SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】629  100日蜜月に水を差すサックス教授

 米国では新大統領が就任すると、最初の100日間は新政権への報道機関が厳しい批判を控え、議会も協力的だそうです。 「ハネムーン(蜜月)」と呼ばれる100日は、就任式の1月20日に始まり4月末で終わります。 

 ところがトランプ新大統領は、何をやってもいい無法の100日と勝手に解釈して、毎日毎時間、やりたい放題に暴れまくっています。

 一方、世界の庶民は、指折り数えて100日の終わりを待っているのです。。

① テント生活のガザ難民を殺しまくった100日:

 トランプが<100日ハネムーン>を盾にやらかした最大の残虐行為は、パレスチナ人大虐殺だ。

 ネタニヤフ・イスラエル首相に操られるまま、トランプは<反ユダヤ主義の撲滅>と銘打って、パレスチナ民族浄化を進める。そして、パレスチナ人、パレスチナ支援者、さらにはアラブ系アメリカ人の拘束。逮捕。国外追放と、エスカレートしていく。大学は<反ユダヤ主義の温床だと締め付け始めた。

 まずパレスチナ支援運動が盛んなコロンビア私立大学がやり玉にあがり、補助金見直しの脅しをかけた。4月14日、ハーバード私立大学に多様性・公平性・包括性を廃止し学生の取り締まり強化を強要したが、ハーバード大学は、「大学の自治侵害だ、、私立大が政府に乗っ取られるわけにはいかない」と、政権の強要を拒否した。これを受けたトランプ政権のノーム国土安全保障長官は、同大に対する総額270万ドルを超える国土安全保障省の補助金2件を打ち切ると発表し、4月30日までに同大の外国人学生ビザ保持者による「違法かつ暴力的な行為」に関する記録を提出するよう求めた。さらに、「これをも拒否するなら、同大は外国人留学生を受け入れる特権を失うことになる」と脅した。

 同時に、トランプ新大統領が忌み嫌う中南米出身移民の追放を始めた。何の証拠もなくギャングの一員とか凶悪犯とかのレッテルを貼り、エルサルバドルのメガプリズン巨大刑務所に数百人を送った。4月10日、米連邦最高裁判所が間違って送られたキルマー・アブレゴ=ガルシア氏(29)の帰国を促した。するとトランプ新大統領は、黒ずくめで決めたナジブ・ブケレ・エルサルバドル大統領をホワイトハウスに呼びつけ、「あっしらは<務所商売>やってるんで、アメリカの法律には拘わりなどござんせん、、」と、くさい芝居をさせた。

 そして、関税戦争、マスコミ戦争、、3月15日から始めたイエメン戦争では500回も空爆を続けたが決着を付けることができない。2,3日で停戦させると豪語したウクライナ戦争とガザ戦争も、続いている。「President of Peace平和の大統領]と呼ばれたいとトランプ新大統領は言っていたが、な~んだ。「President of War戦争の大統領」ではないか?


② 100日を待たずトランプ攻撃のバーニー・サンダース上院議員(ユダヤ系アメリカ人):

 2016年大統領民主党予備選挙で、ヒラリー・クリントンと互角に戦ったバーモント州出身の無所属上院議員バーニー・サンダース(83)は、上院議会で反トランプキャンペーンを展開している。ガザ・ジェノサイドの残酷さを訴え、ガザ戦争停戦を叫び、パレスチナ民族浄化の片棒を担いでいるトランプ政権を糾弾してきた。アメリカがイスラエルに送る兵器や軍事資金の停止を求めてきた。教育省を縮小し大学を締め付けるトランプ新大統領を批判してきた。

 2025年4月12日、恒例のコーチェラ・バレー音楽祭が開催され、フロリダ州選出のマックスウェル・フロスト下院議員とともに、サンダース上院議員が突然登場し、観客は騒然!

 「米国は非常に困難な課題に直面している、、将来、米国がどうなるかは、君たちの世代にかかっている」と、数千人の観客に向かってサンダースはしゃがれ声を張り上げた。さらにサンダースは、「経済的正義、社会的正義、人種的正義のために闘おう」と、トランプ新大統領と陰の首相マスクを名指しし、反トランプを呼び掛けた。

 サンダース上院議員は今日もアメリカの州を巡る「ファイティング・オリガルヒ(寡頭政治との戦い)」全米ツアーを、弟子のAOCと続けている。AOCとはプエルトリコ系で35歳の女性下院議員、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスの頭文字を取った愛称だ。二人は、<反トランプ、反億万長者(マスクなど大金持ちトランプ一家)>を訴えている。

 最初の訪問地ネブラスカ州では当初予想の800人を大きく上回り3400人、ロサンゼルスでの集会には約3万6000人が参加した。カリフォルニア州サクラメント近郊での集会には、3万人、コロラド州・デンバーでは3万4000人が集まった。

 4月16日、ギャヴィン・ニューサム・カリフォルニア州知事も声を上げ、一連のトランプ関税措置の差し止めを求める訴えを起こした。州政府がトランプ新大統領の<相互関税>を提訴するのは初めてで。訴状は、関税に関してトランプ新大統領にこうした権限がないと、明記している。

③ トランプ・ネタニヤフ連合軍と戦うジェフリー・サックス教授(ユダヤ系アメリカ人):        


 4月11日~13日、トルコのリゾート地アンタルヤで、「分断された世界における外交の主導権」 フォーラムが開催された。先行したサミットには20人の国家元首, 74人の大臣, 450人の高官 と、計140か国を参加させた、エルドアン・トルコ大統領はこの地域での主導権復活を狙った。が、注目を浴びたのは、サブイベントの公開討論会だった。

 公開討論会には、ユルマズ・トルコ外務副大臣、スカウ世界食糧計画(WFP)長官、ペデルセン国連シリア特使、そしてジェフリーサックス国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(UNS)が参加した。

 招待国トルコと主賓のシリアに忖度した発言が続く中、サックス教授だけが主催者の思惑を見事に覆し、アメリカ・イスラエル連合軍に反旗を翻し、ガザ・ジェノサイドを叫んだ。ハミド・パレスチナ記者の質問も入り、会場は緊張した。(以下はサックスの発言)

     トルコ・アンタルヤ外交フォーラム2025で熱弁を振るう、ハーバード大出身で                           コロンビア大学教授のジェフリー・サックス氏

 「シリア戦争は、独裁アサド政権のせいではない。この戦争はアメリカが、正確にはイスラエルが仕掛けた戦争だ。イスラエル政府は、25年間、シリアのアサド政権崩壊を狙っていた。そして、ネタニヤフはこの地域をイスラエル一色で塗り潰したかった。ネタニヤフはNATO,CIA,アメリカの親友だ。この戦争は、アサド政権を倒せと言う、2011年春のオバマ米大統領の大統領令で始まった。CIA<テインバー・シカモア作戦>と呼んでいる。アメリカと近隣諸国が一緒になって、アサド政権打倒のイスラム主義過激派を訓練した。これがカオスを引き起こし、シリアでは14年間続き600,000人も殺してしまった。

 シリア戦争は、イスラエルが企んだ6つの戦争、レバノン、イラク、ソマリヤ、リビア、スーダン、シリアのうちの一つにすぎない。2001年にアメリカ・イスラエル連合軍が目標にした<7つの戦争>に、あと一つが残されるだけになった。それはイラン戦争だ。

 アメリカがイスラエルの戦費を賄い、アメリカが後方支援をし、兵器を与えてきた、、アメリカなしに、イスラエルは一日たりとも戦えない。アメリカの武器援助がなければ、イスラエルはガザ・ジェノサイドをできなかった。100年前にこの地域を分割した、米英帝国主義は今も続いており、ジェノサイドも我々の傍らで続いている、アメリカは主犯だ。

 私は、2012年にパン・キムン国連事務総長がコフィアナン元国連事務総長をシリア和平国連事務総長特使に任命したのを知っている。私は両事務総長の顧問だったからだ。ところが、シリアに和平をもたらす案は、国連安保理でアメリカの拒否権によって潰された。

 イスラエルの意向に従ったアメリカは、シリア政府転覆を主張したのだ。

 この地域に平和をもたらす秘策はただ一つ。アメリカが拒否権を行使せず、190か国近くが認めているように、パレスチナ国家を承認することだ。しかし、アメリカを統治しているイスラエルは、パレスチナ国家を認めていない。

 この地域からアメリカは、立ち退くべきだ。この地域は先祖代々、ペルシャ、アラブ、トルコという三つの勢力下にあった。アメリカはお呼びでない。平和構築には、アメリカやイスラエルのような金と軍備力と敵政権崩壊目的の諜報機関はいらない。一つの真っ当な国際共同体が必要だ。」と、ジェフリー・サックス・コロンビア大学教授は語った。

 そして、「というわけで、私は25年間、国連に奉仕してきた」と、結んだ。

 国連への奉仕を嫌うトランプ新大統領による分担金停止のおかげで、諸々の国連機関では人員と予算の削減が続いています。 

 ジェフリー・サックス教授が無料奉仕をしている国連は、初心にかえって一つの真っ当な国際共同体に復活しますように、、

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。                                著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、                 定価:本体1,800円+税、                                             発行人:松田健二、                                    発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。                          「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc                        「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。                  「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo                    「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2025年4月19日                    SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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