SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】662 松田健二社会評論社社主逝去

 2025年11月29日、合澤清<ちきゅう座>編集長の記事<同志・松田健二の死を悼む>を拝読して、治療中だと伺っていたので覚悟はしていたけど、やっぱりガックリきました!  「友だちが、世の中メチャクチャ面白いことになってきたぞ、もう少し生きていようぜと言うんだ」と言うのが、松田さんの口癖でした。

2017年5月27日、津久井やまゆり園惨殺事件一周年の集会に参加された故松田健二・社会評論社社主

① 「本が売れない世の中で、3冊の出版、ありがとうございます」:

 <ラストコロニー西サハラ>を扱っていただける出版社を探していた時、日刊べリタの社主大野和興さんから松田健二・社会評論社社主を紹介していただいた。まず原稿と写真をメールで送り、初稿が上がり、レイアウトや表紙の打ち合わせなどをすることになった。

 松田さんが、会社へ行く途中の喫茶店で落ち合いたいというので、相模大野に住む松田さんと津久井の山に住む筆者とカメラマンは、町田の駅近くにある<宮越屋珈琲>で

 作業を開始した。松田さんが選んだ昔ながらのコーヒー屋には、それらしい文化人が紙を広げて時間を気にせず話し込んでいる。噂に聞く左翼の闘士は素直なロマンチストで、大きな修正や変更もなく編集作業は笑いに包まれて終わった。

 一杯700円の高いコーヒー代は、編集費で落とせるからと、松田さんが払った。お返しに昼食は中華料理屋で餃子と八宝菜をおごった。松田さんはアルコール抜きのビールを飲んだ。「そんな未練たらしいことをしないで、アルコールをやめたら?」と、注意したら、「ビールを飲みながら映画を見るのが楽しみなんだ」と答えた。「早死にするよ!」「もう十分生きてきた」「勝手にすれば、松田さん」と、大笑いした。

 一冊目の<ラストコロニー西サハラ>は、2015年に出版。

 二冊目の<アリ・西サハラ難民と被占領民>2020年に出版。
 三冊目の<サラー・西サハラ難民アスリート>2020年に出版。
 三冊の編集会議は雨が降ろうが雪が降ろうが、町田の<宮城屋珈琲>で、昼食は中華

 料理屋で、そして、松田さんは小田急線JR線でお茶の水にある会社に向かう。我々は125CCのスクーターに二人乗りして約30キロ離れた津久井の山に戻る。

 「松田さんは偉いね!信念を曲げずに本づくりをしている、、」などと言うと、「本づくりをしないで何ができるの?」と、返事が返ってきた。ただし、印税に関して、松田さんはケチだ。金は出さないで本100冊と決められてしまった。考えてみれば、日刊べリタさんからもちきゅう座さんからも、原稿料を貰ったことがないなあ、、

② 松田さん初七日の翌日、ゾーラン・マムダニ次期ニューヨーク市長はデモ参加:

 「世の中面白いことがあるから、まだ死ねない、、」が口癖だった松田さんは、政党を立ち上げたいとも語っていた。松田さんの夢が、ニューヨークで花開いたヨ!

 民主社会主義者でイスラム教徒の若いインド系移民(34)が、市長選に勝利して世界ナンバーワンの国際都市ニューヨーク市長になったのだ。マムダニ市長誕生報告会でマムダニ育ての親・民主社会主義党首バーニー・サンダーズ米上院議員は、笑った。大声で笑った。喋るのが大得意のサンダースは一言も喋べらなかったが、彼の笑いは彼の喜びと感激を漏らすことなく観衆に伝えた。ネ!サンダースは松田さんでしょ?!

 Democracy Now (デモクラシー・ナオ・ネットTV)が2025年11月28日に<ゾーラン・マムダニの台頭:2021年のハンガーストライキから市長選挙の勝利まで>を放映した。「ゾーラン・マムダニが1月1日にニューヨーク初のムスリム市長、初の南アジア系市長になる準備を進める中、私たちは政治体制を驚かせた民主社会主義者の歴史的な台頭を見ていく。私たちはこの1時間番組で、マムダニ自身の言葉を聞き、<現代アメリカ史上最大の政治的狂醒の一つ>と称される彼が成し遂げた<草の根連合>を見ていく。、」と、デモクラシ―・ナオは番組紹介をした。

 長身で背広が似合う弁舌爽やかなマムダニは11月21日にホワイトハウスを訪問し、あの社会主義と移民とイスラム教徒を嫌うトランプ米大統領に、「本当に素晴らしい市長になることを望む」とか、「彼が非常に良い仕事をできると確信している」とか、賛辞を言わせた。記者がマムダニ氏に、「トランプを<ファシスト>だと思うか」と質問したら、トランプ氏が「大丈夫だ、ただ<イエス>と言えばいいヨ」と、マムダニ氏の腕を叩き、笑った。

 12月1日、2026年1月1日からニューヨーク市長になるマムダニは、サンダーズ米上院議員と共に、ニューヨークのスターバックス・コーヒー組合員による就労改善デモに、参加した。

③ ベネズエラ漁民の虐殺で米戦争長官とトランプ戦争大統領が戦争犯罪人に?:
 「俺は80才になる、、」と、松田さんが言うので、傘寿のお祝いに津久井せんべいとベネズエラ国旗をあしらったスカーフを贈った。松田さん、そのベネズエラがトランプ戦争大統領から戦争を仕掛けられているんだヨ!

 「麻薬大国ベネズエラのマドゥロ政権を倒すためだ」と、戦争大統領トランプはベネズエラ戦争の理由をでっち上げたが、ベネズエラ原油が狙いであることは明らかで、その証拠に、トランプ戦争大統領は軍事攻撃をしつつ、マドゥロ・ベネズエラ大統領に取引とみられる電話をかけている。

 2025年11月28日にワシントン・ポストが「9月2日にベネズエラ漁船を証拠なしで麻薬密輸船と決めつけた米軍はミサイル爆撃し、さらに生き残った二人の漁民に対してヘグセス戦争長官が乗組員皆殺しを命じ、米軍は再び攻撃して殺害した」と、報じた。

 共和党のベーコン下院議員は、事実であれば「明確に戦時国際法に違反している」とし、民主党のケーン上院議員は「戦争犯罪の可能性もある」とし、上下両院の軍事委員会の与野党幹部はそれぞれ連名で、戦争総省(国防総省)に説明を求めた。 トランプ戦争政権はこれまでにカリブ海や東太平洋で20回以上のミサイル攻撃をし、80人以上の漁民を殺した。一部の民主党議員から、「明らかな<戦争犯罪>だ」との声が大きくなってきた。

 <戦争犯罪>の合唱に慌てたホワイトハウスは、12月1日、「米特殊作戦司令官フランク・M・ミッチ・ブラッドリー提督が、最初の攻撃で乗員全員が死亡しなかった後、2度目の標的攻撃を命じた責任者である」と、発表した。

 同日の12月1日、ヘグセス戦争長官は、「はっきりさせておこう。ミッチ・ブラッドリー提督はアメリカの英雄であり、真のプロフェッショナルであり、私の100%の支持を得ている。私は彼と彼が下した戦闘判断を支持する、、」と、Xに投稿した。「麻薬密輸組織と紛争状態にある」というのがトランプ戦争政権の大義名分で、これはベネズエラのマドゥロ政権打倒の理由に当てはまらない。

 そして12月1日の国連定例記者会見で中国のデジ記者が、「トランプはベネズエラの領空閉鎖を発表した。国連はこの最新の事態についてどのような立場を取っているのか?」と、聞いた。

 国連報道官は、「我々の立場は一貫している。つまり、我々は空域に関する報告を見てきた、、驚くことではないと思うが、我々は国際法上の国家の義務、特に憲章やその他の適用可能な法的枠組みの完全な尊重を求めている。また、これらの問題を含むあらゆる問題を平和的に解決するために既存のメカニズムを活用することを求めている。 国際民間航空の安全及び空域に関するその他の詳細な質問は、モントリオールのICAO(国際民間航空機関)に問い合わせてくれ」と答えた。

 国連はトランプの戦争に関わりたくないようだ

 松田さんと果たせなかった約束の一つに、厚木にある七沢温泉旅行があります。

 松田さんの住む相模大野駅から小田急線に乗って新宿と反対方向にある本厚木で降りバスに乗り30分ほど山に入ると、七沢温泉に辿り着きます。 そこにある老舗旅館<福元館>は、特高警察に追われていた小林多喜二を離れにかくまっていました。

 その後、小林多喜二は特高に捕まり、築地署で壮絶な拷問死を遂げました。

 12月1日に生まれたプロレタリア作家小林多喜二は1933年2月20日、29歳で亡くなりました。 松田さん、小林さんに、合掌

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 「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。                               著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、                定価:本体1,800円+税、                                          発行人:松田健二、                                               発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。                    「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc                     「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。            「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo                   「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2025年12月3日                 SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座  https://chikyuza.net/                            〔opinion14551:251203〕