本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(513)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう( ほんまゆたか) : ポスト資本主義研究会会員
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2025.4.13

ヘッジファンドのベイシス取引

現在、世界的な注目を浴びている「ヘッジファンドのベイシス取引に関する問題」については、「リフレーション政策の行き詰まり」を象徴するとともに、以前から指摘してきた「目に見えない金融ツインタワーの崩壊」を意味しているものと考えている。つまり、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約325兆ドルの世界的な債務残高」という「目に見えない金融ツインタワー」に関しては、今まで、「ジェット機が突入して炎上中」というような状態であり、この時に、「ありとあらゆる手段を尽くして崩壊を防いできたのが先進各国の中央銀行」だったことも見て取れるのである。

具体的には、「利上げにより市場の資金をMMFに誘導し、その後、政府短期証券へ再誘導する手法」や「国債の先物価格を上昇させながら、ヘッジファンドに対して、ベイシス取引を誘導する手法」などのことだが、現在では、「すべての手段が行き詰まりを見せるとともに、国債価格の暴落が始まった段階」とも思われるのである。別の言葉では、「国債の買い手」が完全消滅した結果として、「中央銀行による紙幣の大増刷」が始まった可能性のことである。

そのために、今後の注意点としては、「国債価格の暴落」のみならず「ヘッジファンドやメガバンクの連鎖破綻」であり、また、「世界に存在する大量の資金が、急激に実物資産に移動する展開」が挙げられるものと考えている。つまり、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時」と同様に、「財政破綻に見舞われた帝国が、インフレ政策を実施せざるを得なくなる展開」のことである。

より詳しく申し上げると、「1971年のニクソンショック」以降に積みあがった「信用(クレジット)を基にした金融商品が、ガラガラと音を立てて崩れる展開」のことでもあるが、実際には、「デリバティブの約8割を占める債券」が、最も大きな被害を受けるものと考えている。そして、この時に政府が取れる手段としては、前述のとおりに、「紙幣の大増刷」しか残されていない状況とも思われるが、この方法の問題点としては、やはり,「金融界の白血病」という「紙幣がコンピューターネットワークを流れることができない問題点」も指摘できるのである。

つまり、これから想定される金融大混乱は、「1923年のドイツ」のように「約6ヶ月という短期間のうちに、商品価格が大暴騰する可能性」であり、また、「現在の金融システムが、あっという間に完全崩壊する可能性」だと感じている。

2025.4.14

規模の経済と不経済

経済学の基本用語に「規模の経済と不経済」があり、具体的には、「大量生産のメリットやデメリット」などと理解されているが、この点を深堀りし、現状分析に応用すると、若干、違った姿が見えてくるものと感じている。つまり、「過去100年間に、どのような商品が大量生産のメリットやデメリットを受けたのか?」を具体例で考えると、いろいろな真理に気付かされる可能性である。

より詳しく申し上げると、「共同体の規模拡大に伴い、信用の量や貨幣の残高が増えるとともに、さまざまな商品が新たに作られてきた展開」に関して、「技術革新に伴う商品の陳腐化」や「景気悪化」などに伴う「需要の減少」を考えることであり、また、同時に必要なことは、「大量に産み出された金融商品」について、「信用消滅に伴う貨幣残高の減少が、金融商品の残高や価格に、どのような影響を与えるのか?」の考察である。

別の言葉では、「時間の経過」とともに、「どのような商品が新たに作られ、また、どのような商品が陳腐化したのか?」を考えることでもあるが、特に注目すべき点は、「1971年のニクソンショック」以降の世界で、「大量のデリバティブという商品とデジタル通貨が創り出された状況」である。つまり、「2008年のGFC(世界的な金融大混乱)」までは、「大量に創り出されたデジタル通貨」が「さまざまな商品に対して、膨大な需要」を発生させたことにより、未曽有の規模での「規模の経済」が働くとともに、人類史上、最大の「経済成長」が達成されたものと思われるのである。

より具体的には、「単なる数字」が「本位通貨」となった結果として、「膨大に創り出された貨幣や通貨が、世界各国で急激な経済成長を実現した時代」のことだが、「2008年のリーマンショック」以降は、「グローバル共同体の分裂や崩壊」により、「貨幣や通貨の残高が減少し始めた展開」だったことも理解できるのである。つまり、「規模の不経済」が働き始めた状況とも思われるが、「このことが、今後の金融システムに対して、どのような影響を及ぼすのか?」を考えると、実際には、「デジタル通貨の縮小や減少が、デリバティブという金融商品の崩壊につながる可能性」も想定されるのである。

別の言葉では、「過去100年間に大膨張した世界の金融システム」が、「金利の上昇」とともに、音を立てて崩れ始めている展開のことでもあるが、実際には、「大膨張した現代の貨幣」が「小さな実物資産の市場」に流れ始めたことにより、「実際に、どれだけの実物資産が購入できるのか?」が問われ始めている状況のことである。

2025.4.16

独裁者トランプ―チンの歴史的役割

「中国の独裁者である習近平」については、現在、「権力の部分的はく奪」や「失脚する可能性」などが噂されているが、一方で、「ロシアのプーチン」や「米国のトランプ」については、「軍事力や資金力を行使しながら、世界の分裂や分断を促進している状況」のようにも感じている。別の言葉では、「2008年から10年前後にピークを付けたグローバル共同体および世界の貨幣残高」に対して、「共同体の規模縮小」や「貨幣や通貨残高の急激な縮小」をもたらしている可能性である。

より詳しく申し上げると、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時」と同様に、「暴力政策による秩序の破壊」が実施されている状況とも思われるが、実際のところ、「西暦376年から始まったゲルマン民族の大移動」から「西暦476年の西ローマ帝国崩壊」までの「100年間」に関して、「前半の50年間」は「大都市の形成」と「貨幣や通貨の大膨張」が発生した時期だったことも見て取れるのである。

しかし、「後半の50年間」に関しては、「あっという間に、巨大帝国が崩壊した展開」だったことも理解できるが、現在の「独裁者トランプーチン」については、世界中の人々に対して、典型的な反面教師の役割を果たしながら、「1600年前の西ローマ帝国が、どのようにして崩壊したのか?」を、目の前で再現してくれている状況のようにも感じられるのである。

より具体的には、「グローバル共同体の成立過程で築かれた社会の信用が、短期間のうちに、どのようにして崩壊するのか?」ということでもあるが、今までは、「氷のような状態の金(ゴールド)」が、経済成長とともに「水のような状態の紙幣」、そして、「水蒸気のような状態のデジタル通貨」へと変化していったことも見て取れるのである。ただし、現在は、「デジタル通貨の雲」が形成されるとともに、たいへん近い将来に、「紙幣の雨」が世界中に降り注ぐものと考えているが、この点に関して、大きな役割を果たしたのが、前述の「独裁者トランプーチン」だったものと思われるのである。

別の言葉では、「金の切れ目は縁の切れ目」という諺のとおりに、「軍事力や資金力による信用の破壊行為」を実施することにより、世界中の人々の人間関係を崩壊している状況のことである。そのために、これから必要なことは、「既存の常識」を捨て去りながら、「日々の出来事」により顕わされる「神の真理」を見極めることであり、また、人知が及ばない、壮大な「神の計らい」に想いを致すことだと考えている。

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion14233 : 250523〕