韓国通信NO777
英語のラジオ講座を聴き始めてから3年になる。入試以来ご無無沙汰していた英語の再挑戦には訳がある。35歳から始めた韓国語の学習は低空飛行を続けているが韓国語一辺倒だった反省がある。この歳になって英語の必要性を素直に感じ始めたことにくわえて「ポケ防止」という狙いもある。
本を読む、音楽を聴く楽しさに加えて外国語を学ぶ楽しさは格別である。学んだ韓国語を教える楽しみも経験した。外国人に日本語を教え続け、気がつけば十五年になる。
<我孫子虐殺事件>
毎週土曜日、午前の1時間半。中国、台湾、韓国、ベトナム、スリランカ、マレーシア、バングラディシュ、アメリカの生徒たちと日本語表現について勉強している。彼らはどうにか一般会話ができるレベルだ。
9月6日、生徒と日本の防災訓練について話をした。地震と台風が多い日本でどうしたら安全に暮らせるか。
話の終わりに関東大震災の時に起きた朝鮮人、中国人虐殺事件について触れた。
デマにまどわされ、罪のない人を殺した事件の話は気が進まなかったが、ありのままの事実を話した。
102年前、我孫子駅前の八坂神社の境内で起きたいまわしい3人の朝鮮人虐殺事件。
外国人には「自然が美しい」「親切な人が多い」と評判の町だが、この事件を知る市民は少ない。もちろん外国人が知るはずはない。恥ずかしい事件なので少し勇気が必要だった。災害が起きると混乱して何が起きるかわからない。「普段から隣人とのコミュニケーションが大切」と締めくくった。

写真/9月3日、駅前スタンディングで「悼我孫子事件102回忌」を掲げた後、有志で七回目の供養を行った。事件を認めながら触れたがらない我孫子市。事件を認めない東京都との違いは何か。解けないパズルのようだ。
<五人の総裁候補>
「石破おろし」の次は総裁選の話題で持ちきりだ。総裁に選ばれても首相になれるとは限らない。かつて河野洋平が総裁に選ばれながら自民党の党首止まりだったことを思い出す。報道各社は競馬・競輪、株の予想屋のように紙と画像と時間を浪費している。
「マスゴミ」と批判されるのもわかるような気がする。
支持を失った原因を自民党議員たちはまるでわかっていない。マスコミ各社も総裁選レースを報じるだけで、企業献金と裏金に対する国民の怒り、エセ宗教団体の統一教会に染まった自民党への根強い不信感に触れようとしない。
疑惑だらけの立候補者たち。自分たちの責任を棚にあげて石破を引きずり落とし、新代表を選ぶというおぞましさ。「世も末だね」という声があちこちから聞こえる。
自民党の茶番劇とそれに振り回されるマスコミに愛想を尽くして極右政党に向かう心情も頷ける。「解党的再建」なんて無理だ。自分の姿が見えない政党は解党するしかない。
護憲平和、反金権、反原発の立憲、社民、れいわ、共産党へ期待したいところだが、立憲の野田代表の曖昧路線が気になる。政権獲得の意欲もなく、自民党に色目を使う姿は野党第一党としてはお粗末過ぎる、立憲も自分を見失っているのではないか。次の国政選挙では自民と立憲が、他の野党の草刈り場になるはずだ。ポピュリズム政党は消えるしかない。
<韓国の今…>

昨年12月13日に尹錫悦大統領が突如として発した非常事態。直ちに否決され、内乱罪で逮捕弾劾、李在明新大統領誕生という劇的な展開はご存知の通りだ。
思いつきの「非常事態宣言」に見えたが、計画的組織的だったことが次々と明らかになっている。前大統領夫人の金建希(キム・ゴニ)の政治の私物化が明らかになり夫婦で収監される事態へ。
韓国は政権が変わるたびに復讐劇が起きると揶揄する人が多い。だが本格的な政権交代を経験しないわが国では「復讐劇」さえ起こらないと言うべきだろう。「裁かれるべき者は法によって裁かれる」のは当然だ。<写真/京郷新聞/ソウル市内/弾劾を求める市民たち>
新政権はクーデターで顕在化した国民の不満と国民分断の解消を真っ先に掲げた。前政権が高めた北朝鮮との緊張関係を解消する努力は既に始まっている。日本とは方向性が違うことに気づくはずだ。
日本側の歴史認識に対して厳しい批判がなかったことに安堵した政府とマスコミには呆れる。日本には「正論がなかなか通じない。日本が変わるのを根気よく待ちたい」という韓国側のオトナの対応は、日本が子ども扱いされているようで恥ずかしい限りだ。日米関係を重視しつつも中国との関係改善にも積極的。アメリカ追随・従属を深める一方の日本との違いを見せる韓国の新政権である。
韓国では今、統一教会と前政権との腐敗した関係にメスが入りつつある。統一教会とは「縁を切った」とうやむやにした日本とは大違いだ。岸政権時代から始まり、孫の安倍晋三にまで引き継がれた統一教会との関係は韓国の捜査次第では新しい展開を見せることが予想される。こちらも注目だ。
9月20日から開かれる写真展の準備のために18日から益子へ。原発をテーマにした「牛」の写真展である。ご来場をお待ちします。詳しくは朝露館ホームペーシで。
初出:「リベラル21」2025.09.29より許可を得て転載
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-6876.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion14451:250930〕