韓国通信NO763
アメリカン・ファースト(アメリカ第一主義)を掲げる大統領が誕生した。
個人としては誰が大統領になっても同じと考えていたが、いざトランプの就任を目の当たりにすると不安は募るばかりだ。
経済と軍事力で世界トップの座にありながら「アメリカ第一主義」を唱えるのは自国の衰退と危機感を物語っているように見える。財界が歓迎するのは当然だが、貧しく不満を持つ人たちに期待されてトランプが登場したのは何とも奇妙な話ではないか。富の公平な分配が行われると貧困問題は一挙に解消される国である。
貧しいグローバルサウスとの共存と気候変動の危機が叫ばれている時期に「アメリカ第一主義」とは信じがたい。アメリカの独善は全世界のひとりひとりの生活、生き方にかかわる大問題である。トランプ政権の動向に目が離せない。
わが国の危険な「アメリカ第一主義」
戦後一貫してアメリカの友好国として発展を遂げたわが国は何事において従順な国であり続けてきた。そのうえ予想されるトランプのなりふり構わぬ要求に対してどう対処すべきか。カナダとの統合、グリーンランド、パナマ運河の買収を公言するなど、常識破りの秩序なき世界に突入した。わが国に対しても、防衛予算のさらなる増額など無理な注文は必至だ。社会保障費の削減と国民の税負担に喘ぐ日本は大混乱に陥る。
ぐずぐずしていると「アメリカと一緒にならないか? Would you join us?」とトランプなら言い出しかねない。日本が消滅すれば首相は州知事。象徴天皇はどうなる?そこまで心配することはないのだが、はっきり言えるのは最早アメリカに盲従する時代ではないということ。
米中対立のあおりを受けて、日本がウクライナと同じように戦場になる可能性もある。アメリカ本土に被害がなければ「やむを得ない」と言い出しかねない「アメリカ第一主義」はわが国にとって非情の世界だ。「クジラの喧嘩の巻き添えになるエビ」(韓国のことわざ)にならないためにアメリカから一刻も早く独立すべきと筆者は考えるがどうだろうか。
尹錫悦大統領の抵抗
12月3日、大統領が突然公布した「戒厳令」は直ちに議会によって否決され、撤回された。韓国にとって未曽有の大事件だった。大統領は内乱罪の首魁として逮捕・拘留中だが、取り調べに応じる様子はない。トランプが助けに来るとでも思っているのか、大統領支持派のデモには星条旗がはためく。
クーデターは大統領の単なる思い付きではなく、綿密な計画だったことが次々と明らかになっている。政府に反対する勢力はことごとく「アカ」と決めつけた大統領が企てた反乱だが、反共の風土が色濃く残る韓国では大統領を支持する人も結構多いらしい。平気で嘘をつくトランプ流が世界を席巻している現在、少なくとも権力者には憲法を守らせること。これは韓国も日本も同じである。韓国の事態は決して「対岸の火事」ではない。
初出:「リベラル21」2025.01.25より許可を得て転載
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-6665.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion14074 250125〕