm自走榴弾砲<カエサル>、122mm 自走榴弾砲<グヴォズジーカ>、米国製の105mm榴弾砲<M119>、英国製の105mm榴弾砲<M119>を破壊し、ウクライナ軍兵士330人が死亡。<ツェントル>(中央方面)部隊は、戦車2両、英国製の装甲兵員輸送車<スパルタン>、米国製の装甲兵員輸送車<M113>、自動車3台を破壊し、ウクライナ軍兵士235人が死亡。<ボストーク>(東方面)部隊の活動で、ウクライナ軍兵士150人死亡。<ドニエプル>部隊の活動で、ウクライナ軍兵士40人死亡。ロシアの防空システムは、米国製のロケット砲システム7発と飛行機型ドローン66機を撃墜]と。記されている。
「<プーチン露大統領は狂人でテロリストで独裁者>と、バイデン米政権はプーチン露大統領にレッテルを貼り、CIA、国務省、国防省、、どこもそれ以外の情報は取り上げてこなかった。かくして、バイデン外交は独りよがりの裸の王様になり下がってしまった。私は、バイデン外交を信用してない」と、サックス教授は体裁だけのハリウッド劇バイデン外交をこき下ろす。
1月14日、トランプ第47代米次期大統領が、サックス教授によるケンブリッジ大学での講演ビデオを、自身のSNSで流したことから、俄かに、ジェフリー・サックス教授が注目を浴びだした。ビデオの中でサックス教授は、<中東とウクライナに平和をもたらす可能性>について学生に語りかけ、過去30年間におけるアメリカの中東戦争とイスラエルの暗躍を非難した。
そして、ネタニヤフのガザ・ジェノサイドやイスラエル帝国主義や、イスラエル植民地主義を容赦なく糾弾した。「トランプは、NATOの拡張主義がウクライナでの代理戦争の原因であったことを認識しており、代理戦争を終わらせたいという彼の願望について声高に主張している。 これらの行動は、世界が大規模な戦争に向かっているように見えるときに平和を達成できるという慎重な楽観主義の理由を与えている。トランプには多くの欠点があるが、彼の最大の強みは、自分が言いたいことを言い、西洋のイデオロギー的な物語や勧善懲悪的ハリウッド世界観から脱却する能力があることだ。ライバル大国の安全保障上の利益(西側では大きなタブー)を認識することで、トランプはこれらの懸念を永続的な平和の基盤とすることもできる。」と、ジェフリー・サックス教授は、バイデンが馬鹿にし敵視するトランプ外交に、光を当てた。
2025年1月15日の6週間3段階ガザ停戦合意というバイデン最後の外交劇は2024年5月のバイデン和平案の焼き直しで、しかも、5月の結果も検証しないまま「これがバイデン和平外交だ!ではバイバイ!!あとはよろしく」と、幕を下ろします。 サックス教授の言う通り、バイデン外交は全く無責任で信用できません。
しかもしかも、ネタニヤフ戦争犯罪人は、昨日も今日もガザの爆撃を続けガザの子供を殺し続けています。ICC国際刑事裁判所は、い加減な停戦合意でずらかろうとするバイデンにも逮捕状を出すべきです。
UNRWA(アンルワ・国連パレスチナ難民救済事業機関)の活動をイスラエルは 今月末で禁止する。ガザの状況は、ますます悲惨になっていく、、
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。 著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、 定価:本体1,800円+税、発行人:松田健二、 発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。 「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2025年1月18日 SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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