本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(508)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう( ほんまゆたか) : ポスト資本主義研究会会員
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2025.3.10

トランプ大統領の暴力政策

現在、世界の金融市場は、「トランプ大統領のコメントに対して一喜一憂している状況」でもあるが、この理由の一つとしては、今まで「世界の警察」の役割を果たしてきた米国が、現在、「世界の強盗」のような行為を実施し始めた可能性も挙げられるようである。つまり、「軍事力や資金力を背景にして、他国の領土や権益などを奪い取ろうとする態度」については、「覇権国家の取るべき態度」とは思われないために、今後は、世界各国がアメリカに対して、今までとは違った対応を取る可能性も想定されるのである。

そして、このような状況については、シュペングラーが100年ほど前に著した「西洋の没落」で、「驚くほどの的確さで説明されていた現象」とも理解できるが、実際には、「西暦2000年から2200年までの特徴」として、「皇帝主義の完成」や「貨幣に対する暴力政策の勝利」、あるいは、「政治形式の原始的性格の増加」などが指摘されているのである。つまり、現在は、「西暦1800年から2000年までの貨幣の時代」が終焉の時期を迎えるとともに、「暴力的な政策」の実施により、「貨幣の敗北」を意味する「通貨価値の下落」が発生する展開とも想定されていたのである。

より詳しく申し上げると、「共同体の規模拡大に伴い、貨幣の残高が増加する変化」が想定されるが、この動きがピークを付けたのが、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」であり、また、以前に同様の状況となったのが、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時」とも理解できるのである。別の言葉では、現在のような「単なる数字が通貨となり、未曽有の規模で残高が積み上がった事態」については、貨幣の歴史上、「1600年前の西ローマ帝国しか、参考になる例が存在しない状態」とも思われるのである。

しかも、現在では、1600年前と同様に、「膨大に膨れ上がった世界の通貨が、共同体の分裂や崩壊などにより、根本に存在した『信用』の消滅に見舞われる展開」とも考えられるのである。つまり、「東西冷戦の復活」が引き起こした「国家共同体の分裂」、あるいは、「G7の実質的な分裂」などにより、現在では、多くの人々が、「何を信用すべきなのか?」が理解できない状態とも思われるのである。

そのために、これから必要なことは、現在の「トランプ大統領による暴力的な政策」に関して、「過去数十年に米国が受けた最も大きな恩恵」である「大量に創り出されたデジタル通貨」が消滅の時期を迎える可能性を考慮しながら、その時に、「アメリカの態度が、どのような変化を見せるのか?」を観察することのようにも感じている。

2025.3.12

トランプ大統領が目論む逆ニクソンショック

現在の「トランプ関税」や「ウクライナの停戦」などについては、「トランプ大統領の目くらまし作戦」の「表の部分」であり、その裏側の「真の目的」としては、「逆ニクソンショックの目論見」が存在するものと考えている。別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」が、現在、完全な行き詰まりを見せているために、「新たな通貨制度の創設」を目論んでいる可能性である。

より詳しく申し上げると、「1980年代初頭から始まったデリバティブの大膨張」、すなわち、「民間金融機関が、簿外で大量の金融資産と負債を積み増した展開」については、現在、「先進各国の中央銀行までもが資金の枯渇に悩まされ始めた状態」となっていることも理解できるのである。そのために、トランプ大統領にとっては、「何らかの方法で、債務残高を減らしながら、資金供給を増やす思惑」が存在するものと思われるが、実際には、「マールアラーゴ合意」と呼ばれる「金(ゴールド)を担保とした超長期国債をゼロ金利で発行する計画」などが噂されている状況のことである。

別の言葉では、「何らかの手段で、大膨張した国家債務やデリバティブの残高を減らそうとする思惑」のことでもあるが、この点については、今までに詳しく申し上げてきたように、さまざまな問題が発生する可能性も想定されるのである。具体的には、「現在のデジタル通貨そのものが、貨幣の歴史上、きわめて異例なものである」という事態のことだが、この点に関して、現時点でも、世界中の人が気付いていない事実としては、「紙幣がコンピューターネットワークの中で使用不能な状況」が指摘できるのである。

つまり、多くの人は、「過去数十年間で、世界各国が大量の紙幣を印刷してきた」と理解しているが、実際には、「紙幣ではなく、大量のデジタル通貨が創り出されるとともに、単なる数字として、世界のコンピューターネットワークの中を駆け巡っていただけの状況」だったことも見て取れるのである。その結果として、現在では、「この事実に気付いた人々が、こっそりと、現物の金や銀などを買い集め始めた状況」のようにも思われるが、今後の展開としては、「劇場の火事」のように、「一般大衆が、一斉に、この動きに追随し始める可能性」も想定されるのである。

具体的には、「80億人の換物運動」が始まり、「未曽有の規模とスピードでハイパーインフレが発生する可能性」のことだが、私自身としては、このことが、「トランプ大統領が目論む逆ニクソンショックが、結果として実現される展開」のようにも感じている。

2025.3.17

石破首相の金銭感覚

「150万円のポケットマネー」や「10万円の商品券配布」などからも理解できるように、「自民党内で最もカネの問題に遠い人物ではないか?」と言われた「石破首相」でさえも、「金銭感覚における国民との認識乖離」が明らかな状況となったものと感じている。つまり、「税金を払う側の国民」と「税金を使う側の政治家」との間には、現在、深い「意識や認識の乖離」が存在するものと思われるが、この結果として予想される展開としては、「自民党の内部崩壊や分裂の可能性」が挙げられるものと考えている。

より詳しく申し上げると、「2008年のGFC(世界的な金融大混乱)」から始まった「世界的な共同体の分裂」は、現在、より一層、加速するとともに、より小さな共同体の分裂や崩壊を引き起こしているものと思われるのである。具体的には、「G7の分裂」や「米国共和党の分裂」などのことだが、この結果として予想される事態は、「信用の更なる消滅により、資金面での枯渇が加速する展開」とも考えられるのである。

別の言葉では、「共同体の規模拡大に伴って膨張した信用、および、貨幣や通貨」に関して、現在では、反対に、「共同体の規模縮小が、連鎖的なバブル崩壊と不良債権の急増をもたらしている状況」とも思われるのである。つまり、最初に、「世界的な債券バブルの崩壊」、そして、その後に、「世界的な不動産バブルの崩壊」を引き起こし、現在では、「世界的な株式バブルの崩壊」が発生しかかっている状況のことである。

その結果として、「世界の通貨や貨幣」は、現在、「仮想通貨の世界に存在するデジタル通貨」から「現実世界に存在する紙幣」へと、急速に形を変え始めた段階とも理解できるのである。つまり、「水蒸気のような状態のデジタル通貨が、水のような状態の紙幣へと変化し始めている状況」のことでもあるが、この時の注意点としては、「過去数十年間に、人々の金銭感覚が狂ってしまった可能性」も指摘できるのである。

より具体的には、「現在」と「30年前、あるいは、50年前との世界」とでは、「お金の使い方」や「生活水準」などに関して、さまざまな変化が発生したものと考えられるが、この理由としては、「大膨張したデジタル通貨」の裏側で「さまざまな税金が課された国民」が指摘できるものと考えている。つまり、「税金を湯水のように使い続けた政治家」とは違い、「エンゲル係数の急増」に見舞われている国民は、現在、「その日暮らしに甘んじざるを得ないような状態」のために、冒頭の「石破首相の商品券配布」については、今後、国民からの大きな反発が予想されるものと思われるのである。

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion14203 : 250418〕