SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】621 罪人サルコジ元仏大統領発のモロッコ自治案

 2025年2月15日、モロッコ国王逝去のニュースがモロッコ・ソーシャルメデイア界を独占しました。 モロッコ庶民はMAPモロッコ国営通信や王室の公式声明を待ちました。

 が、王室報道は昨年12月のモーリタニア大統領謁見が最後で、まったく動きがありません。 結局、国王死亡ニュースをリークしたモロッコの新聞<Hespress(ヘスプレス)>が、誤報と訂正し、決着しました。

 が、残忍な王室から、何のお咎めもないことにビックリ!  巷で囁かれているように、王室内に異変があったのかもしれません、、

① モロッコがロビー活動に失敗した2025年AU委員会選挙:

 「アフリカの植民地化とそれが国民に与えた影響から生じる歴史的な不正義に取り組む時が来た、、アフリカ大陸に2つの常任理事国を与える」2025年2月15日、AUアフリカ連合第38回首脳会議で、来賓のグテーレスUN国連事務総長がアフリカにすり寄る挨拶をした。ガザ停戦でもウクライナ停戦でも、まったく出番を作れないグテーレスは、アフリカという舞台にスポットをあてたようだ。が、言葉ではなく、もっと真摯に、<最後のアフリカ植民地>問題解決にも行動を起こして欲しい。

 第38回AUアフリカ連合首脳会議には国連事務総長やアルジェリア大統領なども顔出しし、新体制を決める選挙とも重なって、例年になく賑々しくとり行われた。票を買おうとするモロッコが5,000$入りの封筒をロビーでばら撒き、ひと悶着もあった。金を受け取って、が、しかし、モロッコに投票しなかった国々もあったりした、、

 2月15日、アンゴラのジョアン・ロウレンソ大統領は、AU(アフリカ連合)の2025年度輪番制議長を引き継いだ。アンゴラは1975年11月11日に、旧植民地支配国ポルトガルから独立している。ポルトガル出身の国連事務総長グテーレスが、ポルトガル社会党に入党した頃だった。2025年8月のTICAD9 (東京アフリカ開発国際会議)では、アンゴラがAUを率いる。

 AU委員会新委員長には、ジブチのマフムード・アリ・ユスフ(59)が選ばれた。マフムード新委員長は、ジブチの外務大臣兼政府スポークスマンで、駐エジプト、スーダン、トルコ、レバノン、シリア、リビアなどの大使を歴任し、8回、訪日している。

 アルジェリアの駐エチオピア大使兼AU大使のセルマ・マリカ・ハダディが、賄賂を使ったモロッコの候補を破り、AU委員会副委員長の席を獲得した。

② Magreb Online (マグレブ・オンライン)がリークしたモロッコ外交機密文書:

 2025年2月3日、Magreb Online (マグレブ・オンライン)が2013年6月6日付けで出された外交機密文書を公開した。今から12年前の外交機密文書を何故、公開したのか?疑問は残るが、その問題は先に送って、モロッコ版モサド(イスラエル機密諜報特務庁)といわれるDGEDの情報を検証して、モロッコの外交手口を探ってみる。DGED(研究及びドキュメンテーション総局)とはモロッコ王国の諜報機関で、現在のゼネラルデイレクターはモハメド・ヤシン・マンスーリは、MAPモロッコ国営通信を経営していた。国家安全保障と国家機関の安全を維持することを公式に任務とする国防総省管轄下の対外諜報機関だ。DGED(DirectionGénéraledesÉtudesetde la Documentation)は、フランスのService de Documentation Extérieure et de Contre-Espionnageを真似て1973年に創設された。

 2013年当時、モロッコはAUアフリカ連合に復帰していなかった。表向き、モロッコはAUアフリカ連合が西サハラを国家承認している限り、AUアフリカ連合には復帰しないと豪語していた。が、機密文書によるとモロッコはAU復帰を目指し、かつ、イスラエルのAUオブザーバー資格も狙っていたことが分かる。モロッコとイスラエルは陰の仲間だ

 モロッコはアフリカ諸国の多数票を得るため、フランコフォン(元フランス植民地でフランス語を喋る北西アフリカ諸国)を中心に、賄賂をばら撒いた。必要に応じて、アフリカ以外の国 (フランス、スペイン、米国、ロシア、中国など) の代表者と連絡を取る。アフリカ経済委員会やエチオピア外務省などの機関の職員を表敬訪問する。

 DGED情報によると、「国連和平交渉や国連西サハラ人民投票を妨害するために、モロッコは、国連事務総長を議長にした<タスクフォース>を予算100万ドルで捏造した。チンドゥーフ収容所(西サハラ難民キャンプのモロッコ式呼称)での人権侵害事件をでっちあげ、安保理決議に報告し、UNHCRおよび人権理事会や国内外のメディアやNGOを総動員して、難民キャンプ人権侵害告発キャンペーンを展開していく」と、ある。特記事項としてUGED情報は、「国連事務総長の接待も忘れない」と、記している。

 さらにUGEDは、「AUアフリカ連合常任代表と1回または2回以上のランチ会談を接待し、その際のホテル宿泊費及び諸経費を全額カバーし、車は1~2台用意し、添付リスト(約30カ国)の友人には5,000ユーロの個人奨学金を支給した」と、記録している。

 モロッコが賄賂を贈った国のリストは:セネガル、ギニア、コートジボワール、ガボン、ブルキナファソ、ベナン、トーゴ、コモロ、ジブチ、ニジェール、マリ、エリトリア、ガンビア、ブルンジ、コンゴ民主共和国、コンゴ、カメルーン、ギニアビサウ、赤道ギニア、チャド、サントメ・プリンシペ、シエラレオネ、リベリア、ソマリア、スーダン、マダガスカル、マラウイ、モーリシャス、セイシェル、モーリタニア、、と続く。

 かくして2017年1月30日、モロッコはAUアフリカ連合への再加盟を果たした。

③ 2007年にモロッコが発表した<モロッコ自治州案>はサルコジ(70)の案:

 2024年7月30日にマクロン仏大統領が、モロッコ国王に、<モロッコの西サハラ領有権を認める書簡>を送ってから、フランスの右派政治家やフランス不動産屋が西サハラはモロッコ地方自治州とし、モロッコ占領地西サハラに出没するようになってきた。

 そもそも、<西サハラ・モロッコ自治州案>は、元仏大統領サルコジがモロッコ国王に売り込んだ案だ。ハンガリー系ユダヤ人のサルコジはモロッコ国王から別荘を貰い、専用ヨットと小型ジェット機で虚飾の大統領特権豪遊を楽しんだ。

 しかし、2007年フランス大統領選挙において女性富豪から違法に献金を受け取っていた疑惑で、ボルドーの捜査当局はサルコジを刑事訴追した。さらに、リビアのカダフィ大佐から5,000万ユーロ(7,848,725,000円)の違法な大統領選挙献金を取ったことも暴れた。

 狡猾な弁護士でもあるサルコジは、2011年にチュニジアとエジプトを崩壊した<アラブの春>でリビアも倒し、カダフィへの借金をチャラにしようと画策した。2011年2月17日、サルコジはヒラリー米国務長官と組んで、ベンガジにイドリス王制復古派の国民評議会を立ち上げた。アメリカ主導のNATOはたちまちサルコジNATOになり、サルコジの国連が動きを加速させた。2011年2月27日の国連決議で、リビア資産の凍結を始める。 3月17日、<リビア上空飛行禁止空域>を国連決議し、3月19日からサルコジNATOはトリポリ空爆を開始し、8月末にはトリポリを陥落した。「リビア資産の一部から1兆1,500億円を支援国と国民評議会で山分け」と、サルコジは発表したが、山分けはどうなった?

 結局、ヒラリー米国務長官のゴーサインでカダフィーは10月20日、惨殺された。

 2021年にサルコジはカダフィ大佐から不法に騙しとった高額の大統領選挙資金に関して有罪判決を受け、実刑を科された。サルコジは上訴したが、2023年5月17日、控訴院は一審判決を支持し、さらにサルコジは上告したが、2024年12月18日、破棄院(最高裁)は上告を退け、有罪とした控訴審判決を支持し、禁錮3年(うち2年は執行猶予)の実刑判決が確定した。現在のサルコジは、収監の代わりに電子ブレスレットを1年間装着された立派な囚人だ。囚人には、午後8時から翌朝の午前8時まで、外出禁止令が出されている。

     モロッコ占領地・西サハラの乗っ取りを企む、左にサルコジ元仏大統領と、            右にモハンマド6世モロッコ国王

 2011年9月3日、オーストリアの右派政治家でユダヤ人デヴィッドがAP通信に、「カダフィの息子セイフが、私に、リビア内戦が終結したらリビアはイスラエルと和平交渉をするともちかけてきた」と、明かしました。 

 2000年に入って、セイフ(1972年生まれ)は、イスラエルや欧米にたてつくカダフィ親父を騙して原油を横流しし、フランスやイスラエルと密に繋がりを持つようになりました。

 才長けた子狡いセイフは、悲劇の親父を踏み台にして動乱のリビアを仕切るつもりのようです、、

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。                                    著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、                    定価:本体1,800円+税、                                            発行人:松田健二、                                                      発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。                         「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc                         「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。                 「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo                         「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2025年2月22日                      SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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