SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】632 法の支配ICJ国際司法裁判所の効き目

 2025年4月28から5月2日までオランダのハーグにあるICJ 國際司法裁判所で、ガザ市民に対して無差別攻撃と兵糧攻めを続け市民全員をイスラエル占領地ガザから追い出そうとしているイスラエル戦争内閣に対して、<占領支配国イスラエルの被占領民に対する責任>と題する公聴会が開かれました。

 参加した39か国のち、37か国が、イスラエルの残虐な飢餓作戦を非難しました。

 2か国だけが、イスラエルのジェノサイド(大虐殺)を援護しました。

① イスラエル飢餓作戦:

 この瞬間もガザでは、飢えた子供たちが死んでいく、、

 アメリカとハンガリーを除いた37か国の代表は、食料をイスラエルに絶たれたガザの子供たちの命を心配した。日本では<子供の日>に当たる5月5日、国連定例記者会見で副報道官は、「イスラエル当局が、9週間前からガザに入るすべての物資を阻止してきたと豪語している。パン屋は閉店した。コミュニティキッチンは閉鎖された。倉庫は空っぽのまま。子供たちはお腹を空かせてる、、(ガザの兵糧攻めは)基本的な人道的原則に反し、軍事戦略の一環として、生命維持のためのあらゆる物を差し止める作戦だ。ガザでは燃料の補給もなく、給水システムも衛生システムも停止された」と、イスラエルの徹底した飢餓作戦を強く非難した。

この瞬間もガザでは餓死の子供が、、、合掌

 ICJ国際司法裁判所の<占領支配国イスラエルの被占領民に対する責任>公聴会は、2024年12月の国連総会決議に基づいて開廷された。冒頭、エリノア・ ハマーショルド国連司法評議会議長が、ガザの惨状を説明し、ICJ国際司法裁判所の勧告を求めた国連総会の経緯を報告した。

 国連安保理5カ国の、アメリカを除く、イギリス、フランス、ロシア、中国は、イスラエルの国際法無視、人道法無視、を糾弾し、イスラエル検問所の封鎖解除と停戦を求めた。

 中国は、「ガザ難民への食料や医療品の搬入を禁じたり、医療活動や援助活動を阻止するイスラエルの飢餓作戦は、人間として容認できない。明らかに国際人道法や国連憲章などの国際法に違反する犯罪行為だ。イスラエルが、国際社会の一員に留まりたいのなら、ICJ国際司法裁判所やICC国際刑事裁判所の勧告や決定に従うべきだ。

 中国はこの地域の安定と平和を願っている。そのためにも、イスラエルはまず、人道援助の門を開き、パレスチナ人の民族自決権を認め、二か国共存の道を歩むべきだ。中国は、国連憲章と国際法と国連総会決議に則って、ICJ国際司法裁判所を支援していく」と語った。

 さらに中国は、「イスラエルは、UNRWAアンルワ(国連パレスチナ難民救済事業機関)の閉鎖を早急に解除すべきだ」と、念を押した。

 2025年1月28日にダノン・イスラエル国連大使が、イスラエル国会のUNRWAアンルワ(国連パレスチナ難民救済事業機関)禁止法に則って、UNRWAにイスラエルからの退去を命じた。以来、イスラエル占領地内では、UNRWAアンルワ職員が姿を消している。

② イスラエルのパレスチナ民俗浄化を支持するトランプ米政権とハンガリー政権:

 UNRWAアンルワ(パレスチナ難民救済事業機関)の復活を促したのは中国だけではない。

 ヨーロッパ諸国やアラブ諸国も、「UNRWAアンルワはハマスの温床」と決めつけるイスラエルとアメリカを批判した。そもそもUNRWAアンルワは1949年12月8日の国連総会で設立され1950年5月1日から活動を始めた、パレスチナ難民を救済する国連機関だ。イスラエルから故郷を追われたパレスチナ難民が身を寄せる、ヨルダン、レバノン、シリア、ガザ、ヨルダン川西岸で難民の生活を助けてきた。

 イスラエル外務大臣が、「ICJ国際司法裁判所はアンチ・セミテイズム(反ユダヤ主義)だ」と非難し、ICJ国際司法裁判所への出廷を拒否した。が、イスラエルがICVJ法廷に立つ必要はない。ネタニヤフ・イスラエル首相の傀儡であるアメリカが、しっかりイスラエルの代弁をしているからだ。

 アメリカは、「2023年10月7日のハマスのイスラエル攻撃は地域情勢を激変させた。今も米国人を含む多数の人質が、ハマスに囚われたままだ。当法廷の公聴会テーマである<占領国イスラエルの責任>は、国連総会が決議したものだ。アメリカは効力がない国連総会など念頭にない、国連安保理決議をより重視している。

 そもそも、占領国が特定の国際機関などに自国の安全を損なうような活動を取れとは、法的に定めていない、、」と、米国は、パレスチナ難民のための国連機関であるUNRWAアンルワを治安を脅かしかねない組織と決めつけている。さらに、「ワシントンは、国連機関の運営と中立性に対する疑問が高まる今、国連に説明責任と透明性を求める。」と、イスラエルを庇った。

 ICC国際刑事裁判所から戦争犯罪人として逮捕状が出ているネタニヤフ・イスラエル首相を、ICCを脱退してまで国賓として迎え入れたハンガリーも、アメリカに追随してイスラエルの自衛権を擁護した。

③ ICJ国際司法裁判所の<法の支配>は有効か?、:

 国連法務局長を務めるエリノア・ハマーショルド事務次長は、裁判所が勧告意見を発表すれば、国連総会はこれに基づいて再度問題を審議し、さらなる行動を取るかどうかを決定できると指摘し、法の支配がますます拡大していくと期待を表明した。日本の岩澤雄司ICJ国際司法裁判所所長は、6月末に諮問意見を出す予定だ。

 2025年4月29日、南アフリカは、「イスラエルは長期にわたって処罰を受けずにいる、、全世界が注視する中で、パレスチナ人たちは残虐行為、犯罪、迫害、アパルトヘイト、ジェノサイドに苦しんでいる」と、陳述した。

 南アフリカは、2023年12月29日、イスラエルを国際司法裁判所(ICJ)に提訴し、暫定措置を要請した。2023年1月26日、南アフリカの要請を受け、ICJは、暫定措置命令を出した。この命令は、イスラエルに対し、ガザ住人へのジェノサイド及びその動きを防ぐ措置をとること、緊急に必要とされる基本的サービス及び人道支援を供給する措置をとること等、具体的に指示している。が、イスラエルはどの措置も取らなかった。法に違反するイスラエルに、ICJは打つ手がないのか?<法の支配>に限界があるのだろうか?

 ICJの命令には法的拘束力があるが、ICJには命令を強制執行する力はないそうだ。しかも、ICJがジェノサイドに関する判断を下すには数年もかかるとか!一方、日本の山崎和之国連大使は、「国際社会における法の支配を重視する我が国として、この機会に、ICJが果たしている役割に改めて支持する」と、表明している。

 「俺が法律」と、世界をトランプ法で支配したいアメリカ大統領の頭に、飢えで死んでいくガザの子供たちは存在しない。ネタニヤフ首相ビビと娘イバンカのユダヤ主義に洗脳されたトランプには、自分たちが殺しまくっているガザの子供たちは見えない。頭にあるのは、豪華絢爛大舞踏会室と大軍事パレードなどの金に糸目をつけない大イベントだ。

 5月7日のBBCが、「イスラエルの与党議員は、ガザには飢えた子供はいないとか、物資は十分にあると主張している。イスラエル政府も、ハマスが物資を盗んでいると嘘をついている。イスラエル政府は4日夜の戦争内閣閣議で、ガザのイスラム組織ハマスに対する軍事攻撃の拡大計画を承認した」と、伝えた。イスラエルはガザ全体の略奪を宣言した。

 しかし、ICJ国際司法裁判所でイギリスは、国際人道法と国連憲章とICC国際刑事裁判所を遵守するよう、イスラエル戦争内閣に要請した。そして5月6日、イギリス政府のハミッシュ・ファルコナー中東・アフガニスタン・パキスタン担当国務次官政務次官がネタニヤフ・イスラエル戦争内閣のガザ民族浄化を糾弾した。  

 80年前にイスラエルを建国し常にイスラエル最大の庇護国だったイギリスが、<法の支配>に従って、その立場を劇的に180度変えたのだろうか?

 2025年5月6日のイギリス国会では、党派を超えた議員たちの稀な団結に続き、政府にパレスチナ独立国家を直ちに承認するよう迫まりました。 保守党の国会議員マーク・プリチャードは、「過去20年間イスラエルを支持してきたのは間違っていた、。勇気をもってアメリカとの柵を断ち切り、国際法の支配を再構築しよう、、我々は歴史の大転換期にいる、、これは凄いことだ」と、同僚議員を喚起しました。

 しかし、5月8日、イギリス政府はアメリカとの関税条約を世界に先駆けて結び、トランプ閣下を喜ばせたのです、、世界は、又、三枚舌のイギリスに騙されるのでしょうか?

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。                                 著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、               定価:本体1,800円+税、                                             発行人:松田健二、                                                   発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。                    「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc                      「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。                 「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo                        「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2025年5月10日                    SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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