SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】639 戦争と平和

 「NATO加盟国はアメリカと武器開発共同事業をやろうヨ」と、トランプ米大統領はNATO首脳会談で戦争商売の営業をやりました。 イラン核施設攻撃でアメリカが使ったステルス爆撃機も今や最新兵器とは言えず、在庫整理にお忙しいようです。

 その一方で、<平和の大統領>というトランプ自作のあだ名を、世界が口にしてくれることを期待し、自らも連呼し、<ノーベル平和賞>を狙っています。

 戦争と平和を両天秤にかけて金儲けをするのはやめてください。

① 戦争か?平和か?:

 6月13日、イスラエルがイラン攻撃。

 6月22日、アメリカ、イラン核施設攻撃。トランプがイラン体制転覆に言及。

 6月23日、イラン、カタールとイラクのアメリカ軍基地を報復ミサイル空爆

 トランプが「停戦合意は24日に発効し、24時間後の6月25日午後1時(日本時間)に、戦争が完全に終結する」と、発表。

 6月24日、ロイター通信は、「イランのアラグチ外相イスラエルとイランの間で停戦に関する合意はないと述べた」と、報じた。 と同時にアラグチ外相は、「イスラエルがテヘラン時間24日午前9時30分(日本時間)までにイラン国民に対する違法な侵略を停止すれば、イランも反撃を続けるつもりはない」と、言及した。

 6月24日、戦争を仕掛けたネタニヤフ・イスラエル首相はSNSで、「この勝利は、後世に語り継がれる」と、勝利宣言をした。「我々は核爆弾と2万発のミサイルによる脅威を取り除いた」と、勝ったことの理由を話した。

 6月24日、核施設をアメリカに爆撃されたイランのマスード・ペゼシュキアン大統領はイラン国営テレビで、「イランの人々の勇敢で歴史的な忍耐の末、イスラエルによって強要された12日間の戦争が終結した」と、勝利宣言をした。「核施設を破壊し、社会不安を扇動するという悪質な目的をイスラエルに達成させなかった」と、勝った説明をした。

 アメリカがイラン核施設を爆撃したことを受け、長崎の被爆者4団体が24日、「破壊はすべて奪いつくす」「武力では平和は守れない」と強調する声明を発表し、紛争を暴力ではなく、国際法を守り対話で解決するよう訴えた。 被爆者4団体は声明文をアメリカ大使館と日本総理官邸に送った。

② トランプの議会承認なしで強行した独断攻撃は合憲ではない、が、:

 イランの核関連施設数カ所への攻撃を、トランプ米大統領が独断で強行して以来、アメリカえは、野党・民主党のみならず与党・共和党の議員らも、その法的権限を疑問視している。 共和党のトーマス・マッシー下院議員はXで、今回の攻撃は「合憲ではない」と主張し、同党のウォーレン・デイヴィッドソン下院議員も、「合憲とする根拠を考えるのは難しい」と書いた。 一方、共和党のマイク・ジョンソン下院議長は、「差し迫った危険(?)のほうが、議会決議を待つ時間より重大だと(トランプは)判断したのだ」と、トランプ大統領を擁護した。

 合衆国憲法の 第1条は、「宣戦布告」を議会の権限の一つだと明記している。 しかし、大統領の権限を定めた第2条は、「大統領が軍の最高司令官である」と規定している。ホワイトハウス関係者らは、第2条が今回のイラン攻撃の根拠だと主張した。 要は、トランプの独断で他国を侵略してもいいということだ。

 ところが、アメリカ大統領が議会の承認を得ずに軍事行動を命じる権限を行使するのは、「私一人ではない」と、トランプらしくない言い訳をした。 

 
 たしかに、2011年、バラク・オバマ大統領は議会の許可を求めずにリビアの空爆を指示し、カダフィ大佐を惨殺した。オバマは憲法第2条に基づく正当性を主張した。同じ年にパキスタンでオサマ・ビンラディン容疑者を殺害した作戦でも第2条を持ち出し釈明した。1期目のトランプ大統領は、2020年に議会の承認なしで、イラン革命防衛隊カセム・ソレイマニ司令官の殺害を命じた。ジョー・バイデン大統領も、イエメンの武装組織フーシ派やシリアへの攻撃で、議会承認なしの大統領独断で強行した。アメリカ大統領は何をやってもいいのだと、トランプは思い込み、勝手気ままに大統領権限を振り回している。

 戦争権限法についても、合衆国憲法は言及している。戦争権限法は、議会に相談しなかった軍事行動について、実施後48時間以内に、議会に通告しなければならないと定めている。 ピート・ヘグセス国防長官は、イラン攻撃後に「(米軍の)航空機が安全になってから(議会は)通告を受けた」とし、「戦争権限法の通告要件に従っている」と釈明した。

 6月24日、CNNが、「国防総省の情報機関は、空爆が核施設に与えた影響は限定的だと評価している」という記事を流した。、トランプは激怒し、翌6月25日、米軍による空爆でイランの核施設が深刻な損傷を受け、復旧には数年を要するとの見解を発表させた。

③ 「広島や長崎をみれば、あれが戦争を終わらせたことがわかる。これは違う形で戦争を終わらせた」トランプ発言:

 トランプ米大統領は、6月25日、NATOの会見場で2度もこの発言を繰り返した。トランプは原爆被害地の広島や長崎を例に出して、イラン核施設にバンカーバスターなどの高性能大量破壊兵器をぶち込んだことを、正当化しようとした。

        1945年8月9日、アメリカ軍マンハッタン計画で第509混成部隊が                              長崎に投下した原爆のきのこ雲

 バンカーバスターは劣化ウランで作られており、地中深くまで貫通する強烈な破壊力と、散弾した劣化ウランによる放射能汚染が警告されてきた。勿論、国際法違反だ。アメリカの国内法違反や米国議会違反の前に、他国の領空を侵犯し他国の領土を攻撃するのは、重大な国際法違反だ。他国の民を殺すのは、言語道断、、そもそも人殺しは大罪だ。

 トランプ・ネタニヤフ連合軍は、6月13日のイラン攻撃から約610人のイラン市民を殺した。一方、イランのミサイル攻撃で28人のイスラエル人が殺された。

 アメリカは広島・長崎への原爆投下で、広島で約14万人、長崎で約7万人を瞬時に殺した。その後も犠牲者は絶えず、被爆者は今日に至るまで苦しんでいる。

 トランプの広島、長崎に例えた傲慢極まりない原爆投下正当化発言に対して、NHK が放映した被爆者の方々の声に耳を傾けてみよう、、

 「使うべきではなかったと、声を上げていかなければならない(西岡洋氏)」、「被爆者は怒っている。なぜそんな発言がアメリカの大統領から出るのか不思議でしかたがない(日本被団協代表)」、「トランプ大統領が原爆投下を肯定するような表現をしたことは絶対に許せない(長崎被爆者連絡協議会)」、、誰もがトランプの原爆投下を正当化する発言に、怒っている。

 一方、日本政府の林官房長官は26日午前の記者会見で「トランプ発言に抗議するのか」と、問われ、「原爆投下に関するわが国の基本的な考え方は累次の機会にアメリカ側に伝達しており、引き続き緊密に意思疎通を図っていく」と述べた。

 日本政府は、トランプの原爆投下正当化発言に、抗議する気はないのですかネ?

 「世界は、おれのいう事をきけ!いう事を聞かない奴は、地獄に行け!」と、独裁者トランプの戦争ゴッコはますます過激化していきます、、そんな中で、トランプを止めるカードを握っているのは、世界で唯一の核被爆国、日本だけです、、

 因みに、長崎大学の核兵器廃絶研究センターによると、イスラエルは約80発の核弾頭を保有しているそうです. が、イスラエルは核弾道保有を、IAEA(国際原子力機関)に申告していません。

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。                                著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、                    定価:本体1,800円+税、                                            発行人:松田健二、                                                     発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。                         「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc                        「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。                   「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo                      「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2025年6月28日                 SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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