SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】651  国連ジェノサイド総会

 2025年9月16日、国連の独立国際調査委員会はジュネーブの国連で、ガザのパレスチナ人への攻撃は国際法で定義されるジェノサイド、大量虐殺にあたると記者会見しました。 「いまさら何を言ってるのさ!」という思いです。

 イスラエル国連大使は、「ハマスの虚偽情報に完全に依拠した捏造」と、反発しました。  

 ネタニヤフ・イスラエル首相は、「ガザに飢餓状況はない。我々はハマス戦闘員を虐殺しているんだ。民間人は殺ってない」と、今日もガザを爆撃しジェノサイドを続行中です。

① 子供の餓死遺体に、謝るガザの親たち:

 報道陣のガザ立ち入りをイスラエルが一切禁止しているため、国連機関に協力しているガザ市民とハマス保健省の報告だけが、国連に入ってくる情報だ。以下に、9月16日の国連ガザ情報を紹介する。

 「国連人道問題調整事務所は、イスラエルの砲撃と空爆が過去24時間にわたってガザ市内外で続いたと報告している。イスラエル軍による強制退去命令のさなか、14日から15日にかけて、北から南へ約48,000人の避難民を記録した。8月中旬以降、190,000件以上の移動が観察されており、交通費が非常に高いため、多くの人は徒歩で移動している。

 女性や高齢者を含む避難民のなかには、猛暑の下、裸足で、負傷した子供を連れて最大9時間も歩いてきた家族もいた。多くは避難所のあてなしで到着している、、簡易テントすらない。。

 ガザの保健省は昨日、ガザの血液銀行と研究所は現在、命を救う在庫を使い果たしており、供給量はゼロと発表した。ジキム検問所は4日連続で閉鎖され、さらに、治安の悪さや混雑や略奪も加わり、燃料と医療の援助は完全に中止された。」

 9月16日の夜、ネタニヤフ・イスラエル首相の親友・トランプ米大統領とメラニア夫人は、イギリス国賓訪問を開始した。ロンドンでは数千人の<トランプ帰れデモ>が、ウィンザー城外では<性犯罪者エプスタインとトランプのツーショット画像>が流された。が、金ピカ馬車の行進や黒い帽子の衛兵閲兵式など、セレモニーはウィンザー城内で行われ、17日の夜には、チャールズ国王とカミラ王妃が主催し160人招待客が参加する大晩餐会が催された。ガザでは、イスラエルの飢餓作戦で餓死した子供を抱えた親たちが、「食べ物をくれ!」と、叫んでいるのに、この特権階級たちは、ワインで乾杯!?まるで、中世封建王国の残酷物語を見せつけられているようだ。

② ネタニヤフ・イスラエル戦争内閣のジェノサイドを誰が止められるのか?:

 2025年9月16日、国連第80回総会の初日、国連事務総長が記者会見し、国連独立調査委員会が記者会見し、ネタニヤフ・イスラエル戦争内閣のジェノサイドを非難した。

 それ以前の8月28日、イスラエル人権団体のベツェレムは、「ガザ地区におけるイスラエルの政策とその恐ろしい結果を、この攻撃に関するイスラエル政府高官や軍司令官の発言と併せて検証した結果」と分析し、<ジェノサイド>と断定した。9ページの報告書を発表した同団体のユリ・ノバク代表は「私たちは何の準備もできないまま、自分がジェノサイドを犯している社会の一員だと気付かされる。私たちはその瞬間に深い痛みを感じる」と、記者会見で語った。

 イスラエル人権医師会(PHRI)は、ベツェレムに加わってガザに対するイスラエルの行為を<ジェノサイド>と呼ぶと発表した。これとは別に、法的・医学的な検証を行った結果、「ガザの医療システムを意図的かつ組織的に殲滅させる」行為があったと結論付けた

 8月28日、イスラエルの名門5大学の学長が連名でネタニヤフ・イスラエル首相に宛てた公開書簡を発表し、ガザの危機的状況をめぐる懸念を伝えた。「多くのイスラエル国民と共に我々も、ガザで日々発生している恐ろしい光景に衝撃を受けている。ガザでは飢えと病気が最も弱い人たちの命を奪っている」と、公開書簡は指摘した。

 9月19日、イスラエルのDRMニュースは、数十人のイスラエル人抗議者がイスラエルとガザの国境に集まり、ハマスとの紛争の終結を求めるデモを報告した。が、イスラエル兵が行く手を阻み、結局、デモ参加者たちは来た道を引き返した。

 「ガザは燃えている」と、どっかで聞いた台詞を吐いて、イスラエル国防軍のガッツ国防大臣は、ガザの空漠と地上侵攻を激化した。「我々は、人質の解放とイスラム組織ハマスの打倒に向けて行軍中だ、、住民には避難勧告を出した。食料搬入も許可した」とした。そして、ビキニ女性やビーチバレーで賑あうテルアビブ海岸の映像を公開した。しかし、イスラエル戦車は住民避難を待たない。ガザ海岸を進軍!大部分のガザ住民は人口密集地に残ったままだ。「移動するには金がかかる、第一、行くところなどない」と、叫ぶ、、

 9月18日の国連安保理でガザ停戦やイスラエルによるガザ支援物資搬入阻止の解除を求める決議案が採択されたが、イスラエルの盟友アメリカの拒否権でまた否決!! 

 アメリカが拒否権でイスラエルを庇う国連安保理を避け、「国連総会決議で可能なストップ・イスラエルを」と、アルフレッド・デ・ゼイヤス元国連特別報告官が提案している。

1―パレスチナの国家承認を各国が表明し、イスラエルの国連加盟資格を総会で停止する。

2―国連には2005年採択の首脳会合成果文書<保護する責任>に則り介入の義務がある

3―総会は、ジェノサイドを止めるため各国の軍事行動を平和の結集決議として可決する。

 アルフレッド・デ・ゼイヤス元国連特別報告官は、「行動も起こさなければ、国連はまだ残っているわずかな権限や権威を失うだろう」と、警告している。

③ 「いますぐ行動を起こさないと国連は権威を失う」:

 アルフレッド元国連特別報告官の思いは、パレスチナ紛争と同様に、西サハラ紛争の国連解決を待つ、西サハラの人々や関係者たちも共有している。ちなみに、アルフレッド・デ・ゼイヤス元国連報告官は1947年アメリカ生まれの弁護士・歴史家で、2012年に国連人権理事会から国連特別報告官に任命された。

 2025年10月末には、西サハラに関する国連PKO・MINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の一年任期が切れる。2025年12月末には、西サハラ難民の庇護国アルジェリアの国連安保理非常任理事国の任期が切れる。

 スタファン・デ・ミストラ国連西サハラ事務総長個人特使は、10月半ばに予定されている国連安保理への年次報告に向けて、9月16日からアルジェリアを公式訪問した。さらなる一年任期延長のため、毎年恒例<やってます>旅行の一環だ。

 9月16日の夜に首都アルジェのアルジェリア外務省で、スタファン・デ・ミストラ国連西サハラ事務総長個人特使はアフメド・アタフ・アルジェリア外務大臣に会った。共同記者会見はなく、アルジェリア外務省のプレス・リリースによると、アタフ・アルジェリア外務大臣は、西サハラ問題に対する公正で永続的かつ最終的な解決策を見出そうとするアントニオ・グテーレス国連事務総長とスタファン・デ・ミストラ国連事務総長個人特使の努力に対するアルジェリアの支持を、改めて表明したとある。

 アタフ・アルジェリア外務大臣は、また、国連に委ねられた重要な役割を強調し、紛争当事者であるモロッコ王国とポリサリオ戦線による直接かつ無条件の渉を組織するため、あらゆる努力と取り組みが必要だと強調した。さらにアタフ・アルジェリア外務大臣は、アフリカ大陸最後の植民地・西サハラの脱植民地化の行動として、西サハラ国民投票機構のためのMINURSO (国連西サハラ人民投票監視団) の存在に、改めて焦点を当てたそうだ。

 デミストラ国連事務総長個人特使は9月20日、アルジェリア西部チンドゥフにある西サハラ難民キャンプの西サハラ政府を訪問します。

 アルジェリア外務省で、左にスタファン・デ・ミストラ国連事務総長個人特使、右にアフメド・アタフ・アルジェリア外務大臣

 2025年9月22日から、第80回国連総会のハイレベルウィークが「共にあることで、より良くなれる:平和、開発、人権のための80年とこれから」というテーマで開催されます。 

 ハイライトは、世界の首脳たちがパレスチナ国家の承認を問われている、一般討論演説で、9月23日-27日および29日にかけて国連総会議場で行われます。 石破首相も発言します。 しかし、首脳演説でイスラエルがジェノサイドを止めるとは思われません。

 ジェノサイドを止めたい世界の首脳たちは、行動を起こすべきです。 ガザに向けて、ジェノサイド反対の大行進を起こしてください。

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 「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。                                 著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、                     定価:本体1,800円+税、                                                  発行人:松田健二、                                                    発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。                           「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc                        「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。                 「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo                        「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2025年9月20日                    SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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