米国による対キューバ経済封鎖を解除せよ

国連総会で33回目の決議

 駐日キューバ大使館の発表によると、10月29日の国連総会で、キューバが提案していた、米国による対キューバ経済封鎖解除決議が、賛成多数で採択された。この結果を、ブルーノ・ロドリゲス・キューバ外相は「最も過酷な圧力の中で達成された尋常でない成果だ」と評価したという。

 キューバで革命が起きたのは1959年である。革命政府が米国企業の資産を没収したため、米国政府は1961年にキューバとの国交を断絶し、1962年にはキューバに対する経済封鎖を発表した。
 この封鎖は現在も続いているが、ブルーノ・ロドリゲス・キューバ外相によれば「対キューバ経済的侵略に関する法律や規則は、その行為や野心について曖昧なものではありません。それらは、法律として明確に、キューバとあらゆる国との貿易・投資・信用取引を制限することを目的としていると宣言しています」「キューバは、通常の融資資金源、投資資本、送金、工業、食料生産、インフラ、科学技術開発、そして医療などの最も重要なサービスを含む技術へのアクセスを、奪われています。封鎖の戦略的目的は、社会的な爆発を引き起こし、私たちキューバ国民が複数の国民投票によって自由に選択した立憲秩序を転覆させることにあります」という。
 
キューバ政府によれば、米国による経済封鎖でキューバがこれまでに被った損害は約1706億ドルにのぼる。

 キューバ政府が1992年から毎年、国連総会に提案してきた米国による対キューバ経済封鎖解除を求める決議案は、正式には「アメリカ合衆国によるキューバに対する経済、通商、金融封鎖を終焉させる必要性」と称す。
 国連総会でのこの決議案の推移はどんなものだったか。一言でいえば、2000年以降は、毎年、国連加盟国の圧倒的多数の賛成で決議されてきた。決議が初めて上程された1992年以来、毎年必ず「反対」だった米国とイスラエルも2016年には棄権に回った(もつとも、両国は翌17年から反対に戻った)。2024年の国連総会でも決議案が可決された。内訳は、国連加盟国193カ国中、「賛成」は187カ国、「反対」は2国(米国とイスラエル)、「棄権」1カ国(モルドバ共和国)、「欠席」3カ国だった。

 米政府の作戦で「決議反対」が増す?
 しかるに、今年の投票結果は、国連加盟国193カ国のうち、「賛成」は165カ国、「反対」はアルゼンチン、米国、ハンガリー、イスラエル、北マケドニア、パラグアイ、ウクライナの7カ国、「棄権」はアルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コスタリカ、チェコ、エクアドル、エストニア、ラトビア、リトアニア、モロッコ、モルドバ、ルーマニア、ポーランドの12カ国、「欠席」は9カ国だった。
前年に比べ、「賛成」が22カ国減ったのに対し、「反対」が5カ国、「棄権」が11カ国、「欠席」が6カ国それぞれ増えたことになる。

 何がこうした変化をもたらしたのか。11月5日付のロイター通信は、米国政府が、キューバはロシア軍支援でウクライナに最大5000人を派兵しているとして、各国に国連決議反対を働きかけた、と報じた。キューバ外務省は国連決議の前日の10月28日に「キューバはウクライナ紛争への関与を断固として否定する」との声明を発したが、米国政府の動きが決議に影響したことを認めている。ブルーノ・ロドリゲス・キューバ外相が決議にあたって「最も過酷な圧力の中で達成された尋常でない成果だ」と述べたことが、そのことを端的に示している。
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 日本政府も「決議賛成」へ
 さて、この問題における日本政府の態度だが、1996年までは決議案に「棄権」だったが、1976年からは「賛成」を続けている。何事も米国政府一辺倒の日本外交だが、この問題だけは米国と同一歩調をとらない。ということは、それだけキューバの主張がいまや世界世論になっているということだろう。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion14506:251109〕